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「今帰ったよォ〜」
ズ…ズズッ…
獲物を引きずりながら着いた先は、ボロボロの小屋。ボルサリーノはここに2人で住んでいた。
「…おう、ご苦労じゃったな」
中から出てきたのはこれまた小さな少年。ボルサリーノとは3つ下になるが、10とは思えぬ程に目付きが鋭く、帽子に正義の文字が刻まれている。
「水を貰えるかい?わっしもう喉がカラカラだよォ〜」
「…待っちょれ」
そう言うと少年は中に姿を消した。目付きは厳しいものの、優しい心根であることが分かる。彼の名をサカズキといった。
「ほれ」
「ありがとうよォ〜」
サカズキから竹で作ったコップを受け取る。
「…しっかし、また虎か…」
「わっしの獲物に文句があんのかいサカズキィ〜」
「文句があるわけじゃないが、虎は臭みがのォ」
「そっれを文句って言うんじゃないのかねェ〜」
そんな事を話ながらも、サカズキは既に右手に持つ短刀で虎の毛皮を剥いでいる。手馴れた様子で分厚い毛皮を剥ぐ手捌きは、とても子どものものとは思えない。
「この毛皮は使えそうじゃのォ」
「洗って干しとくかい?」
「ああ」
ボルサリーノとサカズキは、2人でこの小屋に住んでいる。3日にいっぺん、交互に狩りに行き、食料を調達する。今回はボルサリーノの番であったのだ。
「今日は虎肉の肉じゃががいいねェ〜」
「じゃが芋はないからただの肉になるが?」
「それもまたおつだねェ〜」
…中々楽しく暮らしている様だ。
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