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140文字他SS置き場
※CP表記の無い物は、ほぼ土銀か高銀

2010-04-01(木)
− 無自覚な男 − (8)


 銀時が瞠目した。
 土方が動くのを止めた。
 二人の視線が絡む。お互い注がれるそれに、熱があることを初めて知ったような気がした。
「ひじかた……」
 磨き抜かれた黒曜石のような瞳が鋭さを失い、握っていた手を振りほどかれた子供のように戸惑いを滲ませていた。
「てめえを抱いてるヤツとは……、今も続いてんかよ……?」
 感情を無理に押し殺した抑揚の無い声音。
 静かな問いに、銀時は小さく首を左右に振った。
「……いや……、多分、終わってる……」
「多分って、なんだよそりゃあ?」
「はっきりと、お互いが口にしたわけじゃねえが……」
 もう駄目なんだ。と銀時は続けた。
「……てめえにそんな……、本気で傷ついたような顔させるたぁ、むかつくやろうだ……」
 須臾の間も置かず怒りを剥き出しにした土方がぎりりと奥歯を噛み締め動きを再開した。
「んぁっ、ひ、じかっ」
「くそっ、捕まってろ。優しくしてやりてえってのに、抑えが、き、かねえっ」
「ん、……あ……っ」
 銀時の手が土方の背にまわされる。刹那、凄まじい奔流に押し流されたかのように体の自由が奪われた。指一本、自分の思う通りに動かすことが出来ない。
「……あっ……んっ、ひじかたっ、……ひ、じかたぁ……」
 水の幕を張り、見開かれた銀時の瞳は最早何も映してはいなかった。
 代わる代わる間隔を狭めて漏らされる吐息。
 後に引けなくなりそうな恍惚感に銀時の頭の中がメルトダウンを起こしかけていた。
 やばい、囚われちまう。
 体だけではなく、心まで持って行かれる前に―――、と身構えた瞬間、

「っ―――!!」

 声にならない高い嬌声を発しながら、自分の知らない場所を強い摩擦で押すように刺激された銀時の肢体が上り梁(やな)に打ち上がった鮎のように飛び跳ね、びくびくと顫動した。

「……どうした……?」
 驚いた土方が体を強張らせ、物怪(もっけ)顔で銀時を見下ろしていた。
 茫洋とした赤瞳が一拍ほどの時を置いてゆっくりと土方に焦点を合わせる。
「ひ、じかた……? いま、の、……な、んだ……?」
「……銀時……」

 暫くして何かを察したらしき土方の心が歓喜に満ちた。
 足を肩に乗せ、最奥めがけて熱塊を穿つと銀時が全身を震わせながら悲鳴をあげてのたうった。
「ここ―――、触れられてねえのか……? ……まだ誰にも?」
 中に入れっぱなしの土方の体積が増した。と同時に銀時が苦しそうにくぐもった声をあげた。


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