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日々池田　 気まぐれに更新！
2006-11-26(日)
真夏の果実
髪を切った、自分で、最初から返すつもりなんぞ毛頭なく知人から借りた百円均一のすきバサミを駆使して。
２年と２ヶ月前以来、ずっとそうしてきた。何故なら美容師さんに切っていただき納得した経験が、高校を卒業する間近の冬休み期間に丸坊主にした時のみであり、偶然巡り合わせが悪かったのか、しかし計22カ所の美容院・理容院でないがしろにされ続けると、お金と時間と体力と愛想笑いの浪費が、全くもって無駄なことだと気付いたからである。
決め手となったのは、当時、キャバクラ通いにはまっていた先輩からお誘い受けた合同コンパにて意気投合し、セックスフレンドに発展させようと目論んでいたキャバクラ嬢との初デート当日、たまたまと言えば聞こえが良いが、まぁ時間に余裕が出来たのもあり、以前から気になっていた髪を整えるべく、近所に新規開店した美容院へ出向いたのである。
かねてからドレッドヘアーとアフロヘアーの良いとこ取りをした斬新な髪型に挑戦しようと思案していたが、椅子に腰掛けた途端にかの美容院の実力を見極めようと、いや単に悪戯心が働き「大人テイストのスポーツ刈り」にして下さいと注文したのである。
子供の時分より美容院に赴くと、決まってウトウト眠りに耽ってしまうのだが、ビクンッとなって目が覚めると収集のつかない事態に陥っていた。
我の髪型がまるでドラえもんの主要人物、骨川スネ夫みたいに拵えられており、更に時計を見ると約束の１時間45分前、かなり余裕をもって来たはずなのに一体全体どういうことなのか。聞くと、極めて完成度の低い骨川スネ夫ヘアーを拵えるのに約３時間と20分を要した模様で、怒りに身を任せ暴れ狂おうかと一瞬考えがよぎったものの、詳細を一切伝えずただ「大人テイストのスポーツ刈り」と発注したのは我であり、そんな無理難題を彼なりにやり遂げようと尽力したかと思うと途端に忍びなくなり、美容院を後にした。
急ぎ早に家路に向かう途中、最近百円均一で散髪セットを購入したと宣言していた知人に電話をし、とにもかくにもそれを持参し家に来てくれと、焦っていたので若干上から目線で言い放ったらば一蹴されたが、次に駄目元で、先日嫌々出席した親戚の結婚式にて頂いたバームクーヘンを見返りにくれてやると低姿勢で交渉してみると、見事了承を得たのである。
か程にまで我を追い込んだのには、キャバクラ嬢との約束の時間の行程を逆算してみると、我が家から待ち合わせ場所に少なく見積もっても30分、知人が散髪セットを持ち出向いてくるのにおおよそ10分、従ってこの時点で残り１時間足らずで、骨川スネ夫ヘアーを脱却しいわゆるイケメンへと変貌を遂げねばならなかったのである。

ザックザックザックザック、我の感性とフィンガーテクニックを駆使し手探り状態のままにザックザックザックザック。
いやはやこれがしかし、ものの見事にいわゆるイケメンの仲間入りを果たすことに成功し、その流れでキャバクラ嬢との落合にも成功したのである。
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