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バニラシロップを一滴だけ
ピーナッツバタークリームな毎

今か今かと返事を待った一日目


携帯を握り締めて眠れなかった二日目


君が好きだと言っていたバンドの歌を聞いてみたくなってCDを買いに行った三日目


周りに携帯依存症なのではないかと疑われた四日目



携帯を片時も離さなかった五日目


恋って苦しい
胸の奥がきゅーっと締まってとても苦しい


特に告白の返事を待つ間の苦しみは耐えられるもんじゃない

しかもぼくの場合、果たして本当に告白だと思われているのか分からないのだから質が悪い

その上で約一週間何の連絡も無く放置されっぱなしなのだから、毎日葛藤である

もしかしてぼくのこと気持ち悪いとか思ってるのかも
ぼくは男で相手も男だし、気持ち悪いと思われるのも仕様がないのかな
原点に一回戻って、ぼくに魅力が無いというのも考えられる
ていうかぼくが告白したの忘れてるんじゃ無いのか?



…なんて
考え出したら切りがない
まさに恋心と秋の空、である





六日前、ぼくは零崎人識に、告白を、した

告白と言っても、バレンタインデーに興じてチョコレートを渡しただけだ
自分で渡した訳では無いし、「好きです」の一言すら言って無い



…言い訳をさせて欲しい
知人に渡して貰うまでは、あくまで自分の手で渡す予定だったし、ちゃんと告白の台詞も考えていた
その日は柄にもなく何時もより一時間も早く起きてしまった
朝から、ていうか大分前からぼくの心臓はばくばく鳴り続けていて、緊張と、不安と、少しの期待とが混ざり合ったなんとも言えない混沌とした心境



チョコレートと、携帯のアドレスと番号が書いてあるメモとを包装して、準備万端

あとは「好きです」の言葉と共にチョコレートを渡すだけ



口で言ってしまえば簡単な事だが、現実と想像は駆け離れている

ぶっちゃけ、今まで殆ど口をきいたことも無いのだ

そうそう話し掛けられる訳がない


そんな訳で、ぼくは渡す直前になって「やっぱり無理!渡せない!もう渡しといて、受け取って貰えるだけでぼくは幸せ者だから!」と叫んで逃げ出してしまった



知人談

「はい、これ受け取って」

「?何これお前から?」

「ちげえよ。取り敢えず受け取れ」

「おう」

「中にアド入ってるから連絡してやれよ」

「いいけどよ…誰からなんだよ。誰かわからねえまま連絡とる訳にはいかねえだろ」

「いー、からだよ」

「ふうん…」

「…感想は?」

「…、普通に嬉しいけど」





これを聞いたぼくは天にも登る気になった
だって、男から貰ったというのに嫌がる素振りも見せなかった

連絡をくれると言ってくれた

そして何より、ぼくからのチョコレートを、嬉しいと言ってくれた





告白だと思って無い
んだろうな、やっぱり

それでも、ぼくの中では精一杯の告白だった







そんなことがあってから早六日目

未だ彼から連絡は無い


本当に、望み薄なのかな…
いやでも一カ月は待った方が良いなんて知人は言ってたし

そんなこんなでぼくは待ちぼうけ







いいかげん、胸の苦しさがピークに達してきた


携帯は、まだぼくの気持ちに応えてくれる気配がない






ピーナッツバタークリームな毎日



ねえ、ぼくはまだ、あなたのきもちに期待しててもいいのかな



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