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この世界ごと君にあげるよ【キバナル】






視野は狭い方が良い、とそいつに言った。
多分遊んでる時かダラダラ話してた時にポロッと。あんま覚えて無えけど。
何か聞き返された気もするが、そん時の俺は多分都合良く答えたろうさ。
実はこれもよく覚えて無い。

そんな内で、KY発揮して急にそんな話を振った動機だけが鮮明に残ってた。




「どうしたら平和になんだろう」

ぼやいたナルトの背中を少し後ろから、貶むように睨む。
「なあ、キバはどう思う?」
「んな難しい事分かる訳ねえだろ」
振り返ったそいつに、一変して繕って見せた表情を盾に応える。
藪から某だが、割と真面目に問いかけてきたナルトは零れそうな瞳をかっ開いて迫って来た。
わざわざ足を止めたもんだから、歩いていた俺とは自然距離が縮む。
質問には答えたつもりなんだが、どうやらナルトは気に入らないらしい。

──無理だろ普通に、と思う。

そんな問い掛け云々より、世界について考えてるってのが何とも。
なんつーか、一層ナルトが遠くに感じて嫌な気分になる。
里と仲間を護るので精一杯な自分にはとても憂慮出来ない領域だ。
自分の力は矜持しているけれど、それでも世界を相手に疾走する気は毛頭無い。
考える迄もなく無理だ。
俺は仲間を護るし、里だって死守する。
皆を護る為なら何だってやってやる。

──けれど。

「お前変わったよなあ」
「は?、なんで?」
「こっちが聞きてえよ」

本人の前で嘆くと、何とも気拙そうな顔が不安気にこっちを見ている。
本気で分かってないらしい。
分かられても困るが、少し安堵した。


『       』


そしたら俺はそのほんの少し広い範囲を見るつもりだ。
お前の見てるもんを自分の世界に加味させたい。













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