[返信する] [001] By 愛を込めて花束を 2 2011-01-15 23:37:30 静まり返った家の中。 こんな雰囲気は苦手だ。 <愛を込めて花束を・2> pc [編集] [002] By としこ 2011-01-15 23:46:57 ツ、ツー 階段の手すりを指でなぞると、存外大きな音がした。 と、やや下の段に座り込む兄からギロリと睨まれる。 わあ、ごめんごめん。 苦笑いして、襟足をがりがり掻く。 漸くクネスは目線を戻した。 まっくらな家の中。 そりゃそうだ、深夜だもん。 こんな時間、おれ、起きてんの珍しいんだぜ。 でも、なんか眠れなくて。 原因は分かってる。ねーちゃんが結婚するんだ、明日。あ、いやもう今日か。 何だか泣き声の、ねーちゃんの声。 もう、結婚式当日だってのに。かーちゃんも、「早く寝ろ」って言ってやりゃいいのにね。 pc [編集] [003] By としこ 2011-01-15 23:53:29 クネスがマスク取ってんの見るの、久々だあ。 おれたちは、まあ、先天的なんたらで、光の下では暮らせない。 だから昼間はいつも、マスクを被ってる。 必然的に、夜は電燈がなけりゃ素顔でいられんの。 でもおれ、寝るの早えーしさ。クネスはいつもすっげー遅くまで、ゲームしてるし。 だから、兄とはいえ素顔を見るのはとても久しぶりで。 pc [編集] [004] By としこ 2011-01-16 00:02:19 ーぐす。 泣いてんの? おれは少し、いたたまれなくなった。 おれでさえ。 おれでさえ、ねーちゃんの結婚、寂しいもん。 いや、どーかしたら、「何となくやだ」とか思っちゃってるよ。うん、思ってるよ。 自覚はある。シスコンなの、おれ。 けど、クネスはおれの上行くからなあ。 気持ちは分かる、すっげえ分かるよ。 下の階で、ねーちゃんとかーちゃんが何か話してる。 おれにははっきり聞こえない、でも。 なんか痛いぐらい、ねーちゃんの気持ちとかーちゃんの気持ちと、 それからにーちゃんの気持ちがおれんなかに入ってくる。 pc [編集] [005] By としこ 2011-01-16 00:11:46 部屋に帰る気にもなれなくて、かといってクネスと話をする気にもなれなくて。 ましてや下に降りていく事は絶対できないなと思う。 どうしようもなく、おれも階段にそっと腰かけた。 両手を前で組んだ。 『ほら、キッド。傘だよ』 『今日は何食べたい?』 『キッド』『うふふ、キッドってば』『ねえ、キッド』 『キッド、』 『ねーちゃんね、結婚するんだ。』 …記憶の中のねーちゃんは、いつもいつも笑ってた。 なのになんで、いま、泣いてんの…? pc [編集] [1-10表示] [返信する] [新規トピ] [戻る] |