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いざ!
美穂さま5000ふりりく *零僕


「あ、そうだ」

「欠陥に会いに行こう」

鴨川のあたりを歩いていたら、無自覚にそんなことを口走っていた

気紛れに歩いていた筈なのに何故だか足はそちらに向かいはじめていたのだから、
ある意味これは自分への確認作業のようなものだ

うん、久しぶりに欠陥をからかいに行ってやるのもいいかもしれない

丁度持ち金も底をついてきたことだしいい頃合だろう

軽く鼻歌を歌いながら歩いていく

足取りも軽くなんだか良い気分だ

大原女屋の前まで来た所で何故か足が止まった

なんでだろう

なんだか覗かないといけないような気がする

大原女屋の入り口でしばらく悩んで、結局入ることにした

なんだか今日は気分が良いし、あいつの所へ行くのは急がなくてはいけない訳じゃ無いし

第一アポも取ってないんだから行っても行かなくても構わないのだ


………甘いもん食いたいし



以上、言い訳



大原女屋に入って座席に着こうとしたら、視界の隅に茶がかった髪の男が入り込んできた


まさか


思わずもう一回確認した

まごうことなく欠陥製品だ

あまりのことに思わず口が開いてしまった

「………まじで」

だが、しばらくしてもあいつは俺を気にも止めない


俺はあいつの存在に気付いたが、あいつは俺の存在に全く気付いていないようだ

欠陥に気付かれていないのを良いことに、凝視してみる


相変わらず湿気た面してんなあ

あんなんで人生楽しいのかね

自然と頬が緩んできた


会いに行く手間が省けたな


このままぼーっと眺めていても何も始まらないし何よりつまらない

元はと言えば俺は欠陥をからかいに行く為に歩いていたのだ


片手を上げて気障っぽく挨拶をする

「よ、欠陥、相変わらず湿気た顔してんな」

席を立ち欠陥の元へ歩き出すものの、足が止まった

上げていた手が自然と下がっていく


欠陥はひとりではなかった

それはそうだろう

欠陥は大抵どこにも出掛けずに家で本でも読んでるし


欠陥は誰かと一緒でもない限り外出はしない奴なのだ

大学には時々行ってるけど

そんな訳で

だからこそ俺は欠陥のアパートに向けて歩いていたのだ


連れ人を見てみると、いつか話したことがある、隣の部屋のねーちゃんだった





「あ、零崎」

ばちん、欠陥と目が合った

隣のねーちゃんも軽く会釈をしてきたが、そんなのは眼中に無かった

やけに嬉しそうに隣と話す欠陥を、ただ無表情に見る

常が湿気た面のあいつでも、稀に表情が変わる

そんな微妙な表情の変化に気付けるのはほんの一握りだ


なんて優越感


バッカみてえだ


「なんだ欠陥、美人とデートか。妬かせるなあ、かははっ」

なんでだろう

甘いものが食べたかった筈なのに、そんな気はもうしぼんでしまっていた

今は一刻も早くこの場から消えてしまいたい

「零崎こそこんな所で何してんの?ヒューストン行くんじゃ無かったっけ」

「んー、なんか気が変わってな」

「へえー」

「ん、じゃ。俺はもう行くから」

「一緒に食べてかないの?」

「私は構わないが」

「止めとく。じゃーな」

背中を向けて歩き出す



あーあ
もやもやとした気持ちはまだ離れない

どうしてこんなに苦しいんだろうな



「くそっ!」


そこら辺のゴミ箱を蹴り倒してみても足が痛いだけで、スカッとなんかしなかった

「……痛い」

何が?
そんなの「足が」に決まってるだろう



ふらふらと歩いていたら、やっぱりたどり着いたのは欠陥の家で

俺、呪われてんのかね


不法侵入?
知ったことか

ドアに鍵を掛けただけで防犯になっているなんて考えてる奴が悪いのだ

あいつの部屋の畳に腰を下ろして壁に背を預ける


もう何も考えたくなかった


俺はゆっくりと瞼を閉じた












「…………き」

「……ざき」

「…ろざき」

「零崎!」

「………ん、ああ?」

「勝手に家に入るなっていつも言ってるだろ。ていうかなんでここだけ畳剥げてんの」


そういえば欠陥の家の周りの草むしりする夢見てた気がする


「わりぃわりぃ」

「絶対悪いと思ってないだろ…」

「甘味屋はもういいのか?」

「ああ、甘味屋は零崎が帰った後直ぐ解散になった。しかも何故かみいこさんに謝られた」

「そっか」

「零崎今日口数少なくない?いつも一方的に喋りまくって帰っていく癖に」

喋りまくってんのはお前の方だろ


「そうでもないけどな」

またふつふつと怒りが湧き上がってきた

「おい、本当にどうしたん……っ!??」


ダンッ

俺はいーたんの襟元を掴んで壁に押し付けた

「っ痛!」

「俺がどうしたのかって?決まってんだろ
俺は今むかついてんだ!むかつくとイライラするんだ!
せっかく俺が会いに行こうとしてたってのになんで、こういう時に限って女とデートなんかしてんだよ!
しかも楽しそうに話してて…………っ俺は」

今の俺は酷く滑稽な顔をしているのだろう

まるで泣きそうな位に


「零崎…?」

もう止まらない

理性なんてとっくに消え去っていた

「みいこさんとやらの美人さんと一緒に出掛けられて嬉しかったんだろ?
嬉しそうに喋ってただろうが!
なんで、なんで帰ってくんだよ!
美人とデート出来る願ったり叶ったりの機会自分から捨ててばっかじゃねーの?
なあ、なんとか言えよ!」

「………零崎、もしかしてそれってみいこさんに嫉妬してるの?」

「嫉妬………?何言って」

「要するにさあ、やきもちでしょ?それって。良かった、僕も」

「…………やきもち?」

欠陥が何か言ってるみたいだったけどそんなの耳に入ってこない

俺が、欠陥に、やきもち?
嫉妬?


瞬時に理解した


襟元から手を離すと、欠陥はどさりと畳に崩れ落ちた

「………欠陥」

「…何」

「好きだーーーーーーーっ!!!」

「ちょっと、え?待ってよ何言ってんの僕の話も聞い……」

「いやーすっきりしたな!そうかなんかもやもやすると思ってたら俺が欠陥のこと好きだったからなのか。気づかなかったぜ!ありがとな、欠陥!」

頬が蒸気して息が荒くなっていく
興奮した頭はもうストッパーが効かなくなっているようだ

「あ、うん。どーも」

「なあ、今から俺お前に告白していいか?」

「それって了承を得てからするものなのか?」

「いいから!」

「………駄目だ」

「え゙!なんで!」

「ぼくがしたい」

「何を?」

「〜〜〜っ、だから!告白!」

「はあ?なんでそうなるんだよ。確かに俺らは鏡だけど、自分の気持ち位自分で」

「〜〜っだから!気付けこの鈍感男っ!自分が恋してるのにも気付かなかった癖に!」

「なっ!」

流石に言って良いことと悪いことがあるぞ

「僕も、零崎が好きなんだよ馬鹿野郎」

「………え?」
ええええええええええええ!!

欠陥を見ると、ふいと目を逸らされた
真っ赤な顔が髪の隙間からちらりと見える

「……みいこさんとデートしてごめん。これからは気をつけるから」

「お、おう。ていうか欠陥ずりぃ!俺が告白したかったのにぃ!」

「良いだろ、結局は両想いでした。ちゃんちゃん、だしさ」

「良くない!むっかー!悔しいから俺からも言う!欠陥、好きだ愛してるー!」

「もう遅いよ」

「………ちょっと面貸せ。表に出ようか」



そんなこんなで告白するはずが告白し返され

撃沈したけど両想い

晴れて俺達は恋人同士になった







end.







まとまった…のか?
美穂さま5000hitふりりくです
お持ち帰りおっけーは美穂さまのみですよ
零がいーたんに告白する、というしちゅ指定でした
が……ちゃんとなってますかね?
そして零がまたしても阿呆の子です
零、いつも扱い酷くてごめんね!

あ……甘くない
何故だ
甘くないなんてどうしよう
おまけは甘くしたのでそちらで糖分補給をお願いします★
えへ★
い、石を投げないで!






おまけ

ちょっと得路い…かも←
そして本文とは全く関係無いという事実
ちょっと殴られに逝って来ます


あきゅろす。
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