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SS×Short Short
2009-08-30(日)
メビウスの輪―TRC―

(本誌のネタばれを含みますのでコミックス派の方はまわれ右!)












―メビウスの輪―






「…さくら」

「小狼君…」


ぎしり、と一人では大きすぎるベットが、鳴き声をあげる。
薄暗い室内に二人きり。
どこが境目かもわからないまっ白い枕とシーツに体を預ける、さくら。
そのさくらを組み伏し、すべらかな頬に触れる、俺。

その手をそこから動かせずに、その先に進めない自分がいた。


前世で傍にいれなかった俺達。
また、ちゃんと会えて。手を重ねて、心を重ねて。
身体ごと全部、さくらと重なり合いたいのに。


『もう一度、この時を迎えることになる』

その衝動を抑える一言。別れ際の、魔女の言葉。
いままで十数年間考えてきた中の可能性の一つ。身体を重ねて、その先に待つ事。

生を受け、旅立ち、捕われ、戦い、選んだ小狼。
写され、旅立ち、無くし、亡くし、砕けた俺。


そんな俺たちには、本来はあるはずのない、関係性。
メビウスの輪のように歪み、ねじれ、いつの間にか一周している関係性。

さまよい続ける輪の途中には―――また『あの時』が存在する。


「………」

「…小狼君」

「…なんだ?」

「あのね…絶対、大丈夫だから」

「…え?」

「絶対、大丈夫だから」


俺の手にそっと手を重ね、祈るように瞳を閉じる。
神々しさにも似た眩しさが、一瞬目の前で輝く。


「何があっても、大丈夫。今度は護って、変えようよ。
 ―だって私たちは、一緒に在るんだもの」


優しく笑うその表情に、心ごと吸い込まれそうになる。
俺の気持ちも不安も全て分かってる、そんな笑顔だった。


「…あぁ」


応えるように僅かに笑うと、細くて白い鎖骨に、そっと口付けた―――。









―メビウスの輪―
(一緒なら 絶対大丈夫)








―――――
写身小狼×写身姫です。いわゆる初めてはなs((ry
写身小狼は子供が生まれたとき「やっぱり」と言ってましたし、自分の子供が小狼であることを
予測してたんではないかなと思います。
だったら子供を作る行為に対して最初は消極的だったのではないかと…なんだかすみません。完
壁に妄想です。甘々成分とりすぎて反動でシリアスな話が書きたくなってこんなお話です。
どこの次元でもさくらに「絶対大丈夫」って言って欲しいですね。いつか完成させよう…


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