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悪意の講釈(Leon)
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「黒は夜の闇に輪郭が浮き出る。なので紺を着る」
「地肌もまた然り。保護色に変色し、短時間の任務に集中する。カメレオンたるゆえの特権だな」
「得物は、常日頃から自分の使い勝手がいいように手入れを施すべきだ。でなければ必ずしくじる」

 上記は、レオン・ポワルスキー著、暗殺の手引きによるものである。少し嘘だ。日常生活に於いて彼が唯一講釈を垂れたがる、その一部を抜粋したものである。常に血に飢え、危なく鈍る眼がその時のみは燦然と輝く。人の肉が裂ける情景や音色、香りに温度、それら全てを思い出して満足げに笑っているようだった。まったくアンダーグラウンドを地で行く男である。嬉々として垂れ流す講釈を、ウルフはふんふんと聞き流す。私は時折、恐れおののいてそそくさと退場したがる。彼はすかさず頭を引っ掴んで、必ずこう言うのだ。
「何を勝手に、抜け出そうとしている?」
 嫌々話を聞く私の、寄った眉根と引き結ばれた口が見たくてたまらないに違いない。いくら仲間同士であるからと言って、自分の趣味嗜好に無理やり付き合わせるのはいかがなものか。それが趣味なんですとでも言いたげな彼の満面の笑みは、彼の悪癖の象徴に他ならない。





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ひたすら講釈を垂れるレオンの話を書こうと思っていた

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