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最近は陽樹の日記状態になっております(汗
2013-05-21(火)
SP続きとかね

ささみさんを囲む会が素晴らしく楽しかった件。


そして、ひっさびさに尊敬するmiyaさんに会えて、褒めてもらえて調子に乗ったので。

この前のSPの続きとかをば。



拍手・コメントありがとうございます!!!
お返事、近いうちにさせて頂きます!全部拝見しております!!
遅れてて申し訳ございません><



−−−


キングサイズのベッド、オレンジの間接照明が優しく部屋を照らす。

リビングよりやや小さいベッドルームの窓もカーテンはひかれていないから、都会の煌びやかな明かりはここにも届いていた。

あれだけ動けないのなんだのと言っていた蔵馬は、しばらくすると自分で歩いてベッドまで行った。

サイドテーブルにグラスを置き、分厚い海外の文献を読んでいる。

どこの言葉で書かれたかもわからない本に、飛影は興味をそそられない。

それでも同じ部屋に移動し、窓辺の大きな一人用のソファに身を委ねて酒を飲む。

リビングに広がる夜景にはどうにも慣れないのに、ここから見ると落ち着くから不思議だ。

外は少し雨が降ってきたのか、静かな雨音がする。小さな雨粒が光に照らされて、また違う都会の顔を見せていた。きっと下の繁華街では、道行く人が足早に帰路をいくのだろう。

そんな喧騒とは全く違う、静かな部屋。オットマンに乗せた足は暗がりの中で白く浮かび上がっていた。

何をするでもない、こんな些細な時間を、飛影はひどく気に入っていた。

ふと視線を感じて、ベッドの方へ視線を向けると、いつの間にか蔵馬は本をサイドテーブルへ置き、じっと飛影を見つめている。



「・・・今度は何だ」

「眠いの。」

「寝ればいいだろうが。」

「なんで一緒に寝ないの」



膨れっ面をした蔵馬が薄明かりの中に映る。・・・忌々しい。

飛影は自分のグラスに残ったウイスキーを飲み干し、つかつかとベッドまで歩み寄ってグラスをサイドテーブルの蔵馬のそれと並べた。

眉を顰めたまま、蔵馬の横にもぐりこんで、布団をかけなおす。

擦り寄ってきた蔵馬からはツンとした消毒の匂いがした。



「痛むか?」

「まぁ刺されてるからね、それなりに。」



見上げてきた蔵馬の頭に腕を回す。そっと額に触れてみても、熱は出ていないようだった。

それを確認して飛影はだらりと両手を投げ出し、天井を仰ぐ。



「頑丈で結構なことだ。」

「お褒めの言葉ありがとう。飛影ほどじゃないよ。」

「鍛え方が違う。当たり前だ。」



ふふんと鼻を鳴らして、飛影はゆっくり目を閉じた。左肩に蔵馬の重みがかかるのも、いつものことだ。



「飛影はさ、」

「・・・」

「オレが捕まって、助けてー!とか言えば助けてくれる?」



突拍子もない蔵馬の問いに、飛影は思わず嫌悪に顔を歪め、視線だけ蔵馬に送った。



「・・・何その嫌そうな顔」

「ふざけるな貴様、何故俺が行かねばならんのだ」

「結構ひどいよねそれ。」



なにやら意味のわからないことを言い出したのは、さすがに怪我のせいと思いたいところだ。

飛影は見えない答えに苛立ちながらも、蔵馬に回した手で長い髪を弄る。

汗をかいたから髪を洗えと言われ、ブローまでしてやった髪のさわり心地は悪くない。



「大体な」



飛影は少しだけ顔を蔵馬に向けた。

痛み止めの薬が効いている上、それなりに飲んだ蔵馬の瞳は潤んで飛影を見上げる。

わざとかと嫌味を言いたくなるのはぐっと押し込めた。

反応しかけた自分自身を戒めるのは白い包帯と薬品の匂いだ。



「お前、同じことを俺が言ったら来るか?」

「えっ何キモチワルイ」

「そうだろう、同じ気持ちだ馬鹿が」



言い終わって、飛影はそのまま蔵馬に覆いかぶさった。

首元に一つキスをして、蔵馬をまたいで左側に回る。右手を蔵馬の頭に回して、また体重をベッドに預けた。

途端に、包帯を巻いた腕が飛影の胸に回る。黒いタンクトップをぎゅっと握って、蔵馬は微笑んだ。



「ありがとう。でもオレ、右腕より左脇の方が痛い」

「・・・」



飛影は無言のまま、また蔵馬の上を通過した。今度はキスなんてくれてやらなかったけれど。

しばらくして事切れたように眠りについた蔵馬を、飛影はじっと見つめた。

頬に張り付いた髪を指で拭い、輪郭をなぞる。だらしなくあいた半開きの乾いた唇を癒すように、ペロリと舐めたら、自分が飲んだ酒の味がした。


自分たちは、恋人同士とか、そんな綺麗な関係ではないのかもしれない。

守りたいとも、守ってほしいとも思わない。けれど、誰より深く想う。この感情を表す言葉なんてない。

本当に蔵馬が自分だけのものになったら、そのときに何か変わるのだろうか。

そんな時は来ない。そんなこと、お互いがわかりすぎるくらいわかっている。


ふっ、と笑って、飛影はまた目を閉じた。

夜が明ければ、腹が減っただのなんだのと言い出すのだ。

朝はパンしか食べないと言い張るコイツに、明日は絶対に米しか出さんと心に決めて。


【Fin】


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