「…ふぅ」 パソコンの電源を落とし、冷めきったコーヒーの最後の一口を飲み干す。 立ち上がってカップをシンクに運んだ。 「終わった?」 「えぇ」 ゲーム中の彼女がヘッドフォンをずらして尋ねた。 急ぎの仕事はやっと終わった。 「悪いわね、どこか連れて行く約束だったのに」 「…んーん、良いの」 ちらりと時計を確認すると、コートを羽織る。 「今日は私に任せて」 「なにかしら?」 「この前ね、いい感じのカフェ見つけて」 「あら、いいじゃない」 自身もコートを羽織って電気を消した。 「へへ、伊達に暇な冬休みやってないもん」 バイト禁止何て言われちゃうしねーなんて軽口を言いながらドアを開ける。 雨上がり独特の匂いがしていた。 「だってねぇ、可愛いお姫様に何かあると会社そっちのけにしちゃいそうだから」 鍵を閉めると優しい口づけが落とされる。 「…ばーか」 「目が笑ってるわよ」 手を繋いで 虹の向こうにでも お散歩しにいきましょうか。 ねぇ? |