↓続き
By 管理人:すーこ
「……冗談だ、そんなに怯えるな」
硬直してしまった元就を見て、元親はふっと噴き出した。途端に空気が緩み、元就の硬直もすっと解けていく。息苦しさに吐息を零すと、そこを狙っていたように元親の唇が寄せられた。
ゆっくりと、恐怖に強張った体をほぐしていくように舌が絡められていく。
「……ん、ぁ」
むず痒さを感じて力が抜けてしまい、元就の口から掠れた声が零れた。それに気をよくしたのか、元親の手がゆっくりと着物を脱がしにかかった。
緩められた着物の合わせ目から、かさついた大きな手が忍び込んでくる。滑らかな肌を撫でながら掌はゆっくりと動き、着物の下でしこりつつあった小さな乳首を指先に捉えた。途端に元就はひくりと反応し、合わせたままだった唇が離れてしまう。
「な、何を、もとち……ぁ、あ……っ」
戸惑うように目元を歪めながら、それでも元就は元親の指の動きに合わせて生じる疼きに喉を震わせる。まだこの行為がよく分かっていないようで、声や震える腕にはぎこちなさが残る。それでもその腕を振り払おうとはしないことに、元親は安堵しつつ調子に乗った。
硬くなった小さな粒を更に指先でつつき、爪を先端の窪みに突き立ててみたり指の腹で押しつぶしたり、つまみあげて捩じるように刺激してやったりと、思いつくまま好きなように元就の胸を弄り続けた。
元就は肩を震わせて喘ぎ、縋っていた手を元親の首へと回してその刺激に必死に耐えていた。ほんの少し弄るだけでいっぱいいっぱいになってしまっているため、元親が気まぐれに耳を齧ってやると面白いほど反応を返してきた。
自身の下で小さな体を震わせて喘ぐ元就に、元親の支配欲がじくじくと刺激されて熱が煽られていく。
乱れても脱げ切らなかった着物を脱がしきり、板張りの床で背中を痛めないようにと敷物代わりに使う。やせっぽちの体は、それでもここに来たばかりのときよりかは健康的な肉月になってきたが、元親としては未だ足りない部類である。浮き出た肋骨を指でそっとなぞると、元就はそれすら堪えるように目を閉じて口を引き結んだ。
褌を押し上げている熱が目でも分かって、元親は少しほっとした。驚かさないようにと気をつけて触れたつもりだったが、それでも元就は閉じていた目を見開いてぎくりと硬直した。
「も、元親、そこは……ひ、ぅう……」
「怖くねぇから、大丈夫だ。……なら、俺のも」
顔を赤くして堪えるように目を伏せている元就に、元親は一度その手を離した。元就がはっとして顔をあげると、彼は自身の着物を乱暴な手つきで脱ぎ捨て、緩んだ裾を広げて自身も裸体を晒していた。いつも感じていた巨躯が目の前に晒され、元就は不躾にもその引き締まった体をじっと見てしまう。
それに気付かないふりをして、元親は自分の褌も取り払った。元就と同じく、既に股間は滾っており肉棒が張り詰めている。元親は、投げ出されていた元就の手を取り、それを自身の股間に持っていった。
「な、元就。俺のもしてくれるか?」
不意に熱いものを触らされてぎょっとしていた元就だったが、優しく囁かれて指先をぴくりと震わせた。緊張に震えつつも、ゆっくりと元親のものを指先で探り、おずおずと握りこんでくる。それだけで、元親は満ち足りたような吐息を零した。
元就がしっかりと握りこんだことを確認して、元親は手を離した。そして、そのまま再び元就の股間へと手を移動させた。同じように彼の勃ち上がったものを握り込み、ゆっくりと扱いて刺激を与えていく。
「んあ、あぁ……っ、はぁ、はぅ……っ!」
「いいよ、気持ちいい。俺の手と一緒に動かしてごらん」
与えられる快感に身悶えながらも、元就は手に握った元親の陰茎をたどたどしく扱いてやる。おずおずと動かれたとしても刺激などたかが知れているが、元親は幸せそうに喉を鳴らして快感を傍受する。
元就の方は既に限界が近く、喘ぎと呼吸が少しずつ荒くなっていく。堪えるように閉じていた口も、もはや制御できずに開きっぱなしとなっていた。小さな黒い穴から赤い舌がちらちらと見えるさまに妙にそそられて、元親は再びその口を塞いで舌を吸い上げた。
「んむ、んぅう……!!」
苦しげな呻きと共に元就の体がぎゅうっと強張り、少し遅れて元親の掌に生ぬるく濡れた感触が広がった。口を離すと、射精の余韻にぐったりと脱力した元就がだらしなく口で呼吸していた。
「可愛いな、元就……」
思ったままを口にして、元親はその痩躯を抱き締めた。真っ赤に震える頬や涙にぬれた眦に唇を寄せて、汗ばむ額に貼りつく前髪を指先で払ってやる。その感触に、元就がうっすらと目を開けて元親を見上げた。
いつもどこか距離を空けていた元就が、今は裸体を晒してこの腕の中に居る。伏せられて視線を合わせる事も少ない涼しげな眼が、今は熱に融かされてうっとりと元親を見上げている。なかなか触ろうとしてくれなかった細い手が、今は縋るように元親に伸びている。
ぞくり、と元親の背筋が震えた。
「……んぁ、あっ?!」
脱力していた元就が、再び体を跳ねさせた。脱力して投げ出していた足の間に、元親の手が潜り込んでくる。自分でも探ったことのないような場所に指を押し付けられて、感じるより先に嫌悪が湧いてしまう。
「も、元親っ、いやだ……!」
「堪えてくれ、頼むよ……ここまできて、お預け食らいたくねぇんだ」
逃げ出そうとした元就に、元親は縋るようにそう言った。声は優しいが動作は相変わらず強引で、逃がすまいと元就の腰を掴んで引き戻し、窄まった孔に指先をねじ込ませた。反射的に締め出されそうになったものの、それを振り切るように更に指を押し込んだ。
「ぁあ、うぁ……」
内壁を探られて、元就は顔を歪めてそれに耐える。足りなかった潤滑は先程吐き出した精液で補われたが、それでも嫌悪が消えきるわけではない。元親のためにと何とか力を抜こうとするものの、体はどうしても異物を排除しようと指先を締めつけてしまう。元親はそれを無視して更に奥へと潜り込ませるので、元就は何もできずにただ身悶えるしかなかった。
「……ん、あぅ」
不意に背筋を這うような疼きが走り、元就は声を掠れさせた。自分でも不思議なようで驚いていたが、元親の方は唇をつり上げていた。
「ここだな」
確かめるように呟いて、埋め込んだ指で内壁のしこりを押し上げる。途端に再びあの疼きが生じて、元就は喉を反らして喘いだ。
「元就、元就……あぁもう駄目だ、食っちまいてぇ」
堪えるように元親が呟き、やがて指先を引き抜いた。異物が取り払われてほっと力を抜いていた元就は、すぐに別のものを宛がわれて再び硬直する。それが先程まで握りこんでいた元親の陰茎だと気付いて、恐怖より先に期待と渇きを感じていた。
元親は何も言わないまま腰を押し付け、指によって解された元就の後孔へと陰茎を押し込んできた。抵抗はあったものの、思っていたよりは楽に挿入できた。元就は押し込まれる大きな異物の感触に胸を反らしていたが、必死に深呼吸を繰り返してそれを堪え、何とか根元まで咥え切った。
腰が浮き上がり、肩が床に押し付けられる。元親の腰を挟むようにしていた両足を、大きな掌が膝裏を掬うように広げてきて、元就の勃起した陰茎や咥えこんだ孔までもが元親の目前に晒された。汁を垂らして反り返っている元就のものを見て、元親は口を緩めて笑った。
「もと、ちか……」
「美味そうだな、元就ぃ」
呟いた元親を見上げて、元就は息を飲んだ。隻眼をぎらつかせ、つり上げた唇から牙を覗かせる彼の姿は、まさしく皆から恐れられた鬼そのものだった。
本当に食べられてしまうのでは、と一瞬思ったが、それでもいいと思える自分に驚いた。このまま、彼の血肉になってしまうのもいいかもしれない。そうすれば。
「っ、あ、あぁっ!」
がくん、と揺さぶられて、元就の思考は突然途切れた。痛みとも快感ともつかぬ熱さが臍の下から生じて、元就は眼を見開いた。
元親はもはや我慢の限界が来たようで、まさしく獣のような勢いで元就にむしゃぶりついてきた。掴んだ足と、更に腰まで捕らえて、ひたすら元就の内壁を穿ってくる。
元就は最初、快感を拾うどころではなく、ただなされるがまま揺さぶられ声を上げていたが、やがて元親の動きに連動してじくりとした快感を感じられるようになってきた。押し込まれては悲鳴を上げて、抜き出されるとそれを惜しむように内壁が締り、またそれをこじ開けるように陰茎が押し込まれる。
その単純な繰り返しだったが、痛みや違和感より快感の方が勝っていき、やがて元就の嬌声は甘く掠れていった。荒い呼吸を繰り返す元親が身を屈めてきて、考えるより先に元就は手を伸ばした。
「ぁああっ、は……もとちか、もとちかぁ……っ」
舌たらずな声で名を呼ぶと、彼の眼が愛おしげに細められた。腕が届くところまで顔を近づけられて、元就はようやく彼の背に腕を回した。そのまま胸がぴったりと合わせられて、ばくばくと胸を叩くお互いの鼓動を直に感じて、元就は何故か胸が締め付けられるような気がした。
元親の動きはさらに激しくなり、元就もそれに翻弄されてただ悲鳴を上げるだけになった。もはや快楽すら分からぬまま、激しい流れに翻弄されて声を上げる。飛びそうになる意識を、彼の背に伸ばした腕で必至につなぎ止めた。
「あ、ひぁ……っ、はあぁっ!」
絶頂感がせり上がり、元就は必死に元親にしがみついた。再び陰茎が弾け、温い液体が腹に飛び散ったのが感じられた。
呆然としていると、元親の低い唸りが聞こえて、同時に腹の中にぶしゅ、と何かが吐き出された感触があった。それが少しずつ治まっていくのを感じながら、元就はうっとりと眼を閉じた。



元就が目を覚ましたとき、室内にはすでに日光が差し込んでいた。ぼんやりと見上げると、開け放された四方の雨戸から燦々と光が降り注いでいる。月見をしてそのまま情事に耽ってしまったためだった。
肌寒さを感じて、元就は無意識にぬくもりの方へ擦り寄った。それが元親の腕だと気づいたが、逃げる気にはならなかった。彼はまだ眠りこけており、眼帯の下の左目を晒したままだった。やはり肌寒かったのか、脱ぎ散らかしたお互いの着物を布団代わりに被っている。
晒された素顔に、元就はそっと手を伸ばした。少しひんやりとした頬を撫でて、落ちる銀の髪をゆっくりと払う。彼が目を閉じているからこそ、こうしてじっくりと顔を見つめることが出来るのだ。
昨晩の元親は、様々な顔を見せてくれた。いつもの慣れ親しんだ笑み、優しく見つめてくれる笑み、余裕の無い真剣な表情、そして、鬼の名にふさわしき気迫も。
いろいろな顔はあれど、それら全てが元親なのだ。元就は、自分の知っている元親がまた増えたことが嬉しかった。彼を知ることに喜びを感じているのだと、自分でも驚きつつもゆっくりと認めた。
元親はまだ起きる気配がない。ならばもう少しだけ、と元就は彼に身を寄せて再び目を閉じた。心地よいぬくもりに包まれながら、元就は幸せに浸って眠りについた。



互いの気持ちを確かめ合った二人は、何事もなく暮らしていた。
大きな幸せがあるわけではないが、欠けるものがない毎日は十分に満ち足りていた。足りないものを補い、余りあるものは分け合い、そうしてゆっくりと日々を過ごした。
元親が船で海に漕ぎ出す際は、元就は残された数人の子分の鬼達と留守を預かり、元親不在の島で彼らの帰りを待った。帰ってくる頃には、元親は彼すら持ちきれないほどの土産を持ち帰ってきて、元就に呆れられていた。
秋が深まると、収穫した野菜や木の実で鬼達は宴会を開いた。冬が近づくと、皆で家屋の冬支度に取り掛かった。年の瀬には盛大に酒盛りをして、新しくやってくる年を賑やかに祝った。元就が餅を好むと知って、元親ははりきって餅を搗き彼を喜ばせた。
大雪が降って島中が真っ白に染まった時は、元親も子分たちも大はしゃぎで雪合戦を繰り広げた。呆れ顔をしていた元就だったが、いつの間にかその合戦に混ざって大奮闘し、子分達に雪合戦大将と担ぎ挙げられていた。
雪が解けて春が来る。そして夏が来て、また秋が来る。そうして何度も季節は廻った。
何事もなく、日々は過ぎていくはずだった。







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ひとまずエロ部分。今回は短めなので分割無しです。
最後にちょっと揉めて、あと2、3回で終わります。


こんなに長くなるはずでは… あるぇ〜?




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