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(銀妙)



「妙、」

その日は嵐だった。
時々空が光ってはひどい雷鳴が辺りに轟く。傘を忘れて家を出た俺は濡れながらコンビニへと走った。軒先に着いて空を見上げる。途切れることなく降り注ぐ大粒の雨。軒先から溢れた水がぽたぽたと肩を濡らす。
夜のコンビニは閑散としていた。雑誌コーナーに数人へばりついている程度だ。俺は携帯を開いて「万事屋」の項目を探す。そのまま電話すればいいものを、急にあいつの声が聞きたくなった。通話ボタンを押し掛けた指を止める。
覚えたてのあいつの番号をソラで打ってみた。
呼び出し音が鳴る。
なぜだか心臓が痛い、ハラハラする。

「……銀さん?」

聞きたかったあいつの声。柄にもなくほっと息を吐いた。

嵐だな、と俺は言う。
そうですねと返事が返る。

「あ、今光ったな。お前んとこからもわかった?」
「ほんと。ほら、また光ったわ」
「こりゃ近いな」










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