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・拍手ありがとうございます!!


・伸るか反るか選んだが勝ち?の阿部と三橋で阿部誕2014
・大変遅くなり申し訳ありません、そしてまだ続きます…
・前半部分書いてたの大分昔で、お前今更かよ…ってメニュー出てきますが笑って流してください










 うつ伏せで寝てたらしくて微妙に首が痛い。
 っていうか、頬にあたる枕カバーが固い。

(固い……なんでだ……俺の枕カバーはタオルのもふっとしたやつで……)

 そういや、家じゃねぇんだった。
 布団の匂いも違うし(ほぼ無臭で柔軟剤の匂いとかもない)掛布団も違う。
 そら枕カバーも違うはずだと納得したところでぐっと伸びをしてから目を開ける。
 視界に入る白い枕カバーはシーツと同じような、なんかワイシャツみたいな生地で糊も効いてるから固いって思ったんだろう。
 意味は特にないが、そんな枕を軽く2回叩いてから起き上がって、部屋の中を見渡そうとしたんだけどベッドの天蓋から降りてる薄い白いカーテンに遮られた。
 ベッドの上には俺ひとりで、一緒に寝た三橋の姿はない。
 三橋が寝ていた辺りの布団の中に手を突っ込んでみるがぬくもりはない。
 結構前に起きたってことか。

「いま何時だ……?」

 この部屋時計あったっけか。
 スマホとか腕時計とかはリビングの方だったと思うけど、とりあえずベッドから降りてキレイに揃えられていたスリッパをはいて部屋を出る。
 ちなみに時計はなかったので現時刻は相変わらず不明だ。

 昨日酔っぱらいながらも部屋の中を探検したけど、シラフで見ても無駄に広い。
 何部屋あるんだここ。
 そんなことを思いながらあちこちドアを開いて三橋の姿を探していたら、背後から声をかけられた。

「おは、よー」
「おはよう」

 振り返ってハグして朝の挨拶をして、朝ごはんにしよう、着替えはこっちだよと手を引かれて移動する。
 昨日ホテルについた時に預けて運ばれていたボストンから服を引っ張り出して着替えながら、何時に起きたんだと聞いたら俺よりちょっと前だと三橋は言う。

「いま何時かわかる?」
「んーと、6時半、くらい、だ」
「そんなもんか」

 目覚ましがなくともいつもより少し遅かったくらいに目が覚めたんだな。
 この辺は習慣なんだろうなぁ、なんて思いながら着替えを終えて、また三橋に手を引かれて移動する。


「阿部くん、コーヒーと、紅茶、と、牛乳と、オレンジジュース、あとリンゴジュース、あったな。
 どれがいい?」
「あー、じゃあ牛乳で」

 食後にコーヒー飲みたいと告げれば三橋は俺もそれにしようと笑う。

 食堂のでかい8人掛けのテーブルの真ん中あたりの席、隣同士に2人前の朝食と三橋がいま言った飲み物、コーヒーメーカーにカップやグラスが並んでいて、こんな朝早くから朝食サービスするなんてスゲーなーって思ってしまう。
 大体どこのホテルでも7時からとかが多い認識だったけど、やっぱスイートとか泊まる客にはその辺の対応も違うのかもしれない。

「おお、なんだっけこれ、エッグ……エッグなんちゃら」
「エッグ、ベネディク、ト、だ」
「そうそれだ!」

 一時期世間を賑わせた世界で一番うまい朝食を出す店でこれが提供されてたんじゃなかったか。
 よくわかんねーけど、パンにベーコンと温泉卵と半熟卵の間みたいな卵がのって、その上になんかソースがかかってる食べ方がさっぱりわからないやつだ。
 三橋がおいしそうだってぼやいてたから覚えてたんだよな。

「阿部くん、これ、どうやって食べるんだ、って、ぼやいてた、よね」
「いやだって、ソースかかってるし卵は黄身が固まってなくて垂れるようなやつだろ?
 食い方謎じゃん」
「でも、おいしそうだって、言ってた」
「あー、まあ、そういや」

 そんなことを言ったような言わなかったような。
 多分いつぞやの南の海の熱帯魚をキレイだとぼやいたレベルの無意識の感想だったんだろうけど、三橋は覚えてたらしい。

「はい、牛乳」
「あ、ありがとう」

 ふたり並んで座席について、朝食のプレートに視線をやる。
 木製の平たい更に、エッグ…なんだっけ。
 やっぱり名前を覚えきれない食べ方が謎なそれに、レタスと赤玉ねぎとなんか葉っぱのサラダ、プチトマト、焼かれたジャガイモが乗っている。
 他にもスープボウルに入ったコーンポタージュと、カゴにクロワッサンとかなんか他にもパンが数種類盛られてる。
 さすがにこのエッグなんちゃらだけだと俺も三橋も食べ足りない量だろうから、他にもパンがあるのはちょっと嬉しい。
 できれば他にももう少しおかずがあったら嬉しいけど、お洒落さを優先させたらこんなもんなのかもしれない。

「それじゃ、食べよっか」
「いただきます」
「いただき、ます」

 手を合わせて挨拶をして、用意されていたフォークとナイフを手に取ってから右側に座っている三橋を見やる。

「さて、三橋くん」
「お、おお、なんで、す、かー?」
「このエッグなんちゃらはどう食べるのが正しいかわかるか?」
「うん!
 俺、ちゃんと、調べた、よ!」

 まずはね、って三橋もナイフとフォークを手に取って、エッグなんちゃらを躊躇なく真ん中から半分にパンごと切っていく。

「こーやって、ね、半分、に、切って、ひとくち、の、おーきさに、切って、ソースと卵、つけて、食べる!」

 得意げにそう説明しながら一口サイズに切り分けて、フォークに刺したそれを「はい」って俺の口元に持ってくる。
 いきなりのそれにびっくりしたんだけど、ソースと卵が混ざったやつが垂れそうになって慌ててフォークごと口の中に含む。

「おい、しい?」
「ん」

 するりとフォークを抜き取りながら聞かれたそれに、口の中が塞がってるので頷きながらおいしいって伝えたらふにゃふにゃと三橋は笑ってよかったっていう。

「いっぱい、たべて、ね」

 三橋に教わった通りにエッグなんちゃらは思い切って半分にして、一口サイズに切ってソースと卵を絡めて自分の分をひとくち。
 うん、いままで食ったことない味だけどうまい。
 高級店でハンバーガーをフォークとナイフで食うってやつ並に俺の中では食べ方が謎なメニューだけど、うまい。

 これ食べたら着替えて出かけるよって言われて、それにわかったって答えて、そのあとは視界に入る物とかこれうまいとか、そんな話をしながら食事を済ませた。
 エッグなんちゃらはもちろん、サラダのドレッシングは三橋の手作りでうまいし(オレンジジュース使ってドレッシング作るとか想像もつかなかったしスゲーうまいんだけど、三橋がどこに向かってるのか謎だ)パンはさすがにホテルに用意してもらったらしいがそれのどれもうまいしで、腹八分目で終わらせるつもりが目一杯食べてちょっと苦しくなったくらいだった。
 食べてすぐに出かけるのかと思ってたんだけど、三橋もおなかいっぱいだと、ちょっと食休みしてから行こう、というので食後のコーヒーはソファーでまったりしながら飲んだ。
 そういや昨日9時くらいに出るっつってたっけか。
 時間はまだあるし、着替えなんてそんなかかんねーしな。

 コーヒーも俺好みの苦みの強くて酸味が弱いやつで、このコーヒー家でも飲みたいとぼやいたら「わかった」って三橋が言ったので、多分このコーヒーは今後家で飲めるんだろう。
 家でも飲みたいと言ったあとに自分でやっちまったとちょっと思ったけど、スゲー好みの味だし正直家で飲めるのは嬉しい。
 あと俺、今日誕生日だし。
 って、そんな風に開き直ることにした。
 今日だけな、今日だけ。

















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