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貴族達のパーティでは、お酒やダンスをこなさなければならない。私は成人をしているから、お酒は勿論飲める。ダンスも幼い頃から習っている。所謂大人の女性と云うやつだ。それに比べて彼と云う者は全く反対で、ダンスのいろはも知らない、お酒は飲めない(年齢的な問題で)で、パーティでは浮き者だ。だから私は彼が嫌いだ、ダンスを習おうとする努力はしないし、普段の服装の乱れも酷い。暴動を起こすと聞くし、言葉遣いも悪いと聞く。だから絶対に、
「何があっても貴方に手を貸すことはないわ」
「それでも、貴女の協力が必要なのです」
「帰りなさい、前世で関わりがあったとしても、現世では関係ない」
彼が私に助けを求めても手を貸してやらない。静かに唇から紡がれる敬語も、たどたどしい。正装したって根本を変えなければ人の助けなど借りてはいけないと云うことを知らないのだろうか。
「帰りません」
「何ですって」
「貴女に認めて頂けるまで、当方は帰りません」
真っ直ぐなグレーアイは射抜くような光で私を見た。私は真っ赤なドレスを翻して、彼に背を向けた。
「逃げないで下さい」
「貴方のような小童とお相手している程、私は暇ではない」
「私は真剣に聞いて頂きたいのです」
「ベルフォルマ殿、私は貴殿が大嫌いだ」
幼い頃からベルフォルマ家とは上手くやれと言われてきた。だから彼のお兄さん達とはお得意の愛想笑いでうわべだけの付き合いを続けてきた。結婚もそのお兄さん達のうちの一人とする。その付き合いの中で、唯一私の愛想笑いに気付いたのが彼だった。それが気に入らなかった。年下の癖に、下品なのに。そんな人に揺れ動いてしまう自分自身が大嫌いだった。きっと誰かはこう表現するだろう、八つ当たりだと。だけど私はプライドばかりが高い女だから、絶対に手伝ってやらないし、好きになんてなってやらない。そんな私は顔だけ彼に向けてこう言うのだ。
「だから、手伝うだなんて笑いの種だわ」










火葬式恋愛法則













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