!幼なじみ設定
!三橋君じゃない^^
!これ誰(笑)





真夏の昼下がり。
一番暑いこの時間帯、しかも外。
汗が首筋をつたい落ちるなか、
俺が歩くと後ろの足音も進んで近づいてくる。
「……」
すたすたすた。すたすたすた。
同じことの繰り返しをもう何回もしている。
すたすたすた。すたすたすた。
「〜ッ!隆ちゃん!」
俺はいい加減それが嫌になり、後ろからついてくる昔からの付き合いを持った、いわゆる幼なじみの名前を呼び、勢いよく振り返った。
それなのに原因である目の前の人物はあっさりとした笑顔で、
「ん?何だ、帰る気になったか」
この言い草。
「ならないっ、よ!隆ちゃんが、帰りなよ」
「なら一緒に帰ろう」
「も、帰らないってば!」
このやり取りだって、もう何回目だろうか。思わずため息が出そうになった。
「今日、俺楽しみにしてたの、隆ちゃん、知ってるっでしょ」
そうだ。今日は待ちに待った憧れの投手、榛名さんと会う約束をしていた日。すごく楽しみにしてた日。
一週間前くらいから自分でも分かるくらいそわそわしてたし、昨日なんてドキドキしすぎてあんまり眠れなかったくらいだ。
それなのに目の前の幼なじみと言ったらさっきから邪魔ばかりしてくる。
俺としては別に隆ちゃんが一緒でもいいんだけど、榛名さんは一人で来るんだぞって言ってた。
だから俺はさっきから止めてと言っているのに。聞かない。
「知ってるよ。俺、かなり妬いたもん。あ、今もだけど」
「冗談、いい!」
「は?冗談なんかじゃねえよ。だから今も必死でお前止めてんだろ」
「……っ」
その言葉に何も言えなくなった。
だって、俺と隆ちゃんは幼なじみであり、恋人同士でもあるから。
大切な隆ちゃんに、嫌な思いはさせたくない。

……でも、
俺だって楽しみにしてたし、いきなり榛名さんにキャンセルなんてそんなこと絶対にできない。


  









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