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不透明な愛を君へ贈る


2013-09-27(金)
亀の心臓


今日は何かがおかしかった。おかしかったと言うより現在進行形でおかしい。
浦原を見てると胸の動悸がおかしい。煙管をぷかぷか吹かしてる横顔なんて見慣れた筈なのに、冷たい視線にも慣れた筈で、フと小ばかにしたみたく微笑まれるのも慣れた…筈なのに。彼の全てに一々反応してしまう心が…基、心臓が…おかしい。
"黒崎サン、どうしたの"
全てを見透かすグリーンアイズが怖いと思ったのもなんだかオカシイ。いつだって彼の目は俺を見透かして冷たく心臓を貫くのに。
"黒崎サン"
名前を呼んでと縋ってしまいたくなる声も意地悪く低い。慣れた筈…なのにな。なんだか今日に限ってオカシイ俺の心臓はドキドキしっぱなしでバッテリー切れを起してしまいそうになる。
"…君からキスだなんて、今日はどうしたの?凄いね。心臓。ドキドキしてる、苦しくないの?"

「さわって」

"……おやおや。今日は甘えん坊さんの日なのかな?触って欲しい?このアタシに"
いつもならこちらの意思も罵倒も全て無視して進めてくるくせに。底意地の悪い男は性根の腐りきった思考回路でニヒルに笑っておどけてそう聞く。
素直にドキドキ高鳴った心臓を鷲掴みにする男の手中で、無我夢中で男を求めてしまう。ああ…やっぱりおかしい。

「さわれよ浦原、さわって」

"アタシ不足だったの?"

「わ、かんね…っ、辛い…」

分かっている事はそれだけ。
ドキドキ、バクバク、どっくんどっくん、ドキドキ。
今にも左心房から爆ぜて上半身と下半身が千切られて腕とか飛んじゃって鼻と口から血液垂らして目も虚ろになって思考回路が全て停止してしまいそう。それでも尚、心臓だった部位は肉片になっても動いていそう。まるで亀の心臓みたい。蛙の心臓みたい。
"どうやって触れて欲しい?"
耳朶を舐めて声を注入させる。声が拒否を肯定してくれない。羞恥心なんてもう感じないくらいには俺はおかしくなっていた。

「なんでも良い…どんな触れ方でも構わない…犯してくれても良いんだ…」
「…君の口から聞くには意地の悪い言葉だ」

お前の方が意地が悪いだなんて言えなくて。「ではお望みのままに」と言ってのけた乱暴な言葉でさえも甘く響いてしまう今日の俺の思考回路と体。
(どうにかなってしまいそう)
既にどうにかなっているのにそんな馬鹿丸出しの言葉が浮かんでそして熱に浮かされて、男が喜ぶ声を出した。










物騒な言葉とはウラハラに、おちてきた唇はとても優しい


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