[携帯モード] [URL送信]

LOGICAL×BURST
[返信する]

時幻党と愉快な仲間たち
By マギー
2016-07-17 12:12:51
平和なんざ当てにならんよ。
だからせめて今だけでも笑え。

[編集]
By マギーさん
2020-09-08 00:58:21



#000『純粋ゆえの凶行』




『ぜの、聞いて。まふゆは頑張った』


『なに頑張ったんだー?』


『布を作った』


『布・・・、作ったのか』


『マフラーは無理だった』


『マフラー作ろうとしたら布になったのか?』


『たなとす、いつも裸だから。マフラーがいいと思ったの。だから本でお勉強したの。でも、布になっちゃったから、ぜのにあげる』



『つまり失敗作じゃんかー』



『でも、ぜのなら、ほら。ぐるぐる巻けるよ。すごい』



『ぐ、ぐるじい』





『ん? マフユ、何してんの? ゼノで簀巻きの練習かい?』



『お、うさ・・・ま、へるぷ、へるぷみ・・・息が、』



『たなとすは、また今度。待っててね』



(俺も簀巻きにされんの?!)



[編集]
By マギー
2020-06-01 15:26:54



#000『彼は愛に溺れる』



『それでね。ぜのがね、』


『マフユ。話すなら口の中のものを飲み込んでからにしないと行儀が悪いよ』


『はい』


『マフユ、怒られたなー』


『怒られちゃった』


『教育だよ。別に怒ってはいない』


『そうなの?』


『そ』


『ぜの。たなとす怒ってないって』


『おー? 王様、マフユには優しいなー。俺だったら頭ねじ切られちゃうぞー』


『ぜのは柔らかいからしょうがないよ』


『そーゆー問題なのか・・・』


『いや。俺は別にマフユが下品でも構わないんだよ。俺自体テーブルマナーとか律儀に守るようなタイプじゃないし。けど、マフユは賢い子になりたいんだろ? だったら日頃からそれらしく振る舞うようにしないと、品格は伴わない。俺は説教をたれてるんじゃなく、ただ単に。マフユが望んだものを与えてるんだ。自分で望んだなら。そう努めるべきなんだよ。わかる?』


『うん。がんばる』


『すげー、王様が正論を説いた』


『と言う事だから。まず、食事を終えなさい。食べ終わるまで待ってるから。それから、話の続きを聞くよ』



『はい』



『マフユはお利口さんだなー』



どうも意外なことに。俺みたいな輩でも
子供の躾と言うやつは出来てしまうらしい。
マフユを拾ってから数週間経ったが
なかなか聞き分けのいい子に育っている。
無垢ゆえに従順なのか、俺の言った言葉を
ほとんど鵜呑みにする。




『ご馳走様でした』



『綺麗に食べたな』



『残さなかったよ』



『マフユえらいなー、今日は玉ねぎちゃんと食べたなー』



『この間、今度はご飯残さないって、たなとすと約束したから。まふゆは、がんばった』



『ああ。いい子だね』



『ぜの、まふゆ誉められたよ。嬉しい』



『うんうん。良かったなー』




子供ってものは至極平和な生き物だ。
あまり好きじゃなかったけれど
これは一つ例外であって
色々な意味を含んでる。
放っておいたら脅威になる存在だった筈が。
こんなにも腑抜けてる。
アカシックレコードによれば
マフユは『破壊兵器』だそうな。
あらゆる世界を死に至らしめる。
リセットボタンのような役割を担ってるらしい。
あの世界においての終焉は
イザヤ・シグレの消滅であって
テスタメントが『再生』を諦めて『絶望』に
呑まれた時点で、全てが無に帰る。
それをさせる為に差し向けられた
最も大きな障害だ。



『それでね、ぜのがね、池に浮かんでたの』



『アイツ馬鹿だからね』



『だからまふゆがね、棒で助けたんだよ』



『羽があるのに?』



『うん。棒で届いた』



『そっか』




表情は乏しい。笑いもするが
基本的に殆ど無表情だ。
感情の起伏は平均的な子供のそれだろう。
ただ、少し機械的な所がある。
黙って俺を見てる時の顔は
ロキ君ちのあの子に似てる気がする。
あちこちクセのついた髪と言い
ロキ君の・・・いや
『イザヤ』の面影なんだろう。




『たなとすも、今度。一緒にあそぼう』



『俺と遊びたいの?』



『うん』



『じゃあ。そうだな。今日は忙しいから。明日にでも。そうしようか』



『何してあそぶ?』



『明日までにマフユが決めておいて』



『まふゆが決めるの?』



『そうだよ。君が選んで決めるんだよ、全て。俺と何して遊びたいのか。明日までに考えておく。それが今日の課題かな』



『わかった。がんばる』



『素直だね。楽しみにしてるよ』



『ねえ、たなとす』



『ん?』



『いっぱい、思いついちゃったらどうしよう?』




『その時は・・・』





『全部やったらいい』そう答えると
そっか、と。無邪気に笑った。
家事を終えたゼノが戻って来ると
二人は喋りながら部屋を出て行った。
棚から葡萄酒を取り出して栓を抜いた。
窓辺に腰掛けてそれを飲む。
常に暗く代わり映えの無い景色に目をやる。
此処に日の光は差し込まない。
庭先に見える枯れた花。死んだ木々。
何を植えても育つ事がない。
いつかロキ君が愛する人の為に
そうしたようにはできなかった。
俺には。色々なものが足りない。
生まれもっての『駄作』だ。
ならば、あの子は。どんな風に咲くのだろうか。
こんな俺が与えたものは。一体どんな姿で
彼女を形成して行くのだろうか。
きっとルキフグスは考えもしなかっただろう。
俺に。こんな感情と好奇心が残っていたなんて。
俺がこんな所にまで踏み込んで来るなんて。
愛の欠片もないように思えたんだろうさ。
でも俺は。アイツの『同一存在』なんだよ。
愛に溺れて、愛に狂ってる、あの男のさ。




(皮肉な話だなあ)




[編集]
By マギー
2020-05-02 13:21:24



#000『仮面の下、本音は見えず』




──────────奈落の底タルタロス.



『お前は相変わらず。碌でもない事ばかりしでかすな』



『そりゃあ仕方ないさ。それが俺の性分なんだよ、ロキ君。あ、飲み物いる? 酒しかないけど』



『・・・珍しく人助けに荷担したかと思えば。今度は危険分子を飼い慣らしてる。お前とアスターだけは未だに何を考えてるのか判らないよ』



『えー。ペテロの事なら判るって?』



『彼は単純だからな。性根の腐ったゲス野郎。それ以外の何者でもない。判りやすいじゃないか』



『まー。確かにね。けど、俺から言わせて貰えば。ロキ君が一番。めんどくさくて小難しい奴だと思うよ。結構ガチで性格悪いしさあ』



『安心しろ。その認識で凡そ間違いない』



『今の笑うとこじゃないよ。怒るとこ』



『で。今度は何をどう改悪しようとしてるんだ?』



『って言うか。ロキ君が俺のやることに自分から干渉してくんの珍しいよね』



『魔女からの根回しだからな』



『あ、やっぱり?』



『でなければ俺がわざわざこんな所に出向く訳ないだろ。これは彼女からの質問だ。お前。ルキフグスを「どう」したんだ?』



『それ「俺」からも。同じ質問されたことあるなあ』



『どうせ適当にはぐらかしたんだろ』



『えー。何でそう思うの?』



『だってお前。自分の事、大っ嫌いだろ』



『・・・ひどーい。卑屈な男だって? 君ほどじゃない』



『お前が依存して、渇望してるのは他人からの「愛」だ。ツガイドリの間にある質の悪い呪縛のようなそれだ。だが、自己愛の欠片もないお前じゃ一生得られやしないから。擬似的にでもそこに浸りたいだけなんだろうさ。お前は、自分自身を愛してない』



『ロキ君って、たまに物凄く辛辣だよね』



『だから、一つ言い切れるとするのは。愛に盲目的なお前は。決して俺を欺けない。と言うことだな』



『なにそれ?』



『お前は俺に依存してる。俺が持ち合わせている家族への深い愛情を。自分にも与えて欲しいと渇望してる。だが残念な事に。俺は俺の同一存在のようにお前を愛する事が無い。それは何処まで行っても平行線だ。けどお前は。そうじゃないみたいだな。俺に対して必死だ。重苦しいぐらいに』



『大した自信だね。俺が何考えてるかも判らないくせに』



『お前の頭の中身までは知らん。覗こうとも思わない。どうせ碌でもないからな。だが、知ってる事は多い。それはお互い様だろう?』



『まー。そうだね』



『だから、質問しているんだ。お前の腹を探るなら。俺が適任だと思ったんだろうな。彼女は』




『流石、駿河さん。俺のこと判ってるねえ。大好き』



『で。質問への回答は?』



『俺ねえ、今。子育てしてんの』



『・・・ほう。それで?』



『どんな子に育つか楽しみなんだ。真っ白で。何にもないから。どんなものにだってなれる訳で』



『・・・』



『どうしようもない俺が。水をやった花はどんな風に咲くのか。試してみてるんだ』



『随分とらしくない試みだな』



『そー。でもルキフグスに感謝すべきはその点だけかなって。アイツが。死に際にばら撒いてった不都合(ゴミ)の中に。一つだけ。良いものが混ざってたんだから』



『ルキフグスは抹消されたのか?』



『俺はそうしたよ。けど死後もその企みは回り続けてる。俺にとって誰が邪魔になるかそうじゃないか。それだけだよ。でも俺だってさ。たまには。ピュアな感情に従う時もあるんだよ。自分で世話をして咲いた花の色が気になることもある。純粋な好奇心だ。まあ。それじゃ駿河さんは納得しなさそうだけど』



『・・・』



『何にせよさ。俺は碌でなし。それに間違いない。けどね。愛を知らない訳じゃないんだよ。今は少し物足りないだけ。一つ確実に言い切れるのはさ。俺のやること成すことは全部。俺と愛する君の為だけにあるものなんだよ、ロキ君』



『お前は本当に。口を開けばそればっかりだな』



『あはは。呆れた? でもいいんだ。君が俺を愛してくれなくてもさ。俺はね、一緒に生まれてきた、あの瞬間から。君の事を。ずっと、ずーっと。愛してるんだから。つまり、そーゆー事。全てはロキ君への愛ゆえに。駿河さんにそう言っといて』



『・・・言えるか』





[編集]
[#次]
[1-3表示]
[返信する]
[新規トピ]
[戻る]


無料HPエムペ!