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※ジュディ♂ユリ♀現代パロ




「ユーリ」
「ん?」
「おいしい?」
「うん、かなり」
「そう。ならよかった」

向かいのテーブルで、綺麗にデコレーションされたケーキを幸せそうに口に運ぶ彼女。
そしてそれを同じく幸せそうに眺める自分。
周りから見れば結構鬱陶しいカップルだろうが、そんな周りの事情なんか知ったこっちゃない。
今はただ普段は大人びた表情を緩めて、愛らしい笑顔を見せる彼女を堪能していたい。
そう思えるのは、恐らく最愛の彼女を持つ男なら誰もが分かってくれることだろう。

現在ユーリとジュディスは大学の近くに最近できた喫茶店に来ていた。
女性受けの良い雰囲気と雑誌でも何度か取り上げられたスイーツの取り扱い店と言う事もあり
平日の昼だというのに店内は女性客のペアがちらほら。
その中には何となく見覚えのある女性達も居て、ああ同じ大学生かと察することができる。
ジュディスはそんな店内を一度見渡し、ユーリに視線を戻すと彼女は既にケーキを平らげてしまっていた。
砂糖の入ったアップルティーに満足そうに口をつけるユーリに、見ているこっちもコーヒーだけだというのに満足してしまう。

「満足?」
「うん。最近疲れてたし、すげー満足。また来ような」
「そうだね。さて、そろそろ行こっか」
「あ、俺払っとくから」
「だーめ」

テーブルにあった注文票を手に立ち上がったユーリの手からそれをひょい、と取り上げてジュディスも腰をあげた。

「ここは普通カレシの奢りでしょ」
「だって、ジュディコーヒーだけじゃん」
「いいの。こんな時くらいユーリの彼氏面させて?」
「・・・じゃあ、ごちそうさま」
「うん」

少し恥ずかしそうに言うユーリににこりと笑みを返す。
会計を済ませたジュディスはそんなユーリの手を取り、喫茶店を後にした。
街路樹の立ち並ぶ大通りに出たところでユーリの細い指と自分の指を絡め、所謂恋人繋ぎをする。
そのことに最初は初々しく恥じていたユーリだったが今ではもう大分慣れたらしく
ユーリからも自然とジュディスの手のひらにぴたりと合わせてくれる。

付き合い始めた当初はそんな女々しいことできないといいつつ
今では自分の要望に少しずつだが応えようとしてくれるユーリの姿勢をジュディスは心から嬉しく思った。

高校入学した時から追い続けてきた彼女と肩を合わせて並ぶ事ができるよう、自分は勉学以上に努力してきたような気がする。
それまで持っていた女性に対するイメージとは良い意味で掛け離れたユーリの姿。
初めて話した時は「好き」というより「憧れ」の気持ちの方が強かった。

昔から自分は馴れ合い、群れて動く女子生徒はどうも苦手だった。
高校の時、クラスの女子からも何度か話しかけられたことはあったが
それはいつも周りを囲まれて多数対自分一人と言った会話。
反応は皆同じで言うことも同じ、媚びるような顔と言葉で、女は皆こうなのかと思ったほどだ。
思春期の男子でここまで女性嫌悪が強かったのは自分くらいだと思う。
かと言って男子に興味があるわけでもなかった。

そんな時に出会ったのがユーリだった。
見た目は綺麗な女性なのに、中身は見た目に反し媚びず群れずの女らしからぬ女性だった。
男に近いとも言える性格だったのに男女共に人気は高く、自分も彼女には好意を持つことが出来た。
とある事件で彼女と接近し、会話をして、そこから自分の長い片思いは始まったのだ。

それから約三年の月日が経ち、お互い高校を卒業し同じ大学へと進学を果した今。
漸く募りに募った思いをユーリに明かし、友達からという前提で付き合い、そして現在に至る。
もはや今の自分達はそこらの恋人と変わらない関係になったと思う。
他人には滅多に甘えないと言うユーリが自分に何かと頼ってくれるようになったから、そう断言できる。

それまでの事をつい思い出し、ジュディスはたまらず隣を歩く少し背の低いユーリの肩を抱き頬にフレンチキスを送った。

「なっ・・・なにしてんだよっ」
「なんでもないよ」

ふ、と微笑んで肩を抱いたまま歩く。
ユーリは相当焦っていたが、やがて大人しくなり合わせて歩いてくれるようになった。
周りの目なんて気にしてられない。
これまで想い続けてきた分をもっと彼女と一緒に過ごしたい。

ジュディスは、ユーリから良く聞く「幼馴染」になんか脇目も振らせてやんない、と
顔もしらない「幼馴染」に敵対心をひっそりと燃やした。




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