彼との身長差を考えれば結構つらいことなんだけど、やらずにはいられなかった。
だって私の顔を見てくれないんだもん。
両手を頬に添えて(本当のこと言えば押さえ込んで)、こっちを向かせても視線は横に。
そんな悪あがきが通用するとでも思ってるのか。
照れているのはわかるけど、付き合ってからまともにこっちを見てくれない。
それはやっぱり淋しいしちょっと悲しい。
だからもう強行手段。
荒療治ともいう。
「お、おい…」
「こっち見てくれなきゃ別れる」
何?とようやくこちらを見たことに、別れるのは嫌だと思ってくれているという事実が嬉しく思えた。
けど、それだけじゃダメなんだよ。
わがままだっていうのはわかってるんだけど。
両手ではさんでいた顔を自分に近付ける。
真田くんは屈む形に、私はできるかぎり背伸びをして。
唇を真田くんのそれに軽く触れさせた。
それからしばらく真田くんは私を見る度に逃げ出した。
荒療治は失敗に終わったらしい。
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