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with love
07 unconscious?

てな訳で。いーは紫木さんとよりを戻して、こんどこそ幸せなカップルになっちゃった訳です。その後もまあ、人識ちゃんが考えてるのと多分同じだよ」

「?同じって、」

「…はいストップ。そこまでだよ」
気怠げな声がその場の張り詰めていた空気を切り裂いた

「いっくん!いつからいたの?」

「そんなの問題じゃない。全く。勝手に人の過去を言いふらすもんじゃないよ」

「…ごめんなさい」

「ん、許す」

「あは。良かったー」

「大丈夫!心配しなくてもあの事は言ってないからさっ」

「あ、そうなの?」

「うんっ。だって「いー、さっきはごめんな。何も知らないで。じゃ、ちょっと用事思い出したから」

「え、ちょっと!」


なんか引き止められた気がしたけど無視してその場から逃げ出してきてしまった

心臓がばくばくと五月蝿い
冷や汗も出てきた気がする



頭の片隅に何か記憶の欠片が掠めたけれど、俺はそれを頭を左右に振って誤魔化した


果たして俺は、いーの過去を知ってしまって良かったのだろうか



というか何で俺はこんなにも動揺してんだよ
頭をがじがじと掻き毟って低く唸った




うーんさしあたってどうしようか
…いーは男嫌いだったんだな
いーの口調からして嘘には思えないし、それは断言出来るだろう
しかしそもそも何で男嫌いなんかになっちまったんだろうな

落とすのは案外難しいかもしれない

でも俺にだってプライドはある
たったの一回も狙った男を落とせなかったことが無いこの俺が黙って引く訳にはいかねえんだよ!

俺の名にかけて!絶対にいーを落としてみせるぜ!




そう言えば、俺が男だって事、薊高の連中はまだ気付いて無いんだよな
つか隠した気はなかったんだけど
周りが勝手に勘違いしたんだから、俺に罪は無い…筈だ
…ふむ、そうなるとやっぱり男だと認識させた上で落とした方が良いかもしれない
その方が色々とやり易い

…うん、考えはまとまった
これで当面の予定は大丈夫だ




しかし『あの事』ってのは何なんだろう
いーにはまだ秘密があるって事か
誰かに聞けば分かるかもしれない
頃合を見計らってクラスメート辺りにでもさり気なく聞いてみっかな
大丈夫
どうやら俺の心臓は落ち着きを取り戻してきたようだ









***

「人識ちゃん何高から来たんだっけ?」

「…?撫子高だけど」

「あー、そういえば俺、撫子高の面白い噂聞いた事あるんだけど」

「何々?」

「なんかさー。見た目はまじ美少女な男のホモが居るって」

「うぇーー」
一同は声を揃えて嫌そうな顔をした
更には「なるべく関わりたくねえな」
なんて口々に言い合っている
…はあ
まあいつもの事だ
そんな事言ってる奴に限って俺に落ちる癖に

勝手なものだ

かくいう撫子高も全校男子の殆どを俺に網羅されている
ほんとに余談

「人識ちゃんそいつの事知ってる?」

「知ってるも何も」
  . .
「俺がそうだけど?」








「…………………」

一瞬にして固まるクラスメートの顔は、面白い位に呆けていた









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