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小説投稿場
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絹豆腐の物置き場〜廃棄場〜
By 絹豆腐
2018-11-01 14:44:07
此処では絹豆腐キャラのSSやら後日談やら日記やら冒涜的ななんやらを投げ捨てる予定です。

ひょっとして:駄文の墓場
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By 絹豆腐
2019-04-05 17:46:32
3月16日
<著者:ボルドウィン=グランバッハ>

おのれ。

おのれおのれおのれおのれおのれ。

忌まわしい磯臭い東の海から来た長蛇と堕落と混沌の秩序気どりの南の若造共め。

この私を、ボルドウィン=グランバッハを虚仮にするとは何事だ。

許さん。

必ずや、何れこの返礼はさせてもらうぞ。

追記:黒の国の親書の内容を後日拝読した。
案の定、時計塔の国独断での調査についての釘を刺すものであった。
奴らめ、何処で気づいた?

平和の調停者を気どりおって。
貴様らが一番この世界でつい最近まで侵略行為を、一巡前とやらは知らんがそれに比べて明らかに手を抜いていたという話は聞くがそれでも散発的に他国への侵攻をしでかし平和を脅かす側に立っていた者共が寝言をほざきおって。
忌まわしい。

忌まわしいが、だが、既に先行している『雷刃』が直に時計塔の探索結果を持ち帰る手筈となっている。

彼奴らよりも先に、我が国が、否……このボルドウィン=グランバッハが情報を手に入れる事は可能だ。
そうだ、まだ誤差の範囲。
私が王となるまでの道中は崩れておらん。


銀の国/神聖都市シルヴァ/銀礼祭
ランドルフ様&コウ様とエンカウント

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By 絹豆腐
2019-04-05 17:54:25
4月2日
<著者:ランドルフ=G=オーガスト>

銀礼祭。

彼の銀の国の祭事は滞りなく終了したらしい。

途中、何やら不幸な事故が多発して一発芸大会会場が大荒れしたようだが、それ以外は特に問題らしいものはなかったらしい。少なくとも、公表されている範囲では。

ところで諸君。

世の中平等ではないのは皆が知る事であろう。

神は平等というが、それはヒトそれぞれの素質や身体的優劣には適用されない。

大は小を兼ねるなんて言葉があるあたり平等要素が全くない。

西瓜とライチぐらいの格差は想像を絶する。

否、特に深い意味はない。

だが、あえて言おう。

格差社会は是正されるべきだと。

小さき者、貧しき者に光あれと。

銀の国/ユーフェリア大聖堂
ユーレカ様とエンカウント

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By 絹豆腐
2019-07-31 20:59:11
4月30日
<著者:ゲド>

やれやれ、お目付け役を任されているだけなんだが、どうにも情が移ってしまう。いらんお節介だとは分かっているんだが、年をとったもんだ。……あの娘も、大きくなっていればあれぐらいの年頃に育っていただろうな。

しかし良い買い物をさせてもらった。トラブルはあったが、おかげで値引きもできたしこれで経理の奴にお小言は貰わないで済むだろう、多分。


翠の国/セフィ
アリア様とエンカウント

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By 絹豆腐
2019-07-31 21:05:19
6月18日
<著者:蓬莱紫苑>

(イベント終了後に編集)

青の国/宝蓮京→鬼が島
ランドルフ様とイベント、白き夏夜の神隠しにてエンカウント


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By 絹豆腐
2019-07-31 21:06:58
7月20日
<著者:ティエラ・オージュ>

・マッスルコンテストの優勝決定前に粘液ぬるぬる異種デスマッチ大乱闘騒ぎで子供達に消えないトラウマを植え付けるのを阻止できなかったことがバレて報酬がぱー。勿論優勝者決定どころではなくなってしまった。

・うなぎ うま

・ヒミカちゃん。やっぱギルドに連絡があった昏睡事件解決者の一人の子本人っぽい?


青の国/青藍の海辺
ヒミカ様とエンカウント

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By 絹豆腐
2019-07-31 21:19:46
7月30日
<著者:ハロルド>

(後日編集)

青の国/玄武が管理する島
玄武様とエンカウント

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By 絹豆腐
2020-03-20 15:37:23
〜ハロリマス後、ユーリイ及びランドルフ様の会話的なの。情報提供的なやつ。回想〜

始めは何処まで話すか考えた。
これは自分が白夢だからとかではなく、下手に話す事で、巻き込む可能性がより高くなることが理由にもあった。

未だ五体不満足の状態で、ハロリマスを終えてすぐにデキソコナイ達が大半であった白夢達の送還に取り組んでいたところを機巧遣いの女副隊長からてっきり情報提供を求めにやってきたのかと思えば何故か治療施設へと強制的に送り込まれ、そこに居た同じくハロリマスにて自分同様あの悪夢の宴に強制参加させられ満身創痍になっていた本体の眼鏡が割れていたがもう替えの眼鏡を着けている男副隊長と同じ部屋に入院させられた。

なんか、すまん。的なことを言われたがお互い様だろう。決して相容れないが、この男にはこの男なりの信念、生きるうえでの筋が通っているから憎悪や嫌悪はない。
ただ、お互いの生き方が合わないだけだ。だから筋が通らないと思えば謝りだってする。

会話らしい会話はない。
包帯に巻かれ、点滴に繋がれながら白い病室で体を休めていたが、ふと向こうから切り出された。

――白の断章(エフェメラルフラグメンツ)とは何だ?赤の門番(ゲートキーパー)と何が違う?

こんな時でも職務に忠実とは恐れ入る。

元から情報提供の代わりに白夢を送り届ける約束だった。
この約束を交わしたのはあの知恵者の女副隊長であったが、この男も階級は同格。話しても構わないであろう。

ただ。

ただ、何処まで話すべきか。
これは情報提供を交換条件に出されたときから考えていたことだ。
自分は、白のアリスのやり方には反対の立場だ。
けれどもこれも白のアリスにとっては掌の出来事で、だからこそこうしてあの時即座に反旗を翻して剣を向けたというのに生かされているのであろう。そして、問題は此処からだ。

話すことで、折角一巡後とやらの世界で生きている者を余計なことに巻き込みかねない危惧があった。そして、恐らく、間違いなくこの病院にだって『空白』は存在する。
もし洗い浚い全てを話そうとすれば、忘却の彼方より空白が形を成して現れるであろう。

自分では、あの白の断章、空白失書を斃す手段がない。この魔剣で切り伏せる事はできるが、それだけでは駄目だ。無意味なのだ。
他の白の断章も然り。血塗られた惨劇を作り出す狂恋の荊棘であれど、どんな局地であれ開拓の破壊を生み出す撃砕の手であれ、嵐を引き連れし正体不明舟の魔砲であれ、■■■■の■であれ、全て空白を埋めるには程遠い。
あれは白の断章の中でも特異中の特異で、白のアリスや邪智のチェシャに限りなく近い立場と力を持つ正真正銘の白だ。
あれが余計、筋書きから逸したと判断して動かないように精査して此処で情報を渡さねばならない。

しかし、此方がすぐに答えを出さないうちに向こうから続く言葉は、思わぬものであった。

――夏の夜、青憐にて縁結びの神による神隠しに巻き込まれ、そこであの白のアリスと呼ばれる少女と出会っている。

嗚呼、ならつまり、『もう手遅れで、巻き込まれている』わけか。

く、と小さく笑った。嗚呼、何というか、まあ。

「ならお前は知っておくべきだ。話せる範囲で話す。……お前、幸薄そうな顔しているが本当に幸薄いんだな。」

と余計な一言を付け足して。


「そう言えば赤の門番が白夢を操るだの統べているだの情報(ノイズ)があるんだったか。誤解も良いところだな。赤の門番は、俺も詳しくは知らないがアイツらは俺達とは対立関係にある。赤と白は決して相容れない。俺にとっては、『赤』は『私』自身だから複雑だがな。だが、目的が違うというのは確かだ。それだけは覚えておけ。そして、白の断章についてだったか。そうだな……お前らが何処まで正しく俺達を知っているか知らないが、簡単に言えば俺達白の断章はこの世界に単独では形を保てなかった忘れ去られた存在が、忘却された物語と迎合、融合する事で新たに再定義、再解釈する事で存在をこの世に定着させた白夢だ。」

そう、即ち。
幻想、空想、妄想。
夢、幻、虚。

俺達白夢は、『弱者』だ。存在の意味合いでな。これは白の断章に限らず、没書型白夢でも同じだ。
そして、そのような存在だからこそ、現の枠から外れた物語の中でしか存在し得ないような力を振るう事ができる。

「あとはそうだな、俺達はどうやら物語の『筋書き』に沿うように動いてしまう傾向にあるみたいだな。他の奴らの報告もこっちに入っているんじゃないか?確かあの時動いたのは最初から動いている空白失書と魔剣物語(おれ)を除いたら、『開拓伝記』、『大空航空史』、『悲恋忌憚』、『■■■■』だったからな。」

此方は話しているが、遠く黒の国でさえ認識阻害を受け聞く側には意味ある言葉として認識不能であるらしい。随分効果範囲が遠くまで及んでいるものだと分かったのは、彼から、何て言ったか分からない、とか、疲れているのか一瞬意識がぼうっとしていたとか説明途中で言葉を挟まれたからだ。
なら、間違いなく認識阻害を受けている。此方は此方で、下手に話すほうが逆効果だ。無理に話せばそれだけ向こうからも条件に引っかかる程正体にたどり着く情報が出ていると気取られてわざわざ此方に足を運んでくるかもしれない。
あれはどういうわけか、物語と混ざる過程で妙な言語を学んだみたいだがその根底にある異常な迄の徹底した臆病や病的と言える程の徹底して正体を掴もうとする者に対して容赦が無い。
自分が正常に認識しているのは、同じ白の断章だからなのか、それとも。
だからそこだけは話しを飛ばし、次の話題へ移った。

「……嗚呼、あと、赤の門番についてか。違いと言うなら、何もかも違う。何故そんな情報が出回っているかは知らないが、全くの別物だ。赤の門番が何故この世界に存在するかについてはアイツらに直接聞けとしか言えない。だから俺から言えるのは、アイツらは『門番というぐらいだから守っているのは、そういうこと』だってことと、『成り立ちから何まで白夢とは違う。』、そして『赤は善悪問わぬ強い意志や思い、感情といった心や精神に反応する性質を持つ。』だからアイツらは恐らく何か例え異物としてこの世界に残ってでも『やり遂げる必要がある意思か何かがある』んだろうなってことだ。……偉そうに言ったが、俺も詳しくはアイツらの素性や目的までは分からん。ただ、『私』は、少なくとも強い想いに惹かれ、その想いが形になったんだ。結局、想いだけで塗り固めて中身が空っぽでは目的と手段が狂ってしまって、本当の英雄(フブキ)に止められてしまったがな。」

これも嘘ではない。
赤の異形であった、かつての偽りの正義のヒーローであった『私』だが、だからといって赤の門番が何なのかは知らない。だから話せることは、かつて赤より生み出された異形の一体として、自分がそうであったように他の多くがそうであったからと赤に関する知識を教えた。
とはいえ、所詮己も赤の中では末端。結晶の守護者とかならもっと赤の詳細について語れただろうが。尤も、今は赤そのものが問題なのでなく、彼の質問で大事なのは赤の門番と白の断章の違いだ。赤、もう乗り越えたのだという実感がない脅威。自分がそうであったということもあって、何とも奇妙な感覚だが、一度赤の門番とも出会う必要があるとは思う。
わざわざ赤の門番とこの世界の者達の対立構造を作る為に、白夢を率いているだのなんだのというフェイクが混ぜられているあたり、不都合な存在なのだろうから。
もしかしたら、と。

そこから先も幾つか話しているうちに、一旦仕事を落ち着かせた女副隊長が彼の見舞いに来たのだったのか。




――確か、あの時こんなことを話して、考えていたような気がする。今となっては、懐かしい思い出だ。

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By アイリス・ブランシュ
2021-04-19 15:04:25
――12月29日、フィリア様及びエリーザベト様とエンカの後日談。


朝。
目覚めた場所は天蓋付の寝台等ではなく、王城の寝室でもない。

けれども幽閉されていた頃の牢獄に比べれば人並みの一室だ。
不満などない。
一室を貸してくれた黒尽くめの魔女には感謝をせねばならない。

「――――♪」

自身は忌薔薇の姫ではあるが、付き人はいない。
ならば身の回りの世話は自分でしなくてはならず、それも苦ではない。

家主たる魔女が目覚める前に表の掃除を済ませ、それから軽く外装と内装のインテリアを――

――家主である魔女が慌てて降りてきた。
何か勘付いたのか、虫の知らせでもあったのか。
昨夜もあの気に入らない男、冷たい瞳をした神父に抱き潰されていたのによくこんな時間に起きられるものだ。

「お早うございます、フィリア。ふふ、朝早いのね?まだ開店まで時間はあるし、もっとゆっくり寝ていていいのよ?」

――だったら、『勝手に』改装するのを止めろ。

疲れきったげっそりとした顔でびしりと指さす先は魔女の店内。
何と言う事をしてくれたのでしょう。
薬瓶や魔女の道具が陳列された落ち着いた色合いをした店内は朝、忌薔薇姫が起きてからゴシック調とメルヘンチックが混在した可愛らしさと不気味さが混沌とした何処から集めたのか怪しいグッズで飾られ、壁紙や天井にまで自分の力で生やした物騒でしかない白茨がガーデンロープ代わりに吊るされていたりする有様であった。

これで止められたのは二回目だ。

前は店の外装を自分好みのデザインに改装して、あと少しのところで駄目だしを食らいしくしくと悲しみながら直す羽目になったからとりあえず内装から変えていこうとしたのに。

「ねえ、フィリア。貴方の鴉のような黒は嫌いではないわ?でもね、もっと白とか、可愛らしいデザインとかで華やかに飾ったお店にしても――」

――いいから元に戻すように。今すぐ。

何とか自分の好みに合わせて、魔女のお店を『自分の小さなお城』にしようという計画の素晴らしさを訴えようとしたのだが昨夜の疲れもあってか取り付く島もない様子の魔女の有無を言わさぬ言葉に今回もしくしくと泣き真似と泣き言で後ろ髪を全力で引こうとし、時々ちらっと様子を見つつ頑張って取り付けた飾りを戻して。

今回も駄目だった。
残念だが、王子様を見つけるまでまだ時間はかかるであろう。
だから、それまでに少しずつ、一気にやるとバレるというのは分かったから魔女のお店を自分好みに変えていこう。

この虚白の地から遠く離れた神聖都市シルヴァに匿い住まわせてくれる魔女に恩は感じながらも、それはそれ、趣味は趣味と特に反省していない忌薔薇姫はばれないように朝早くから作戦が失敗したから次はどうするかと画策するのであった。

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By 絹豆腐
2022-09-25 01:28:59
ランドルフ様、ネオン嬢とエンカ後――『黒煌城(虚白のお茶会)』



「ふっ。愚問だな。逆に、どうしてこの私が『かつての在り処』に足を運ぶ事ができないと考えるのかね?ただ、今は私の居場所ではなく、諸君らの居場所だ。不快だったならば詫びよう。とは言え、本気で私の侵入を防ぎたいのであれば『我が盟友』か、四帝を最低二人以上連れて来ることを推奨しよう。尤も、君は私を取り除くのでなくお茶会に参加する事を受け容れたのだ。そのような現実的でない些末事は後に回し給え。ランドルフ・ヴァルトフォーゲル。ようこそ、お茶会へ。君には息抜きが必要だろう?」

幾ら戦時の臨戦態勢でないとはいえども外部から侵入する事は限りなく難しい警備態勢が敷かれている黒煌城。
そこにさも当然の如く誰にも感知されず、検知されず出現し、超然と、泰然とした態度で『お茶会』へと誘う虚白の少女。
葛籠有栖。白のアリス。
虚白の地以外では黒の親衛隊現隊長となった彼がまだ副隊長時代に青の国の神隠し事変にて遭遇した以来の邂逅だが、よりによってそれが彼にとって拠点となるこの城であるとは想像していなかったらしい。

四征軍を解散して尚世界最大の戦力を誇る黒の国の軍に属し、指揮する立場にある者にとって問題しかない状況であろうがそれは彼が悪いのではない。
今のこの黒の国で、否、この世界において己を止め得る存在は数少ない。
その例外的特異存在が集中するのがこの国だが、四帝達と帝らを統べし皇帝は今を生きる者達に託し基本は傍観や個人的都合で動いている以上は事実上己を止める事は不可能に等しい。

仮に、魔剣物語が彼らの側に与したとしても白の断章、白夢である以上は筋書きから逃れる術はない。
或いは――『白の少女』。ディオドーラ・シュラットガイスト。彼女が全てを思い出せば『物語(はなし)が変わる』可能性があるが。

そも、用件とはその彼女に関するものだ。

幸い、実力行使で己を排除しようとはせず、流石は黒の親衛隊隊長に就いただけはあって豪胆にも誘いに乗った彼は虚白に染まった廊下はいつしか廊下でなく目が痛くなるほどの真っ白な、天地さえ定かでない白き空間にぽつんと置かれた純白のクロスが敷かれた長テーブルと白い食器類が置かれたお茶会の席へと案内されることに。

どうぞ、と微笑を絶やす事なく着席を促してから自身も専用の席へと就けば、一人でに食器が動き出し、二人分のカップに鼻孔を擽る香味豊かな茶葉の香を孕む白煙が立ち昇り、カップには淹れたての紅茶が注がれて。

「まずはそうだな、今の君はあの時から昇格し、前任者『アディティア・アクラヴァート』にも認められ黒の親衛隊隊長となったのだったな。おめでとう。昇進祝いが遅れてすまないね。」

彼としてはわざわざ祝ってもらう理由などないだろうが、単なる社交辞令だと分かるであろう。
とはいえ、今の言葉には『アディティア・アクラヴァート』という『本来の前任者と入れ替わった存在』が上手く世界に、役者達の記憶と記録に不都合なく適応しているかどうかの確認も兼ねているのだがそこは役者の一人たる彼に語る必要はない。

しかし。この姿になってから、白のアリスという存在に沿って始まったお茶会の習慣だが中々どうして、■■■■は元来そういった趣味を持たなかった事もあり慣れるのに時間がかかったものだ。認識の齟齬を埋めるのは決して簡単ではない。それが例え、このような取るに足らない一行事ですらも。

カップを品良く食指を引っ掛け持ち上げてから口元に運び、薄い唇を湿らせ一口含みながら考える。
ランドルフ・ヴァルトフォーゲル。
黒の本に書かれた役者の一人。
彼の担える役割はあの日会った時以降より大きくなった。
それ故に、役者が舞台外、奈落へと落ちる事がないように慎重に事を運ばねばならない。

思惑通りに進めば、彼こそが虚白(しろ)の少女(ありす)が求める『物語の結末』に繋がる役割を担える役者候補なのだから。

テーブルに向かい合って用件は何なのか、真逆本当に昇進祝いなんかしに来たわけではないだろうと此方の動向を窺う彼を赫き瞳で捉えれば、そう焦らずに君も一服すると良い、と言外に含みを持たせまた一口。

決して彼もペースを握らされまい、乱されまいとするであろうがこういった技能に関しては■■■■に起因する知識と技能のお陰で苦労することはない。

「そう性急になることもなかろうに。上に立つ者に余裕が無ければ下の者も付いていくのに難儀するだろうよ。……とはいえ、お茶の席に話しは付き物だ。さて、君も知っているであろう。そして、今し方それにより生じたひと悶着を解決、ああいや、解決と呼ぶには少々後味の悪い結果となったが一先ず問題を先送りにした出来事があったね?そうだ、ディオドーラ・シュラットガイスト。彼女が『白夢』である。或いは、『白夢であった』存在という事は知っているだろう。黄金の魔導王、黄金狂のルシアン=シュトロハイムの手によってややこしい事態に陥っているとも。」

どうやら、彼もそこまで驚きはないらしい。
それもそうだ。
ここまで露骨なタイミングで己が現れたのだ。
ならば『白の少女絡み』であるという事は想像ができて然り。
彼が聞きたいのはその先。
『何故わざわざ虚白の少女が干渉してきたのか』、その理由であろう。

「ふむ。そんなことは分かっているとでも言いたげだね。では、私が言いたい事は分かるかな?……ランドルフ・ヴァルトフォーゲル。君がこの言葉をどう受け取るかは君次第だが、敢えて云っておこうと思ってね。『ディオドーラ・シュラットガイストの罪を暴く事なかれ』。と。記憶が無い事も、それ故に真相を君や彼女、ネオン・リリーと言ったか。彼女やクリェームリ・ウェストロスにも告げる事ができない事も、そのままにしておけば良い。ルシアン=シュトロハイムの野望は潰えている。彼女の悪意の残光によって君達は悩まされているようだが、その程度で済んでいると思っておくほうが賢明だ。下手に真実を探ろうとすれば、誰も幸福にならない未来が待ち構える事になる。時が解決してくれる、そう信じると良い。」

――こう云っておけば、聡い彼だ。『どちらに転ぼうとも己にとって理想の動きをしてくれるであろう』。
ディオドーラ・シュラットガイスト。その偽りの名が定める通り、『燃え尽きた白灰』のままでいて貰わねばならない。
あくまでも、ディオドーラ・シュラットガイストという少女の物語の枠に収まって貰わねばならないのだから。

そして、また一つ彼が『この世界の欺瞞と虚構』に気づいてくれれば。

あとは幾つか彼からの質問にも問題が無い範疇でも受け答えをして、お茶会は閉会。

……ネオン・リリーにも接触しておきたかったが、彼女は本当に面倒な事に先に手を打ったらしい。今は、ランドルフ・ヴァルトフォーゲルという役者、黒の駒が役割を果たしてくれる事を信じよう。

期待しているよ。
どうか、見事演じ切ってくれ給え。

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By 絹豆腐
2024-01-05 15:32:57
<著者:匿名希望の執行者補佐>

執行者という連中は大体が頭のネジが何本かハズレた人でなしかろくでなしの集団で、俺だってそんな奴らの下でこき使われているだけの後ろめたい理由がある訳だが、もう俺は抜ける。ここにはその原因となったくそったれ、執行者No.4ミーシャ・グウィンドリンの任務の記録とあいつに対する恨み節を綴っておく。これを見た後任者はあのイカレ女の後始末をせいぜい頑張ってくれよな。これを見たってことは俺はこの汚れ仕事から足を洗うのに成功したか、粛清された後だろうから後の奴がどれだけ苦労しようが知った事じゃあないがな。


『ケース1』〇月〇日、背信者トーマ・ヤマッツオの捕縛。尚、対象は封印指定された△△△を奪取し逃走している。△△△の回収は必須事項であるが、万が一にでも起動だけは絶対に避けねばならない為、場合によっては対象の生死は問わないものとする。

執行者4は「了解しました。」と定型句を一言返した。

結果:背信者トーマ・ヤマッツオは■■。封印指定△△△は無事に回収。

補遺:確かに、執行者4は任務を遂行した。そいつは事実だ。
ただ、間近で見た人間からは補足させてほしい。元々の任務は背信者の『捕縛』だった筈だ。だが、重要な事項として封印指定を奪って逃げているから『やむを得ない場合は殺していい』って付け足したの上の連中が悪かった。
いや?普通は分かると思うぜ?普通はな。でもあの女は普通じゃない。あの女にとってこの書き方だと『封印指定△△△の回収と起動阻止が最優先事項で背信者の生死は優先度が低い』と認識してしまったんだ。するとどうだ?あの女、向こうの言い分を聞くとかそういう過程を全部すっ飛ばして『発見後に即時接敵、一切躊躇無く背信者の頭を散弾でぶちまけやがった』。下顎だけだらしなくぶら下がって上顎から上が吹き飛んで血煙をあげながら崩れ落ちる死に様をいきなり見せられたせいで暫く夢見が悪かったよ。
当然聞いたよ。なんであんな事しでかしたんだ?任務内容理解してんのか?ってな。そうしたらあの能面女ときたら「無論、△△△の回収の為です。最も最悪の事態である起動の阻止の観点で言えば背信者の生死は重要な問題ではありません。また、生死を問わぬなら殺害したほうが捕縛の条件を無視し最善の手段で無力化できます。そして、背信者はウェンクルカムイ教との繋がりが濃厚であり、邪教由来の術式の行使の危険性と事前に自身の肉体を保護する術を施している可能性を考慮すれば即時処刑執行が合理的であると判断しました。結果は杞憂で終わりましたが、無事に△△△の起動阻止及び回収は遂行されました。」
と顔色一つ変えずに答えやがった。
これを教訓にするなら、上は『判断を委ねるみたいな曖昧な表現じゃなくてもっと具体的に命令しやがれ』だ。
あの頭のネジを締める場所を間違えてやがる女はそこまでしないと絶対に俺達(ふつう)なら通じるというものが通じない。
あの女は石橋を叩いて渡るんじゃない。石橋を叩いて渡れと言われたら、石橋の先に目的があるのか石橋を叩いて渡る行為自体が目的なのか次第で『石橋を渡るより手っ取り早い方法を探して向こう岸にすっ飛んで行く』し、叩いて渡る事が目的なら『叩くより石橋に爆弾取り付けて吹っ飛ばして瓦礫に変えてから石ころになった橋を渡る』タイプだ。分かるか?あの女の合理的判断とやらは『超がつく程手段を選ばない』。

『ケース2』×月×日、アミット孤児院を占拠した強盗団『メヴェーチェ』の鎮圧及び孤児院院長を始めとしたスタッフと孤児といった孤児院関係者の解放。但し、元々強盗団の一味なのか雇われなのか聖騎士団由来と思われる洗練された戦力が一部確認されている為油断は禁物。総数も不明である為慎重に行動する事が求められる。また、孤児院は聖都においても必要な存在である為くれぐれも『建物の爆破を始めとする今後の運営に支障をきたすような建物の損壊は禁止とする』。そして、『強盗団の鎮圧及び孤児院関係者の解放はどちらも不達成は許されない』。

執行者4は「了解しました。」と定型句を一言返した。

結果:強盗団の完全鎮圧及び孤児院関係者の全員生存。また、孤児院施設も弾痕や一定の破損(※正面扉に関する被害が甚大だが復旧自体は可能)は確認されたが運営継続は可能。

補遺:明らかに上のお偉いさんもこいつの扱いが分かってきたのか大分具体的に指定してきたね。絶対建物爆破するなとか、下手に強盗団の鎮圧と関係者の生存どっちかを優先みたいな記述をしていたら人質を無視してどうすれば合理的に強盗団を皆殺しにできるかとか、逆に生存優先なら強盗団を逃がす事も問題外にしてしまうとか極端な結果になりかねなかったからな。
でも、俺に言わせりゃまだまだ問題がある。だって結果に報告されている通り正面扉の被害って書いてあるがあれは強盗団のせいじゃなくてあの女のせいなんだぞ?
内容的にも強盗団の下手な刺激は厳禁、敵の総数不明、人質が傷つくのも論外、慎重に行動しろってのは言わなくても分かるだろ。しかも強盗団に成り果てたとはいえ元聖騎士が混じっているならそれなりに組織立った動きにも理解があるし尚更慎重に敵に悟られない潜入、人質の無事を確認し解放してから鎮圧に移るのが定石だ。だから執行者なんて単独行動、よくても超少数で行動するはぐれ者にこういう仕事が任されたんだ。
それがどうだ?あの女、了解しました。って何を了解したのか知らないが宅配感覚であろうことかバリケードを築いてある孤児院の正面扉に真っ向から近づいてから何処から潜入するかって話どころか棺桶バンカーでバリケードごと扉を吹っ飛ばして正面から突入しやがった。しかもチェーンソー片手に能面みたいな無表情のシスターが乗り込んでくるとかスラッシャーもののB級ホラー映画のワンシーンかよ。慎重っつっただろうが。
強盗団も流石に予想してなかったのか面食らって混乱していたが、混乱してんのは同行している俺のほうだったよ、ふざけんなよ、何て上に報告しろってんだよ。強盗団もありゃなんか察したんだろうな。人質を盾にしても通じない頭がおかしい奴だって。おかげで人質が犠牲になることはなかった。
そうだ、滅茶苦茶だったが、確かに執行者4は任務を言われた通り完遂した。
勿論俺は聞いたよ。慎重の意味分かってんのか?もし人質が殺されたらどうする気だったんだって俺は聞いたよ。
そうしたらいけしゃあしゃあとあの女こう言いやがった。
「仰っている意味が理解致しかねます。慎重に潜伏している敵総数の把握と動向を把握し優先的に執行対象にするかを判断していました。また、強盗団達はいずれも興奮しており人質の危害を加えられるリスクを鑑みて迅速な鎮圧が求められていた状況であったのは明白です。結果的に一人残らず強盗団の鎮圧及び孤児院関係者、子供達の安全の確保に繋がりました。何ら不備はありません。」
ちげえよ、興奮していたのは正面扉とバリケードを吹っ飛ばしてチェーンソーのエンジン蒸かして突入してきたお前のせいだよ。あとそれは一般的な慎重とは言わねえよ。
それと、誰だよあのターミ姉ちゃんに子供のあやし方教えた奴。
自分達が住んでいた孤児院の入り口をぶっ壊しやがった張本人、しかも強盗団の顔面やら胸やらっ捌いて返り血を浴びた真顔で至近距離から淡々と「安心してください。」とか言われて子供が安心できる訳ねえだろ。
涙も引っ込んでびびっていたぞ。子供がトラウマになるだろあれ。


『ケース3』◇月◇日、テロリスト『オルガノ』の説得成功または武装解除。また、このテロリストは『◎◎村の出身』であり、彼の村はかねてより聖都への反感意識が高い事から事を大々的にするのもテロリストを殺害してしまうのも暴動に繋がりかねない火種になる為、『絶対に殺害してはならない』。

執行者4は「了解しました。」と定型句を一言返した。

結果:テロリストの武装解除(意識途絶)完了。対象には打撲痕、複数箇所骨折、内臓損傷等見受けられるが生命に支障はない。また、迅速な対応であった為テロ行為が表沙汰になることもなかった。

補遺:確かに、任務は遂行した。上もちゃんと絶対に殺すなって念には念を押しているのもグッドだ。
でもな、あの女には嫌がらせにならないって上も理解しろよ。どう考えても人選ミスだろ。
あの鉄面皮女、説得ってのを絶対間違えてやがる。
何をしたって、あの女一応あいつにとっての説得らしいが「現段階はテロ未遂である為即時武装解除し投降後然るべき手続きを経れば貴方でも司法の場に立つ権利があります。」だのなんだの一方的に伝えて、テロリストなんだからそれがこっちがどうやったって受け入れられない理屈をこねくり回した主張がしたくて仕方ない人種なんだから適当に吠えさせておけば良いのに「その主張には賛同致しかねます。」「その意見は主観に基づく事実を歪曲した要素が散見され、およそ国家を相手にするには未熟で不完全なものです。」「欠陥のある主観は認められません。その様な強い思い込みによる動機はありきたりな自己の破滅しか招かないと理解できていないというのは有り得ず、あまりにも不可解です。一旦白紙撤回してから零から論理を組み立て直す事を推奨致します。」
とかあのいつも通りの調子で言い返しやがった。
そりゃ当たり前で、テロリストもぶちぎれて武器を手に加害意志を見せちまった。
そうなったら説得失敗と見做し、殺害は許可されていないからってあいつなりの手加減でゲテモノ武器が搭載された鎖に繋がれた棺桶をフルスイングだ。よく生きていたなあのテロリスト。
もう流石に聞かなかったよ。お前説得の意味分かってんのか?って。
聞かなくても分かるだろ、いい加減。あの女、本気であれが説得のつもりだったんだよ。正しい事を言って、過ちを訂正すれば説得になるって本気で思い込んでたんだよ。
あの表情筋凍り付いてるか機能していないんじゃないかって顔が、ちょっとだけ変わったように見えたのは気のせいだろうが。
にしても、こっちの道理を全部押し付けて、しかも向こうの意見主張を片っ端から全反論とか説得になってねえだろ常識的に考えて。棺桶フルスイングで死ななかったのって、ひょっとして、ああいや、あいつに限ってそれはないだろうが困惑して手元が狂ったとかならちょっとは人間味ってのが出てきたんじゃねえのかな、知らんけど。

『ケース■』□月□日、異端者■■■の浄滅。
結果:異端者の浄滅確認。並びに、前任者の執行者a到着前に解決。但し、先行していた執行者a。は■■。

補遺:これは、あいつへの恨みを最初に抱いた事件だ。そして、最初に怖くなった事件でもある。当時のaは、まあ不真面目だったってのもあるがまだ補佐だった頃のあの女の態度がムカついていたのもあるから俺よりよっぽど人でなしの屑だったペアの執行者と先に任務にあたらせていたんだ。これでびびって態度を改めるぐらいになったらあとで俺が助けに行って懲りたら二度と生意気な態度をとるなって教育してやるつもりだったんだよ。
でも、間違ってた。あいつは人の心がない悪魔だよ。
結果だけ語れば、執行者■■■、つまりペアは死亡。そしてそっちに就いていた補佐とあの女の補佐二人で執行者の後を継いで異端者と狩ったみたいになっているが実際は違う。
あの女、執行者を殺しやがった。補佐なんだぞ、どんだけ文句あろうが仲間だ、間違っても敵じゃあない。
実力とか以前に身の程を全く弁えてやがらなかった。敵味方の区別がついているなら、自分の立場を分かっているなら絶対有り得ない真似だ。
なんで殺したのか、任務を理解していないのかと聞いたよ。当たり前だろ?だけど、あいつ平然と答えたんだよ。
「執行者の言動、姿勢、異能を加味しても任務遂行能力には信頼できる程の数値に達していない、標準的な執行者として求められる能力水準としては不足しているのではないかと疑問がありました。なので、執行者■と貴方の到着を待っても任務遂行成功確率は私とシスター・■■■■■二人の時より時間経過による対象の行動パターン及び状況変化の影響と照らし合わせて即時行動に移し解決したほうが成功確率が高いものだと判断致しました。事実、任務は無事完遂致しました。何故𠮟責を受けなければならないのでしょうか。理解致しかねます。」
じゃあ、なんであいつを殺したんだってキレたら
「異端者■■■の攻撃により執行者■は負傷し、戦力低下しておりました。それどころか任務より自己の生存を優先して私達に時間稼ぎを命令致しました。ですが、前述の通り時間は任務達成の可能性を低下させる要因であり、尚且つ合理的と程遠い判断しか下せなくなった執行者■は任務の障害と判断せざるを得ませんでした。なので、射線上に立って盾及び視界を塞ぐ障害の役割を担って貰いました。」
顔真っ赤にして怒鳴るこっちの顔を、檻の中の猿でも見るような何にも感じていないような顔して見詰め返しながら、自分の直属の上司を殺した事も何も悪い事だと思っていないって言いきりやがったんだ。頬骨が砕けるぐらいの力で殴られても、女らしい悲鳴どころか顔色一つ変えずに。侮蔑とかそういうのすらない、まったく何にも感じていないって顔してな。
ぞっとしたよ、俺らも大概屑だったけどな、俺らはヒトだよ。種族とかそういう問題じゃなくて。でもあいつは違う。悪魔だ、そうじゃないなら機械とかそんなだ。人間の感覚、感性が一切無いんだよ。必要なら、あいつの言葉を借りるなら合理的判断ってやつの為なら上司だろうが同僚だろうが家族だろうが誰だろうが殺せる。殺したいからとか、怨みがあったとか、そういう人間らしい動機なんてあいつには必要ない。

ま、前任者のaは本来同時に任務にあたるところをわざと遅れたりしたのとか色々裏でこそこそしていたのがバレて補佐に降格。逆に頭のネジが飛んでいるあいつは死んでも構わない臨時の補充要員として格上げして4の後釜になった。

後はまあ、知っての通りだ。
もう俺はうんざりだ。あいつと関わってろくなことがない。俺の人生にケチがついたのはあいつのせいだ。思い出したくもない。

ただ最後に、一つだけ稼がせてもらうぜ。俺は散々罰を被ったんだ。それぐらいしても神様だった許してくれるだろ?

pc
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