By 【勝利と栄光】 クィディッチはグリフィンドールが勝利を納めた。 金のスニッチをいち速く見つけたビーターのシリウスが、手に持っていたクラブで打ち、シーカーであるジェームズの手に送り込む。ジェームズがこの英雄的・劇的好機を逃すはずもなく、グリフィンドールに大逆転で勝利した。 「すごいやシリウス!これは歴史に残る試合だよ!こんなの見たことない!」 興奮して叫ぶピーターの声が、観客席から聞こえた。シリウスは得意気に鼻で笑うと、勝利を祝う観客の前に箒から降り立った。 「やった!」 シリウスは歓喜の声で、辺りを見回す。 すぐ横では、競技場へいつ降りて来たのか、リリーとジェームズが抱き合っていた。オイオイ、公衆の面前で…と言う者も無く、観衆は俺たちを見守っていた。 By ──ん? シリウスは辺りを再び見回した。俺たちを囲む皆の視線に、怯えが混ざっている事に気付いた。 「どうした?」 そういえば、オカシイ…ここは試合場ではなく──。 「シリウス、君、勇気あるね」 リーマスがシリウスの肩を叩いた。 「寝惚けていたとはいえ、リリーを突き飛ばすなんて」 「…え?」 恐る恐るリリー達を見ると、突き飛ばされたリリーを、受けとめていたジェームズと目が合った。 「シリウス、リリーは居眠りしていた君に毛布をかけようとしていただけじゃないか」 「…は?」 ジェームズに抱き受けられていたリリーが、ゆらりと振り返った。 「シ〜リ〜ウ〜ス〜…」 「!!!」 シリウスの勝利と栄光は、文字通り『夢となって』消えた。 END 戻る [1-10表示] [返信する] [新規トピ] [戻る] 戻る |