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不透明な愛を君へ贈る


2013-09-26(木)
ただ単純にお前だけが世界の中心だと自惚れていた時期に、


地盤がぐらり、
揺らいで崩れてボロボロと、
足元がおぼつかない柔らかでいて脆い地面が足元をすくって、
ひゅるるるる、ひゅるるる、
堕ちて行く。
上も下も、
右も左も、
どこが空かだなんて分からなくなって
空に落ちてるんだか、地面に落ちてるんだか
分からなくなった。
それくらい、覚束無い。
ただ単純に俺の世界の中心にお前が存在してるんだって思っていた
なんて事ない独り善がりな気持ちを抱えたまま、
ただひた向きにお前に向き合っていた、
そんなつもりだった。
ひゅるるるる
落ちて行く音が聞こえる
地盤がぐらり、脆い脆い、やわこいやわこい。
ぐにゃり変な形で歪にも揺らいだ
ああ、そっか。
きっと初めっからこうだったんだ。
お前は気付いていた。
この気持ちが不確かなものだって。
不透明に近しいモンだって。
気付いてあざ笑って、それで見縊っていた。
"確かに貴方が世界の中心だった時がありました。"
俺は告げる。
空に告げる
堕ちていく空に。
"確かに恋でした"
ええそれはもう立派に醜くも不恰好な恋だったと告白する。
"でもこれは恋ではなかったみたいです"
ごめんなさい
謝った。
ひゅるるるる、ひゅるるるる。
音が響く、大きく大きく響いては鼓膜をぶち破る。
厄介な耳鳴りみたいに。
ひゅるるるひゅるるる
音が響く。
"恋、でした"
泣き虫な俺が、弱虫な俺が、世界の中心でもがいているのが見えた。
もう良いよ、って俺は告げる。
もう良いんだよって。
優しく告げる。
ひゅるるるる
確かに、恋が終わった予感が響いて頭が爆発しそうだった。
俺はゆっくり瞼を閉じて泣いていた。








恋が終わりを告げる不確かな落下音


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