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いざ!
めりー!

息も凍るような聖夜、京都は純白に包まれた
珍しいこともあるものだ
そして、ぼくの耳や鼻、指先は赤味を帯びていて、……つまりぼくは今とても寒くて

時計塔にちらりと目をやって、時間を確認
…まだ、あと20分

「……ふう」

…少しはやく着きすぎたかな
所在無さ気に足踏みをする
さく、さく、
雪に足跡
コンクリートの黒が覗いた

その色は、あまりにも闇を彷彿とさせた
闇、闇、闇――

っと、思考中断
あー寒いせめてマフラー位、そこら辺ででも買って巻けば良かったかも
指を握って開いて、ぐーぱーぐーぱー
うん、少しは血の流れが良くなった気がする

まだ、あと15分

そろそろ足がかじかんできた
まあ、ぼくはもともと不感症ですし、(自分で言うのもなんだが)常と比べてもそれ程変わりは無いんだろうけどさ

人混みに目をこらしても、見付からない
まあ、どれだけ目を皿のようにして見付けようとしても、あいつの身長では意味ないけど
なんてったって、1m半弱
そんな身長では、ただでさえクリスマスで混雑しているのだ、人混みに隠されてしまうだろう
その人混みは殆どカップルで埋め尽くされていて、桃色の雰囲気に呑まれてしまいそうだなあ、とぼんやり思った

「よ」

「……遅い」

「待った?悪ぃ悪ぃ」

「――待ってない、今来たとこ」

ぼくがこいつとのデートに浮き足立って早くから待っていたなんて思われたくない
ちょっと意地を張った
可愛くない
いや、別に可愛くなんてなくてもいいんだけどさ

「――かは、意地っ張りだなあいーたんは。俺と会うのがそんなに楽しみだったんですかい?」

「あほ」

にやにや笑うその顔面に一発お見舞しておいた
むかつく奴

「どこ行きたい?」

「君が決めていいよ」

特に行きたいとことかないし

「……どこでもいいんだな?」

「?うん」

「よし、じゃあラブホに行こう」

「行かないよ」

「久し振りにえっちしようぜ」

「しない」

「なんで!」

「……一人で行けば?」

「ねえよ!」

「…はあ、で、ほんとはどこ行くの?」

全く、万年発情期が
…でも、本当に久し振りの邂逅なんだし、…………とも思わないこともない
ぼくもまだまだ甘い
絶対に言ってやらないけど

「んー………、式場の下見?」

「……ばか」


(なんで君はいつもそうやってぼくを満たすんだろうね)





end.


遅刻過ぎてすみません……!
ひええ



あきゅろす。
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