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体育館倉庫
朝。
いつも通り登校して、いつも通り絡まれて。
いつも通りの一日が始まるんだと思っていた。













「……?」

下駄箱を開けるとそこには、見慣れぬ一枚の紙切れがあった。

「なに、これ」

胸騒ぎがする。
嫌な予感しかしなくて、恐る恐るその紙を手にした。

その瞬間、僕は教室へ行く道とは反対に、勢い良くその場を後にした。



“秘密をバラされたくなかったら今すぐ体育館裏に来い”



紙にはそう書いてあった。

そして、写真。

紙の間に、僕と哉也がふたりで並んで歩いている写真が挟まれていた。




「どうしよう……」

哉也は今頃教室だ。
何かあってからじゃ遅い。
早く行かないと。

僕は体育館裏に急いだ。










「はぁ、はぁっ……」

着いた。
けど、

「誰もいない……?」

不思議に思って辺りを見回す。

すると、不自然に倉庫のドアが開いているのを見つけた。

毎朝寄る場所だから気付いたとでもいうのかもしれない。
だって、この時間、倉庫のドアは誰も使わない。
だからいつも閉まっているはずなのだ。

ゆっくりとドアに近付く。

「っ!」

暗闇の中、誰かの腕が伸びてきて、引っ張られた。

「わぁぁ!」

そのまま、勢い良く中へと引き摺り込まれた。

「んっ」

柔らかい感触。

「だーれだっ」

身体が包み込まれる感触がして、僕は鳥肌が立った。

「や、離してっ」
「離しませーん」
「っその声……!」

毎朝絡んでくる連中の一人、潮崎だ。
連中のリーダー格でもある。

「あはは」

潮崎の腕の中でジタバタもがく僕を見て、彼は笑った。

「かーわい」

耳元で囁かれた瞬間、僕はこれまでにない恐怖を感じた。
必死の抵抗も虚しく、潮崎は僕の両手を片手で掴み上げた。

「やだ、離し、て」
「『やだ』?」

怖い。

「類斗くんさァ、自分の立場分かってないよね?」
「……っ!!!」

眼鏡とマスクを外される。
そして、余った方の手で潮崎は、僕のカッターシャツの上から乳首をぎゅっと掴んだ。

「や、痛っ……い!」
「あはは、もっと泣けよ」

涙目で見上げると、潮崎は笑みを深くした。

「俺、見ちゃったんだよね」

彼の手が腰元へと降りていく。

「哉也と類斗くんがヤってるとこ」

頭が真っ白になる。
呆然と、潮崎を見つめた。

「だから、秘密、バラされたくなかったら……分かってるよな?」

ニヤリ、と獰猛な瞳に対峙した僕は抵抗する術を見失った。

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