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By 【続く言葉】(ルック夢)
 
 「チョコ」と言うのは簡単だったが、その続きを言葉にするのは難しかった。チョコなんかいらないよ、と言おうとして言い切る前に察した恋人があまりにも悲しそうな顔をしていたので、ルックは言いかけた言葉を飲み込んだ。

「私の気持ちをたっぷり込めた手作りチョコをあげようと思ってるのに…」

「呪いのチョコ?」

「バレンタインチョコ!そんな事を言うとあげないよ」

「それはちょうどよかった。第一、君は料理…」

 ルックが濁した言葉に恋人は口をへの字にして「私が下手なんじゃなくて、ルックが器用すぎるんだよ」と言う。ルックは鼻で笑ってみせた。

「僕が器用なんじゃなく、君が不器用すぎるんだと思うけど」

「でも……あげたいんだもん、手作り」

 恋人の声が少しづつ小さくなっていき、最後の方はほとんど聞き取れないくらいだった。その様子を見てルックは面倒臭そうにため息をつく。

「午後にチョコムースを作ってみようかな」

「教えてくれるの?」

「作りたいなら勝手にくれば」

 材料は揃えておくから、と言うと恋人は嬉しそうに笑った。よく怒りよく笑う恋人の、その笑顔がルックにとって何より極上のスイーツだった。


END

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2007 1/7〜1/14
バレンタイン 期間限定

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