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謙+ユウ
(光←謙)



春の屋上は意外に風が強く肌寒い。学ラン着てくるべきやった。
ユウジの緑っぽい髪が風になびいている。

「なぁ、ユウジ。」

「なんや。」

「財前の声マネしてくれへん?」

「は…?なんやねん。まぁええけど。『先輩、きもいっすわ。』これでええやろ。」

ユウジはいやそうな顔をしながらも渋々してくれた。
ユウジの声帯はどうなっているんだろうか。その声は財前そのものだ。
こうして目を閉じれば財前がここにいるような錯覚さえいだく。

「じゃあ、そのまま好きっていって?」

「…謙也くん、好きです。」

「…っ。」

目をあければ目の前にいるのはユウジで。その事実は変わらない。
ユウジは気怠そうにグラウンドをみおろしている。

「…ごめんな、ユウジ。こんなことに声マネ使わせてしもて。」

「使用料は高いで。後で覚悟しとくんやな。」

「え、使用料とかとるんかいな!」

「当たり前や!タダで使おうやなんて考えが甘いで。」

ユウジは悪戯っぽくにやりとわらった。その顔があまりにもわざとらしかったので俺もつられて笑った。



(ユウジ、今度オクラこうたるな!)
(オクラ単品かい。)


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