いざ!
微熱のような恋をする
『微熱のような恋でした』の続編です
未読でも多分差し当たりは無いかと………(汗)
「■■■■■■」
「……君は誰?」
「■■■■、■■■■■■■■■■?」
「さあ、覚えてるも何も、ぼくには記憶が欠陥しているからね。丁度………いつだったか、高校生時代の、記憶がね」
「…■■」
「…それは言わない約束…でしょ?君は、ぼくの記憶を知ってるの?だったら「■■■■■■」
「………悪かったよ。………はあ、全く、君は昔から本当に変わらない………、、って、ん?」
「■■■……、■■■■■■■?」
「その通りだ。ぼくは君のことは知らない筈だし、記憶なんて以ての外の筈なのにね。実に可笑しなことだ、笑えるね」
「■■」
「うん」
「■■■」
「分かってる」
「■■■■、■■■■」
「ばいばい、人間失格」
「………起きます」
首が重くて首筋に掌を当てるとひんやりと湿っていた
どうやら汗をかいていたらしい
こきり、音を鳴らして回すと、少しはましになった気がした
酷く滑稽な夢を見ていたと思う
それは、夢と呼ぶには儚すぎて、夢と呼ぶには現実味がありすぎる夢だった
夢…………ね
いつ振りだろうか
一つ溜息を吐いて空を見た
時計の針は既に7時半過ぎを知らせている
急がなければ
重い躯をどうにか持ち直して、ぼくはパジャマの釦に指をかけた
『…誰』
『玖渚友だよ』
『ふぅん、で、ここはどこ』
『君の巣だよ』
『へえ』
『ねえ、狡いんだよ。君の名前はまだ教えてもらってない』
『ぼくに名前は無いよ。棄てたから』
『ふぃーん、じゃあ僕様ちゃんが考えてあげるよ。へへ、何がいいかなー』
『………』
『××××……でもないし、×××××……?うん、×××××にしようかな』
『……×××××?』
『そうだよ。×××××…うん、×××××は今から、私の、玩具だからね。宜しく』
『……ぅん』
いつのことだったかはとうに忘れてしまったが、ぼくは玖渚友という蒼い少女に拾われたらしい
拾われた、というと聞こえが悪すぎてしまう感は否めないが、それは正に正しい表現だ
実際ぼくは、道のど真ん中にぶっ倒れていたらしいのだから
そんな所に偶々通りかかった玖渚友の気紛れな良心…いや、この場合は興味か?によって拾われたぼくは、だから彼女にとって良い暇潰しの玩具であり、ペットだ
良い意味でも、悪い意味でも
どこの馬の骨とも知れない男の衣食住を支えて……というか全面負担してくれている彼女を、ぼくは全くと言って良い程信用していない
だって、考えてもみろよ
こんなの、疾しい所があるとしか思えないじゃないか
「■■■■■■■■■?」
「――――五月蠅い」
「■■■■■」
「黙れ」
「■■■■■■■■■■■―――■■?」
「……っ、聞きたくないよ、そんな、昔の事なんて!」
「―――■■■■■■■■■■■■■」
「ぼくはもう、あの時の事は、忘れたんだ。そうでなくちゃ、駄目なんだよ」
「■■■■■■」
「……………………君が、少しでもぼくの気持ちを鑑みてくれていればね。ぼくは周りなんて関係無い。君だけが居れば良かったのに」
「■■■」
「………っ、他は何も、要らなかったんだ、本当なんだよ」
「…………」
「ねえ、何とか言ってよ、ひ」
――――ぶつん
「■■■■」
「――戯言、だよ」
大学に向かう道程でのことである
信号待ちのある瞬間、ふ、と怖気がした
それは本当に背中を撫ぜるような僅かなそれだったが、確実にぼくに震えを残した
直後、排気ガスが鼻先を掠めて、ぼくは眉根を寄せる
厭だ厭だ
「――俺、この家出て行くよ」
「え?」
思わず箸を止めて目の前の彼を見た
「いーたんもテキサスに留学が決まったんだろ?」
「…うん。それはそう、なんだけどさ、でも、だからって」
「お互いにさ、帰れる場所はあっちゃいけねぇんだよ。俺等はさ、もう元には戻れない。引き返せない所まで来ちまってんだよ」
彼は、夕食の素麺(ぼく作)をすすりながら、何とも無しに言ってのけた
「…ねえ、本当にさ、終わりなの?」
その言葉が孕んだ意味を、君は態と間違えた
「…ああ、高校には休学届出してあっから気にすんなよ。もしかして退学届の方出したかったのか?かはは、駄目だぜ兄貴。ちゃんと卒業しとかないと後が大変だからな」
「…ううん、大丈夫。留学届で、合ってるよ」
ならその間君はどうするんだとか、料理なんて全く作れないのに3食どうするのかとか、聞きたいことは沢山あったのに、喉に何かが詰まっているかのように言葉が上手く出てこかった
信号が青に変わり歩道を渡ろうとすると、小柄な少年が白線の向こうから歩いてくるのが見えた
「なあ、あんた」
「………」
如何にも軽い調子で声をかけてきたそいつは
「道教えてくんねえ?丁度この辺りの筈なんだけどよ」
「……は」
「井伊って家。久し振りだから忘れちまったよ。なあ」
「………っ、ぅ…………う」
静かに嗚咽を漏らしたぼくに、相手は悪戯に優しく笑ってみせた
「なあ、知らねえ?」
「…ぅ、」
家なら、ここにある
ふわり、広げられた両の腕を見て、その後はもう同じ鼓動を共にした
「おかえり、兄貴」
「…ただいま、人識」
数年振りの愛しい人の腕の中は、それはもう暖かくて、もう離すもんか、心の中呟いた
お粗末様でした!
前作の続編とのことでしたが、ぶっちゃけ僕自身わっけわっからーん状態です
なにこれ書きたいこと大杉る
え?でもこれ連載ものじゃなくね?
みたいになってこんなことに…
ぼ、僕のせいじゃないんだからね!←
なにはともあれ、僕としては二人をはっぴーえんどで終わらせることができて何よりです
実際は二人の物語はこれで終わりなんかではなく、むしろこれからがすたーととも言える訳です
元案協力して下さったつっきーに至上の感謝をこめて
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