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僕のアリス
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そこに君がいる(雲雀と獄寺)
By おきみ




「……ヒバリ?」

後姿の彼が纏う衣服が、いつものような学ランと違っていたので、一瞬獄寺は人違いだったらどうしよう、と考えた。けれど無駄に背筋がよく、少しだけ寂しそうなその背中は、間違いなく雲雀のものだった。
顔だけで振り向いたその端正な顔立ちを見て、安堵したように息を吐く。雲雀だ。
雲雀は灰色のコートに身を包み、首元には黒いマフラー、頭には黒いニットを被っていた。手袋も黒だ。私服の雲雀など初めて見たから、少しだけ獄寺は面食らった。雲雀の日焼けをしていない白い肌と黒ずくめの衣服がよく似合っていて、彼らしいとも思った。

「……、」

雲雀が眉を顰める。それは不快感から来たというよりは、怪訝な、まるで目の前の銀髪の少年がだれかわからないというような面持ちだった。
数瞬してから、ああ、君か。と雲雀がいつもどおりの表情になる。

「髪を結っているから、誰かと思った」

少し顔を傾けながら、ぼんやりとした口調で雲雀が告げる。雲雀の言う通り、獄寺は髪を後ろで束ねていた。というのも、さっき見つけた猫が抱き上げたときに髪を邪魔そうにしていたからで、猫と別れたあともそのままだったのだ。
しかしそんなことを言えば完璧にからかわれるだろうと察し、獄寺は曖昧に頷く。

「お前こそ、珍しいじゃねぇか。制服じゃないなんて」
「………寒いときには防寒しろ、ってゆわれた」
「…だれに?」
「……」

雲雀は居心地悪そうに閉口したあと、数秒してから薄く唇を開き、灰色のダウンを着た外国人に、と小さな声音で呟く。獄寺はその人物の特定ができずに思い切り顔を顰めた。それを見ると雲雀が不愉快そうに口を閉じ沈黙した。(獄寺に怒っているわけではなさそうだったが)


ふとした後に、雲雀が、少し唇を開いた。けれどその冷えた唇から声が発せられることはなく、雲雀は驚いたような、何かに気付いたような表情をした。獄寺が首を傾げると、雲雀がおもむろに右手の手袋を外す。白い指先が露わになって、すっと獄寺のほうへ手を伸ばした。
獄寺が驚いて身を竦めるが、その間に雲雀は獄寺の肩から何かをつまんで取る。
は? と間抜けな声を発する獄寺を余所に、雲雀は指でつまんだそれを掲げて見せた。

「猫の毛だ。」

そっけなくそう言って、雲雀は指先の白い毛を見て口角を上げる。
獄寺が言葉を返す前に彼は、白い毛を持ったまま踵を返して路の先へと歩いていった。


………あとには、僅かに赤面する少年の姿だけが残る。
混乱する意識のなかで、灰色のダウンをよく着ていた金髪のマフィアのボスの姿を、ふいに思い出した。





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By おきみ


アニリボの新EDのひばりとごくでらがあまりにも可愛かったのでつい。
この二人はCPにはならないのかなあと。
ディノヒバ、獄→ツナ前提。あ、山獄で受け二人ってのも良いか。
雲雀さんの服を仕立てたのはディノさんだと信じて疑いません!!!!



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