【すれ違い】 「アレ?いねェ…」 副長室の主は、煙だけを残して何処かに旅立っていた。せっかく悪戯をしかけてやろうと思ってたのに。 ここ3日程は姿は見ているものの、碌に会話もしていない。5日前の捕り物の後処理が面倒な事になっているらしく、山崎や鉄が何度も副長室を出入りしていた。 その2人が漸く事務処理が終わったと胸をなで下ろしている姿を見かけて来てやったというのに、どこに行ったのか。 「相変わらず間の悪いお人だねィ」 ここで待っていてもいつ帰ってくるか分からないから、部屋を出てある場所に向かった。俺がいつも隠れて昼寝をする、屯所の中の穴場スポットだ。 土方さんにはバレてるんだけど。 あの人俺の場所が分かるように、GPSでも付けてるんじゃないかと時々思う。 まるでストーカーみたいですよねと万事屋の旦那に言ったら、おまえも似たようなもんだろと言われたけど納得できない。 穴場に来ると、ちょこんとコンビニ袋が鎮座していた。何だろうと思って開けてみると、中にいたのは最近俺がハマっているお菓子。 そして、微かに煙草の匂い。 「どうやらすれ違いだったみたいですねィ」 口元が緩むのを抑えられない。 煙草の匂いがする袋を持って、まっすぐ副長室に向かった。 拍手ありがとうございました! |