Chess 「チェックメイト」 私は黒のキングを指で弾いた。指が少し痛い。 「お前……」 ルルーシュが珍しく目を丸くして私を見ている。私の実力、思い知ったか。 「賭けチェスなんてやってたくせに弱いな、ゼロちゃん?」 「その名前で呼ぶな……っ」 おお怖い。そんなに睨まなくても。 「お前、どうしてこれだけの頭脳を持ちながら表に出さない?」 「ん?」 「何もかもが中の中、わざと平均にしているな。宝の持ち腐れだ」 そこまで言わなくても……私はそれで満足してるんだからいいではないか。 「面倒じゃないか、天才とか秀才とか言われるのって。妬み恨み、尊敬憧れの対象なんて私の柄じゃない。あまつ変人扱いだぞ?」 「それは分かるが、変人というのはあながち間違っていない。むしろ当たっているだろう」 「何だと? 貴方こそ変人じゃないか。何、あのマスクとマント」 「………………黙れ」 黙る代わりにあかんべーしてやった。 ルルーシュの呆れた溜息。変人って言葉はアンタにこそお似合いだ。 話をしている間にルルーシュはチェスを並べ直し終えて、私を見据える。 「ラルシア、それよりもう一戦だ。今度は勝つ」 「返り討ちにしてやろう」 そしてまた始まる勝負。ルルーシュって案外負けず嫌いだな。 のんびりとした日常は、こうして過ぎていく……。 **** ギアス・ルルーシュ夢 拍手ありがとうございました! コメントレスが必要な方は文頭に○をお願いします。 レスはnoteにて。 戻る |