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二形小説書物庫
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By ベア
2012-11-08 16:14:53
今からずっしりと体が重くなるような感覚に異常なまでの心地悪さを覚えた。蔑みや罵りの言葉を恐れるあまり、ぶるぶると震える。覚悟していたつもりだったけど…やっぱり怖い。

「直人くん…辛かったでしょ?」

先輩はオレの背中に手をやりながら優しい声で話しかけた。ピタリと震えが止まる。

「先輩……どうして?オレ、こんな体になって、こんなの気持ち悪いじゃないですか!」
「女の子になったって、あなたは直人くんだもの。どんなになっても…私は平気だよ」

伺うように先輩の方を見ると、少し泣いていたけれども柔らかな笑顔でたたずんでいた。

「…でも黙ってるなんてひどいなあ。私、知らずに告白しちゃったよ」
「そ、それは!言えるわけないじゃないですか、こんな事態。絶対信じてもらえないだろうし…」

先輩がふい、とそっぽを向いて少し拗ねるかのように話すのに困った顔で反論する。そして、暫しの沈黙。

「あの、先輩?オレも…先輩のこと」
「その先は言わないで」



手のひらを返したかのような言動に驚いて口をつぐんだ。うつむいた顔からは表情をうかがい知ることができない。


「ごめんなさい…私を好いていてくれるのはとても嬉しい…でも、私にはやっぱり無理だよ」



拒絶された…そう思った。さっきのは気遣ってくれてただけなんだな、と重くなった頭は結論付ける。

「結局…駄目だったんですね。」

自棄になって投げやりに吐き捨てる。

「オレ達会わないほうがよかったんだ…こんな、拒絶されるくらいなら!」
「違う、それは違うの!拒絶なんかじゃない!!」

少しの間をおいて先輩は続けた。
「拒絶されるのは私のほうだよ…私といたら、いつかきっと直人くんに酷い思いをさせちゃうから…だから、私なんかと一緒にいちゃいけないの!」

オレが先輩を…拒絶する?そんな可能性がどこにあるだろうか。こんな優しい女のひとを…



女…



―ちゃんとオマンコ「も」ついてる女の子なんだから―


―その子は、私と「同じ体」を持っているのよ?―



待てよ…よくよく考えれば、オレはすでに酷い目に遭わされている。それも「女の子」にだ。
この上、先輩も「それ」を持っているとしたら?



―それなら、おうちまでお送りしましょうか?―


そもそもオレは、ここに自分の意志で帰ってこられた訳じゃない。当然、「誰か」の差し金があったことになる。


つまり、女になったオレと先輩は…その「誰か」によって引き合わされた。

そういうことにならないだろうか。


「私…やっぱり、帰らなきゃ。ここにいちゃいけない…」

先輩が、すっくと立ち上がる。

「直人くん…さよなら」
そう言ってそそくさと帰る先輩を…

「拒絶なんかしませんよ」
素早く片手を掴むと強引に引っ張った。
「きゃんっ!?」

倒れ込んでくる先輩をお姫様抱っこの要領でしっかりと受け止めると、
「だから、思い切り傷つけていいですよ」
「なっ…んん!?」

そのまま抱き寄せ唇を重ねた。
F06B
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By ベア
2012-11-10 00:49:42
唇をあわせるだけの淡いキスをして、先輩の目がうっとりしてきたところでそっと顔をあげた。突然の出来事に頭がついていってないらしく、先輩は心ここにあらずといった具合だ。

「ね、ねえ…本当にいいの?」
先輩が恐る恐る尋ねてくる。

「もちろん。オレが先に先輩のことキズモノにしたから、今度は先輩の番ですよ?」
「…あっ、ち、違うの、傷物なんて、そんな…出来ないよ」

先輩は、遠慮がちに顔を背けた。もっと大胆にきてくれていいんだけど…どうしたものか。

ハッとして蚊帳の外のメイド長の様子をうかがう。まるでかわいい我が子でも見るような笑みを浮かべているその人にある種の確信を抱きつつ、ひとつ聞いてみる。
「東堂さん、ちょっと二人きりにしてもらっていい?」

「ええ、ちょうど連絡するところがあったのを思い出しましたので、しばらく席を外しますね」
わざとらしい言い訳をしながらさっさと出ていく。去り際にニッコリとして「ごゆっくり」と言ったのを見てオレは自分の考えが当たっていると改めて思った。

「さ、先輩…続きしましょうか?」
「な、直人くん…もうやめよ?こんなのよくないよ」

「そう、ですか」
わかった、と言った風な声で答えると先輩はほっとしたような寂しいような、そんな顔をした。

「本当に、止めたいですか?」
空いてる手をするりと先輩の下腹部へと差し入れ撫で回す。

明らかに不自然な盛り上がりがそこにあり。

「んぅ!?な、直人くんそこはダメぇっ!?」

先輩の反応がその正体を裏打ちしていた。

「先輩が気にしていたのはこれのことだったんですね?」
「直人くんっ…ど、どうし、てっ…?」
先輩は時おりピクンと体を震わせながら、じっとこちらを見ている。恥辱で赤く染まった顔を見返しながら答える。

「ごめんなさい…どうしても先輩と離れたくなくて、酷いことしました」
「どうしてっ、わかったの…?」


「女になってから…ふたなりの女の子と会いました」
途端に先輩の顔が見開かれる。

「なんとなく、似てるなって思ったんです。その子と…先輩が」
いつも明るく振る舞っているけれど、どこか壁のあるような感じ。あかりちゃんと、似てるような気がした。

「まさか…その」
驚いた顔は変わらず、何か聞きたいけれど、どう言っていいかわからない。そんな雰囲気を感じ取った。
「襲われちゃいました…別の子ですけど」
あえて軽い感じでおどけてみせる。

「そ、そんな!?本当なの!?」
だいぶショックを受けたようだ。苦笑いしながらうなずく。

「どうして…そんなに笑っていられるの?」
頬を涙が伝っていく。先輩にここまで悲しい思いをさせてしまうことが少し悔しかったけれど、必要なことだと自分に言い聞かせつつさらに答える。

「女にされたとき、すごく怖かった。襲われたときも怖かった。
女にされて悔しいって思ったし、もう先輩と一緒にいられないって思ったらもっと悔しかった。
…でも、こうしてまた会えた。それがたまらなく嬉しい。
それに、今ならふたなりの先輩を…心から愛せる」

そして、壁を突き崩す最後の言葉を送る。

「好きです、先輩。優しくて、綺麗で、可愛くて…

ふたなりの夏希先輩が大好きです」

「直人くん…私も、大好きだよっ!」


初めて先輩から抱きついてきてくれた。嬉しくて思わずオレも、抱きしめた。
F06B
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By ベア
2012-12-19 22:08:10
「そうだ、先輩つらくないですか?さっきさわっちゃったとこ」
「ええ!?や、やだな、大丈夫だよ」
「でもさっき大きくなってた」
「大丈夫だもん、ほっとけば収まるもん」
「でもやっぱり我慢しないで出してスッキリした方が」
「もう、直人くんたらさっきからえっちなことばっかり」

そうやって話した後、なんだか可笑しくなって二人で笑った。


「ねえ直人くん…私直人くんと仲良くなれて、とっても嬉しいよ」
改めて言われると何やら照れくさい。

「どうしたんですか、急に?」
「私って、こんな体だから…友達とか作るのが怖かったんだ。せっかく仲良くなってもその後傷つくくらいならって、自分から壁つくってたところがあるの」

一度まさにそうなることを危惧した身としてはうなずかずにはいられない。先輩との関係が壊れてしまっていたらと思うと身震いする。

「初めて直人くんと会ったときも、結構素っ気なくしたつもりだったんだよ?でも、ニコニコしながら何度も会いに来てくれて…いつの間にか、会うのが楽しみになってた」
「それは、仲良くなりたいって必死でしたから」
初めて会ったのは高校の図書室だったか…貸し出し係をしてた先輩に声をかけたのが最初だったな。

「ふふ…直人くん、私と話すためにいっぱい本借りたり、オススメを聞いたりしたよね。なんていうか、健気で可愛いなって思ったんだ」
「かっかわ…!?やだな、からかわないでくださいよ」

今にして思えば、どれだけ必死だったんだと恥ずかしくなる。でも、それだけ惹かれていたのも確かだ。

「それからしばらくして、君と一緒にあちこち出かけるようになってから…どんどん直人くんが私の中で大きくなって、好きで好きでたまらなくなってた」
「先輩…」

好き、という言葉にゾクリとする。きゅうんと胸を締め付けるような感覚が不思議と心地よい。

「もちろん、口に出して言うことなんてできなかった。少しでも一緒に過ごせるだけで幸せだったし…直人くんが目の前からいなくなるのが、すごく怖かった」

先輩の中でいかに自分が大きな存在になっていたか知って、体がどことなくうずくのを感じた。

「私、今とっても幸せだよ?直人くんがこんなに近くにいてくれて…しかも、好きっていってくれて…だから、今はそれだけで十分」

それは女と化した心と体の発する欲望か、はたまた長い間抱き続けた想い故の衝動か・・・


「先輩、ごめん」
「え?・・・きゃっ!」

先輩ごとベッドに倒れ込む。驚いた顔には少し朱がさしている。

「直人くん・・・?」
「ごめんなさい、オレ・・・オレ、先輩とひとつになりたい」

我慢できなかったのは、オレの方だったみたいだった。さっきから、体がだんだんと火照って熱くなるのを感じている。

先輩はさらに顔を赤らめながらニコリと笑うと、オレの手を握りささやいた。



「私たち、エッチだね」


そして、どちらからともなく引き寄せられるようにキスをした。体の火照りがより強く燃え上がる。

(先輩が、欲しい・・・!)
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