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2019-05-02(木)
エフスト完結報告

 Fictional forestが完結しました。
 なんだか思ったよりも時間がかかってしまいました。平成が終わる前どころか昨年度じゅうに書き上げるつもりでいたのに、ぼんやりしていたら新時代に突入していました。なんてこった。
 いくつか要因があります。まず滅多なことではスランプになんて陥らない私が一週間強も文を書けなくなる大事件に見舞われてリハビリにも時間をとられました。三話を書いていた頃です。スランプの理由はさまざまです。
 ひとつには、この作品は私にしてはきわめて珍しくプロットを先に組んでから執筆したということがあります。
 私はたいていまずお話を書きながら少しずつ彼ら(登場人物)について理解を深めていくタイプだったので、「彼らの気持ちがまだよくわからないのに、決まった行動をさせ、しかもその描写を心的に深めなくてはならない」という壁にぶち当たりました。なんだこれは……むずかしい! ふだんからプロットを組んで書いてらっしゃる方はどうしているんだろう。すごいです。尊敬です。
 しかし、プロットを組んでおく利点は、とかく、書き直さなくても良いことですね! ふつうは当然なのかもしれませんが、私はこれまでひとつの長編をいちどで完結させたことがなく、しかもそれは二回とか三回とか生易しい回数ではないことがままあります。彼らとの対話を深めていくうちに、過去に書いた展開が不自然に見えてきて、またいちから書き直しをはじめてしまうのです。見あパラなんて十周はしましたよ。マジで。
 今回完結しましたエフストは二周目です。一周目は、数年前に書き出して、いまのエフストだと二話の途中くらいで更新停止していたものです。一周目もべつに解釈違いはなかったのですが、書いた時期がだいぶ昔で、文章の色味が変わってしまったのでいちから書くことにしました。
 いちから書くことにしたついでに、文章の書き方を一新しました。一周目は縦書きに耐えるような厚めの文にしていたのですが、今回のコンセプトは「ノベルゲームに映える文」でした。具体的には、一文ないし一行の字数にある程度の制約を設け、改行をメチャクチャ増やし、ことばで語る情報量を極力減らして、ワンクリックごとに一行ずつ読み進めるという想定を常に念頭に置きました。このへんは他作品と読み比べていただければだいたいわかる感じだと思います。これは、いずれまたノベルゲームを作りたい気持ちがあるのでよっしゃあ練習するぞおという軽い気持ちでの挑戦でした。賛否両論ありそうです。読みにくかったらごめんなさい。
 さて、ぐだぐだと製作秘話みたいなことを言いましたがそろそろ中身について触れます。
 エフストは、いままでの私の作品とはだいぶ違います。先にのべたように文章もぜんぜん違うし、なにより世界が滅びません! 暴力的な描写もほとんどないし、命がテーマではありません! それでも、このお話は走馬灯シリーズのなかでもかなり重要な、核心的なポジションにあります。時系列で言うと見あパラ二章の前です。二章の謎への解答もいくつかあります。
 あ、もちろんシリーズにかかわらないエフスト独自の展開もありますというかそっちがメインなので、拙著初見さんもウェルカムですよ?
 無の在処を問う。神様はいないし、過去は証明できない。そういうことを言うだけの作品でした。おだやかな現代のどこかの町に暮らす少年少女の、べつに世界を懸けてなんかいないけれども、切なる想いのお話でした。そんな感じです。あとのことは本編に書いてあります。
 これからお読みくださる方、もう読んだよという方、ありがとうございます。よかったらあなたもどこにも無いものへ思いを馳せていただくと良いかなと思います。つらくなったらやめてください。
 ではそろそろまとめを。
 また一作品、書き上げることができたのは、いつも言うようですが見守ってくださるみなさまのおかげです。本当に支えられています。ありがとう。ご都合がよかったら、これからもよろしくお願いいたします。


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