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2013-06-28(金)
銀沖らしい銀沖

ちょこっと小ネタが浮かんだので、銀八沖を書いてリハビリしました。
銀沖辛い…。



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朝のまどろみの中で、ふわふわの銀髪を見つめるのが、好きだ。


夜遅くまで愛し尽くされた体は相変わらず気だるいものの、布団の中に収まりながら、視線だけ

は彼の動きを追っていた。
隣室のダイニングで朝一番のコーヒーを淹れる背中は俺より広くて、大きくて。微かに赤く細い

跡が幾つか見えるのは――俺が爪でつけてしまったソレなのだろう。

暫くぼんやりと見詰めていれば、ふと銀八が振り向いた。カーテンの隙間から差し込む朝陽にル

ビー色の目が煌く。
彼はカップをテーブルに置くと俺が占領しているベッドに歩み寄り、そっと腰を掛けるなり俺の

頭を柔らかく、柔らかく撫でた。

「起こしちまった?」
「…んーん」
「腰痛い?」
「…ん」

首の動きのみで返事を返す俺に呆れたのか、その目が笑う。
少し節くれ立った手が頬を滑り、そのまま唇をむにりと摘んだ。

「悪かったなァ。今日は我侭聞いてやるから」
「我侭も何も…痛くて動けやせん」
「明日も休みだし、泊まればいいでしょ」
「これ以上痛くしたら本当に動けなくなるって!」

アラサーの癖して――というかアラサーだからか――この人の性欲というものは俺のそれより強

いらしい。昨夜もいいように泣かされて酷い目にあった。

悲鳴をあげる腰を叱咤してゆっくり起き上がり、相手の頬を抓り返す。銀八は抵抗もせず大人し

く摘まれていた。

「アンタねェ、突っ込まれるだけでなく揺さぶられる身にもなりなせェよ」
「えー。気持ちいいんでしょ?」
「うるせェ。下手糞」
「はいはい、沖田は素直じゃねェんだから…下の口は素直なのになァ」
「くたばれ」

悪態をついて睨んでも銀八は笑うだけだった。しかも俺の前髪を梳いては楽しそうに目を細めて

いる。

――愛されている、とは思う。
俺の我侭を受け入れてくれるし、只管甘やかしてくれるし、毎日のように求めてくれるし。不満

も不安もない。
でも、どうして俺なのだろう、と疑問に思うのも事実だ。(いや、俺も好きだけどさ)

「まぁ、ツンデレ甘えん坊なのは分かってるけどね」
「誰がツンデレ甘えん坊でさ」
「おめーだよ。それに寂しがりやだしィ?」
「はぁああああ?」

どういう認識の仕方なのだ。俺のことをどう思っているのだ。解せぬ。

「寂しがりやなのはアンタでしょうや」

苛立ちをぶつけるように言い放った後、相手に背を向ける。そのまま布団を被り直して無視を決

め込もうとするものの、温かくて大きな感触に意識を奪われた。

「そうだよ。俺の方が寂しがりやなんだ。だから、一緒に居てくれ」


――嗚呼、このヒトは、とても……とても。


背後からの腕を撫でながら、抱き締める掌へと視線を落とす。
俺より大きな筈なのに、何故か小さな幼子の手に見えた。




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