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[ぎんじーのマジカル☆キャンディ2]
By 降隆
2007-10-17 00:51:09



断っておきますが、これは「もりたんだーいすきv」ってなるぎんじーの話です。
好き勝手にさせて下さい。





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By 降隆
::[起-1]
2007-10-17 00:52:11


射精後の睡魔に任せて瞼の下りた、森田の頭を抱え銀二はその髪をゆっくりと撫でてやる。ほどなく呆気なく胸に感じる息が静まったところでそっと身を起こし、起こすところで森田がパチリと目を開く。宙をぼんやりと見つめる森田に銀二は何も言わず微笑んで、上体を捩るとライトを消す。そしてようやく落ちた暗闇の中、何事もなかったように再びベッドへ身を沈める。向かい合って横たわりしばし目を閉じてから、夜目の慣れた頃にうっすらと開く。案の定こちらを覗き込む森田の双眸が間近にあり、銀二は笑みを深めた。
心臓に悪いガキだと。
やはり何も言わない森田の胸に手を伸ばし指の背を滑らせて、それから銀二はその腕を掲げヒラリ曖昧に自分の背後を示してみせる。すると勝手知ったる森田は初めて満足そうに口元を緩め、銀二がやれやれと寝返りを打ち背中を向けてやれば、森田はぴったりとその背中に身をすり寄せてきた。肩から二の腕を手のひらが何度と繰り返し擦っていく。熱いほどの体温に浅く息を吐き銀二は、「落ち着く」と。感慨にも疑問にも聞こえる調子で囁く。耳の裏側をフフ、とくすぐり、森田はうんともううんともつかない返事を零した。
だらりと絡む腕の重みを感じながら、やがて森田が今度こそ深く寝息を立てだすのを確かめるまで、銀二は身じろぎひとつせず一点を睨み続ける。慎重に慎重に抱擁から抜け出して、フローリングに素足を忍ばせる。手探りでバスルームに向かうまでの道のりはいつも酷く長くて、山奥にでも迷い込んだ気分になる。やっとのことで辿り着いたドアを縋るように開き、ガランと広いユニットバスに転がり込む。拍子にドアの角に足の爪先がぶつかって、大げさに痺れた。

畜生。

そんな文句が浮かぶ。
痛みに堪らずうずくまり指を押さえ、食いしばる歯列から漏らされる、息が震えた。

畜生。
畜生畜生畜生。
馬鹿にしやがって。




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By 降隆
2007-10-17 00:53:48

馬鹿にしやがって。馬鹿にしやがって。馬鹿にしやがって。とそれだけを念じ、よろよろと立ち上がる。叫びたかった。叫べたらどんなにか、せめて寝室にとって返しあのガキのどてっ腹を蹴りつけられれば、どんなにか。現実には何一つ叶えられず忌々しいドアを殴りつけることもできずに、悄然としてバスタブにこもるしかないのに。下らない衝動ばかり起こるのもいつものことで、結局何より一刻も早くするべきは今日も、何もかもとっとと洗い流してしまうことなのだから。身体中にまとわりつく残滓を。

「馬鹿にしやがって……」

知らず口に出して呻きながら、銀二は思い切り強くしたシャワーに打たれる。スポンジにたっぷりとソープを垂らし全身を、ベタつく内股も胸も首も性器も、とにかく全身を擦るだけ擦っていく。泡を流し終えたら排水口に栓をして後はただ「すすぎ」だ。これだけは全くキリがないので、溜まる湯がくるぶしに届くまでと決めている。目を瞑るとろくなものが浮かばないので塞がった排水口だけを見つめ、銀二は馬鹿にしやがって、と繰り返す。
悪趣味な初めての試みとやらは、屈辱の一言に尽きた。
今まで自分が暗闇に拘るのは老いぼれた身体を見られたくないからだと思っていたが、あるいはあの若い男に栓のないコンプレックスを感じたくないからだと。だが違った。どうも違った。俺は、ただ見たくなかったのだ。何も。何を見とめることも堪え難かったのに。
結局終始萎えたままだった性器を舐め上げられた感触が甦り、銀二は奥歯で舌を噛んだ。ぼたぼたと顔を伝う湯に目を細め、そうしてふと思い至る恐怖に、目を見開く。

森田が味をしめやがったらどうしよう。

渦巻くこともなく湯気と波紋に揺れる排水口を見下ろして、銀二は途方に暮れる。もたれるように壁についていた両手の、爪先がタイルを引っ掻く。ギシギシと拳を固め、舌に歯を食い込ませる。



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By 降隆
2007-10-17 00:55:13


どうしようもくそもない、どうせ俺は拒めやしない。拒む理由も無くしてしまった。でもどうしよう。どうしよう、どうしよう。まさかこれから毎度あんな惨めな思いを、ますます惨めな思いをしなきゃならないのか、俺は。
いつの日か、などという潜在的なそれとは大きさも明瞭も比べようがなかった。その恐怖は湯が足の甲を浸しだしてからも続き、バスルームをふらふらと出てからも、キッチンで冷えた水を一杯飲み干しても拭われず、寄る辺ない心細さ募るばかりで銀二は寝室に戻った。銀二の抜け出したときと変わらない格好で寝入る森田は剥き出しの肩が寒そうで、そんな時だけ銀二は、当人も知らないが毒気のない表情になる。そっと冷たく心なし湿ったシーツに身を沈め、もう夜明け前の藍色に近くなった闇の中、森田の顔を覗き込む。精悍な美貌は幾分あどけなく弛緩して、僅かに開いた唇から深く深く息が漏れる。その呼気がブランケットを肩まで引き上げてやると僅かに乱れ、銀二は慌てて背中を向ける。
じんわりと痺れ重い瞼に脳と心臓ばかりが冴えている、これもまたいつものことで。無理矢理に目を閉じれば程なく銀二は、嘔吐感とない交ぜのまどろみを漂いだすのだった。





→起0

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