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***拍手御礼!















ぎゅうっと抱きしめた大切なものがパリンと音を立てて割れたのを感じて、ふっとその腕を開いた。

何個目なのか分からない、茶釜の破片。
ブスッとした表情の私を見つけたのか、松永さんは珍しく声に出して笑う。

「また嫉妬か?」
「違う。好きだから大切にしようとして……って、これいっつも言ってる!」
「はは、学ばぬ卿もまた一興、一興。」

延ばされた右腕が、私の頭を優しく撫でる。……あ、でもまた私を見てないや、この人。


「ね、また背中見てる。」
「これは失敬。」
「寂しいわ?私から目線を逸らさないで欲しい。」
「……すまないね。」


私の背中に彫られたのは堅気とは住む世界を分ける蜘蛛の入れ墨。

この人の失ったモノが、どうやら私に投影されていると知ったのは割と最近だった。

平蜘蛛…まあ人とモノを重ねるとか失礼極まりない訳だけど、この世界に落っこちて来た私を養ってるのは松永さんだし。文句は言えないわ。


「卿は…平な蜘蛛の生まれ変わりだと……私は信じているのだよ……」
「あは…こんな蜘蛛、住まわせる事は皆出来るわ。」
「卿だからだ、平蜘蛛。」

抱きしめられた胸のうち、火薬の香り。
ケラケラ笑いながら、叶えられない願いを一つ呟いた。





「ねぇ、ちゃんと名前で呼んで?」











ささやかに幸せ




−−あーぁ、また聞こえないふり!







――end



12.01.07〜








コメントありますれば。
元気の源です!^^*



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