名前変換無極短小説
※狂・グロ・微裏…含有※
shortの小ネタになるので内容が被ることがあります
2011-06-29(水)
嫌い嫌い病(吹雪)
「寒いから冬は嫌い」
「じゃあ夏が好きなの?」
「ううん、暑いのは平気だけど汗かくから夏は嫌い」
「秋は?」
「秋はこれから寒くなっていくだけだし何だか寂しいから嫌い」
「じゃあ春」
「春は毛虫沢が山出るから大嫌い」
「ねぇ、君って好きなものはないの?」
吹雪くんが呟いた。その声には呆れも何もない。吹雪くんに言われて気づいた。確かに好きなものがない。押し黙った私を見てちょっと口の端だけで笑いながら「それは寂しいよ」と吹雪くんは言った。
「寂しいのは私より吹雪くんでしょ?」
だっていつも私より吹雪くんの方が寂しそうだわ、と言えば吹雪くんは目を丸くして首を傾げた。吹雪くんが開けた窓から入ってくる雪が私の髪に、服に、顔にまとわりつく。机が濡れちゃうから嫌だなぁ、冷たいしなぁと思いながら吹雪くんと一緒にグラウンドを見た。グラウンドには派手なバスがとまっている。
「僕は寂しくないよ。みんながいるから」
寒くて冷たくて鼻がツンとした。やだな、鼻が痛くて涙が止まらないや。
「泣いてる」
「寒いからだよ」
寂しいのかな。親も嫌い、勉強も嫌い、先生も嫌い、友達も信じられない、そして自分も大嫌い。それが当たり前だったから寂しいなんて思った事がなかった。
「…でも私にだって好きなものくらいあるよ」
君っていつも会話が飛ぶよねって吹雪くんが笑った。でも吹雪くんはそんな私の話でも笑って聞いてくれるんだよね。だから…
「吹雪くんが好き」
だよ。
みるみる真っ赤になった吹雪くんを見て私は久しぶりに心から安心して笑った。
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思春期特有の嫌い嫌い病(^ω^)
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