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with love
01 まいしーくれっとうぉりーあばうとゆー

「いーたんっ」

どん!と派手な効果音を立てて、人識ちゃんはぼくの机にハンカチで包まれた弁当箱を置いた

凄い剣幕だ

「………む、」

一旦口元から箸を離して、ちらりと目線を上げた

「今日こそ一緒に弁当食って貰うかんな!」

「またそれ?」

「いーたん」

ジト目で見られてもなあ、別に構わないってぼくはいつも言ってる筈なのに

「人識ちゃん、一足遅かったねっ!いっくんは今日あたし達と食べるんだもん!ほらしっしっ」

ぼくの膝に乗ってサンドウィッチをかじっていた巫女子ちゃんが言……って、は???いつの間に乗ったんだ巫女子ちゃん

「今日はじゃないだろ、いつもだろ」

「だとしても来るのが遅い人識ちゃんがわるいんだもんっ!」

「う……」


晴れて時間を超えての両想いが発覚したぼくたちだったけど、なんかこの頃(人識ちゃん曰わく)女の子のガードが半端ない、そうだ
ぼくは野郎より女の子の方が大好きだから寧ろ嬉しいことだ、と内心嬉しかったりするのだが、人識ちゃんの方はそうではないようだ(実際に言ったら凄い目で睨まれた)
ぼくを落とす宣言をしたからっていうのもあるんだろうな
実際人識ちゃんに迫られてこんなになびかない男も珍しいらしい

で、その結果
出会って始めの頃はぼくが人識ちゃんを誘って断られていた訳だけど、今はその逆になっていた(人識ちゃんと違ってぼくは断ってないけど)

「ふふー、ねーいっくん、あーん」

「……?ドゥトロワ?」

「がくんっ!」

「かははっ、いーたんにそっち方面のデレを期待するのが間違ってるって」

「うーー」

「あはは、巫女子ちゃん、どんまい」

「うー、ともちゃんーー」

くすくすと笑いながら智恵ちゃんが後ろから腕を回してきた
わお、結構智恵ちゃんは大胆だったりする

「ふん、大体人識ちゃんは師匠にあんな酷いことをしておいてよくもむけむけと好きだなんて言えるですね」

「むけむけじゃなくてぬけぬけだよ、姫ちゃん」

「師匠はむちむち律儀ですー」

「―………」

スルーだよね、うん

「しょうがねえだろ、いーたんが女にしか見えなかったんだから」

「確かに師匠に女装が似合いすぎな件については同意しますです」

「いや、しなくていいよ」

「確かにそこは否めない……」

「否めないね」

「否めないんだよ」

「確かに」

「揃って言わないでよ」

女装が似合うなんて言われても全然嬉しくない
…大体そのせいで人識ちゃんに振られたようなもんなんだしさ


「あ、そう言えば志人くんは?」

「ん、もうすぐくんじゃねえの?」

「ちょっと遅いような気がするんだよな…」

「かはは、あんなガキほっとこうぜ」

「…迎えに行ってくる」

「えー、いっくん行っちゃうの?」

「そうだよ残っててよー」

「いや…、大丈夫だから。ほんのちょっとだし」

「なら俺もい「人識ちゃん、このスイートポテト美味しそうでしょ?これ巫女子たんが作ったんだよ〜!」

「じゃ」

巫女子ちゃんが気を回してくれて助かった
お察しの通り、ぼくは今、人識ちゃんを避けている
先刻までぼくは、避けていないなどとほざいていたかもしれないが、それは虚勢を張っただけだ
女の子達にも、頼み込んでわざと邪魔をしてもらっていたと、ただそれだけだ
ほら、ぼくは基本的に嘘吐きだから

何故避けているのか
それは、実に簡単なことだ
明瞭に明快に言い表すとそれつまり



つまりぼくは、―――――怖い―――――のだった




→coming soon…


with love改めうぃず☆らぶ(笑)のぷち新章に突入です!
前の章では書ききれなかったことがあと少し残っているので、もう暫くふたりのお話に付き合って頂けると嬉しいです




あきゅろす。
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