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バニラシロップを一滴だけ
くはきみのなかで消化されてハチミツになる

「…おい零崎、何やってんだ」

「夜這い?」

「堂々と言うな犯罪者」

あからさまに嫌そうな顔をするそいつに、俺はにっこりと笑ってやった
そいつに言わせれば、にっこり、ではなくにやにや、らしいが
今はそんなこと関係無い

「いいじゃん、やらせてよ」

「駄目だって」

「なんでだよ」

「だって…ほら、仮にも女性がいる場所だし」

「あ?」

「春日井さんだよ」

「今はいねえ」

「いつ帰って来るか分かんないだろ」

いいじゃんそんな痴女放っとこうぜ、そう言うと、痴女だからこそ放っておけないんだと返された

「俺は今すぐいーたんとしたいの!」


大体こいつは無神経過ぎる
俺という彼氏が居ながら部屋に痴女を住まわせてるなんて
妬いて欲しいとしか思えねえ

こんな無防備だから俺はお前から目が離せないんだ


「どうしたんだよ、急に」

「いーから、も、我慢出来ねーんだ」

今まで抑えていた感情が溢れ出して、止まらない

「零崎…?」

意味が分からない、と言った表情で見つめてくる恋人
分かんねえのかよ
俺が今どんなに不安で、
どんなに苦しいのか

ああもう力任せに奪ってしまいたい
でも、それだけはできない
こいつに軽蔑されたくないから

大体無理矢理力でねじ伏せて、愛が伝わる訳がない

なんて傑作な戯言だ
よりによって殺人鬼が愛のなんたるかを語るなんて

「な、良いって言ってくれよ。お前から俺に強請ってくれねーと俺はお前に触ることすら怖くて出来ねーんだ」

「へたれー」

ぷ、と笑うそいつ

ほんと隅から隅までむかつく野郎だ

早くしろ、と促すと、案外簡単にそいつはのってきた

「キスしようよ」

「キスの後は?」

「さあ、ね」

ああもうこれだからむかつく
そうやって俺をからかって、遊んでんのか

がぶり、と唇に噛みつくと口内に血の味が広がった

「―――っ」

痛そうな表情

少し気分が良くなった

傷をいたわるように舐めて、血の味と舌触りを楽しんだ

「血、不味く無いのか」

不思議そうに聞いてきた
俺はどうやらまたにやにや笑っていたらしい

「不味くねーよ」

「じゃあどんな味?」

「んー、はちみつ」

「プーさんかよ」

「ちげえよ」

まあ確かに赤いパーカー着てて甘党な所は被るけど俺は下半身露出狂じゃねえ!
いーたんの前だと抑えられなくなるけどな「なんかさー、こう口溶けがとろっとしてて甘いとこが似てんだ」

「甘党の君が言う位だから本当なのかな…って、うぇ、不味いよ、これ」

ちっとも美味しく無い、と不満そうな顔

「愛してちゃってるひとの体は全部甘く感じるんだよ」

「…気障」

「本当のことだし?」

「零崎はぼくの血を飲んでれば生きていけるってこと?甘いもの無いと生きてけないもんね、零崎ってば」

「俺は吸血鬼かっての」

「違うの?」

「鬼って所は合ってる。けど俺ら零崎一賊は殺人鬼だ。殺人鬼ってのは吸血鬼とは全然違うんだよ」

「ふぅん、そういうもんか」

言い終わると同時に、また唇を合わせた

突然で驚いたようだったけど、逃げられないように頭を抑えた

何度か傷口に触れて、その度に痛そうな声を漏らしていた

またじわじわと広がって来た甘い甘いはちみつ

俺はそれを残さず味わいたいから、更に激しく唇を貪った






ぼくはきみのなかで消化されてハチミツになる



甘すぎて病み付きになりそうだ!



あきゅろす。
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