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with love
10 Happy end!!!


「いー」

「………志人くん」

「ごめん」

俺は恐る恐るいーの機嫌を伺った

俺はいーをまた傷付けてしまった
あの時は謀らずとも、だったが、今回は意図的だったために具合が悪い

「……、ありがと」

「…え、」

「ありがとうってば、」

「        ……、」

ああもう、俺なんかに感謝するなよ

「…いや、実際あれを見せたのは怒ってるよ」

「……おう」

「…だけど、だから、辛い役、背負ってくれて、ありがと」

「  、」

「うん、分かってる」

ああもう

だから俺はやっぱりお前のことが、

「いー、大好きだぜ」

「何を今更」

ぷ、と笑ってみせたいーの顔が少し儚げに見えたのは気のせいだろうか
















***



全てに気付いたあと、俺はあくまでも気付いていない振りで通した
だって、それをいーに告げて何になるって言うんだ?
俺は浅ましくもまた同じことを繰り返すつもりなのか

いーと別れたあと、俺は校内をあてもなく歩いていた
頭で色々なこと―――これからのこと、今までのことを考えながら




と、目の前に影が広がった

重たい首を上げると、そこには

「いー」

「人識くん」

「…かは、もーばれちまったか」

「当然だろ、なんたってお前は」

「初恋の人……か」

「うん、忘れる訳無い。大好きだった」

「そっか、だけど俺は大好きだぜ」

「そう、ありがとう」

「…かはは」

「うん」

「そー言えばあいつ、あの目つきわりぃの、ありゃ誰だ?いーの知り合いか?」

「……目つきが悪いって言うと……、ああ、多分志人くんのことだね」

「へぇー、って志人ぉ?まさかあの大垣志人か?飛び級で高校入学した……」

「?そうだけど」

「なんなんだよお前の人脈はよ……」

あんな殻に籠もっちまってるやつとどうやったら仲良しになれるっつうんだ


と、いうか
納得
うん、納得だ
あんなのが相手じゃあ俺でも勝てない訳だ


「人生初の失恋を経験してどんな気持ち?」

「けっ、失恋なんかにゃさせねーよ」

「ふうん?」

「何が何でも落とす」

「生憎ぼくは身持ちが固くてね」

「あ?告白は誰からのでも受けてるんじゃなかったのかよ」

「それはつい先刻までの話」

「はあ?」

「好い加減ぼくは参ってるんだよね」

「………」

「あの日からぼくは好きっていう感情から逃げていたんだ。みんながぼくにとっての一番で、誰から求愛されても答える―――なんて具合にね。ぼくは、人が誰かを好きになる時、どんな気持ちでどんな感情でどんな心情かってのを痛い位に知りすぎているから」

「………」

「知りすぎていたからこそ、辛いのが苦しいのが傷つくのが嫌だったから、蓋をした。でもそれは同じ位に辛くて苦しくて痛かった。だからもう自分を騙すのは止める事にする。ぼくはもう、自分が好きになった人しか愛さない」

「………俺のことは」

「…君のことは、好きじゃない」

「知ってらあ」








「……まだ今は、ね」




end.



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