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with love
05 I fell in love with you.

そんなことがあったその当日も勿論塾はある


溜息


ぼくは何か悪いことをしただろうか

姫ちゃんから振られたものの、原因がさっぱり解らない

仕方無く付き合っていたことがバレたのだろうか
いや、そんな筈は無い

誰にも言って無いし、態度にも出ないように注意してたし





……もしかして夕飯のおかずのことを考えていたのがまずかったのか?






その後振られた訳だし


考えながら歩いていると、またあの感覚に襲われた



乗り換え駅のホームでまた見つけた漆黒の髪

ダッフルコートがよく似合っている

隣に居る友人らしき男と楽しげに話しているのを見ていたら、何故か胸が苦しくなった





まただ




この気持ちは、感覚は、なんなんだ




頼むから、そんなに笑顔をぼく以外のものに見せ無いでくれ







ん?

なんであの人がぼく以外のものに笑顔を見せたら嫌な気持ちになるんだよ



ああもう自分で自分が解らない
取り敢えず明日友人に相談してみよう

そうすればきっと、この曖昧な気持ちにも整理が付くに違いない







***

「そりゃ、恋だろ」

「あ?」
飲んでいたコーヒー牛乳を吹き出しそうになったけど頑張ってこらえた

仮にも友人宅
汚す訳にはいかない

恋?

だって相手は男だぞ

「まごうことなく恋だ」

「まじか」

そう言われてみるとそんな気がしなくも無いかも


「で、相手の名前は?」

「あー…」

「学校は?」

「えーと……」

「何も知らないのかよ」

「しょうがないだろ、まだ話したことすら無いんだから」

「だったら話し掛ければいいじゃん」

「…あ、そっか」

「お前本当に俺より頭良いのかよ」

「だって、今まで見てるだけで十分だったから」

「…兎に角、次会ったらメアドゲットしろ。でないと片思いのままだぜ」

「そっか…、そうだよね」

「…ま、俺はい「話は聞かせて貰ったぜ!」

「あ、こんにちは。哀川さん」

「…姉ちゃん、気配を消して近づくな!」

「おー、悪いなー。あといーたんは哀川さんて呼ぶなって何回言えば分かるんだ?ん?」

「…訂正します。こんにちは。潤さん」

「それでよいのじゃ」

うんうんと頷いて満足気に笑っているこの人は、哀川潤と言って、ぼくの友人…もとい大垣志人君の姉である

名字が違うのは、なんか家庭の事情とやららしい


「で、姉ちゃんが何の用だよ」
(いーと良い雰囲気だったのに)とかぶつぶつ言っているが敢えてスルー

「優しい優しいお姉様がいーたんの恋路を応援してあげようと思ってさ」

にやり、笑う潤さんを見て、嫌な予感がした

「ぐ、具体的にナニをして頂けるのでせうか…」

おっといけない
歴史的仮名遣い訛りが出ちゃったよ

「お姉様がいーたんを可愛くしちゃうゾ★」

いやいやウインクとかされても

あー、冷汗が


「つー訳で志人」

「なんだよ」

「いーたん抑えてて」










***

「………」

「いーたん可愛い!」

「………」

「似合い過ぎだろ」

「…………」

「んん?なーに?黙りこくっちゃって」

「この格好で、アドレスを聞き出すんですか」

「当たり前乃助よ!」

「頑張れいー。ほら、女に間違えられてた方が聞き易い…かもな?」

「疑問文で言わないでくれ」

説得力無いよ!

女装まではいってないけど、今の格好はかなり恥ずかしい
仮にも男子中学生だし

満足そうな顔で見るな



もともと垂らしてあった前髪は横に分けてピンで留め、ワックスで全体を整えている

如何にも女の子が着るような古着にカチューシャ(ヘアバンドとも言うんだっけ)




こんな格好を見れば、流石にスカートは履いていないにしろ誰だって女の子だと信じて疑わないだろう



実際、ぼく自身鏡の前に立った時あまりにも自然過ぎて驚きで声が出なかった

誰だこの女の子は

いや、自分なんだけどさ



女の子の方が聞き出し易い…のかな

まあ格好は関係ないだろう



そうこうしているうちに塾に行く時間になった


腹を括れ自分!
たかがメールアドレスを聞き出すだけだし




ぼくは潤さんと志人君にお礼を言って塾に向かうことにした









まさかの次回まで続く昔話
いーたん(前髪ピン留め)とダッフルコートが似合う少年(笑)はえむえすにいますので探してみて下さいー
ついにいーたんが恋に落ちて●●にアドレス聞き出しに行きますー
ここからが修羅場になります
●●●●●の理由がついに明かされます


続きの後押しをして下さったちきんさまありがとうございました(・∀・)ノ



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