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By 【一緒に】
「リリー」

 名前を呼ばれ振り向くと、通路の向こうからジェームズが走ってくる所だった。とても嬉しそうな顔に「走るならグラウンドで」と言いたくなったが止めた。ジェームズは「じゃあ一緒に」とヌケヌケと言うのだろう。

「なにかしら?」

「君の姿が見えたから。どこかに行く所だった?」

「いいえ、部屋に戻る所よ」

「なら一緒に行こう」

 当たり前のように言ったジェームズの言葉に、リリーはクスリと笑った。何を言ってもこの人は“一緒に”と言うのだろう。
この冬を越えたら私達は卒業式を迎える。先日、私はジェームズからプロポーズを受けていた。

「これからも一緒に居て欲しい」

 照れながら言うジェームズの言葉を、私は頷くのが当たり前のように受け入れた。未来の事など想像もつかなかったが、ジェームズが居る事だけは簡単に想像できた。
二人が居る事が当たり前の時間を、私達は一緒に歩いていく。

「しかたないわね、いいわよ。」

 私が頷くとジェームズは笑った。同じ寮(へや)に向かう道を、私達は一緒に歩いた。二人が居る事が当たり前の時間を、これからも一緒に。これからも一緒に。

END

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2006 10/23

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