なんて事もあったけど、母さん元気かな? こっちに来てから随分経ったような気もするけど、実際には一日も経っていない筈だ。 早く戻らないと獄寺辺りが発狂しそうで怖い。 というか、早く戻って残り僅かな平凡人生を楽しみたい。 「―――しくん、綱吉君!!」 「え?あ、はい?」 「大丈夫?」 「何がですか?」 「涙、出てるよ」 言われるまで気がつかなかったが、確かに頬が冷たい。 人前でいや、人前でなくとも、泣くなんて何時以来だろう。 久方過ぎて、止め方が分からない。 「コムイさん」 「なんだい?」 「これって、どうやったら止まりますか?」 「・・・それはね、綱吉君」 いきなり前が真っ白に染まると同時に、体が温かさに包まれる。 その温かさが母さんに似ていて、心地よい。 「泣き止むまで、泣けばいいんだよ」 その心地好さに誘われるまま、コムイさんに言われるまま、俺は涙を流した。 |