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二形小説書物庫
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拒絶反応
By 優兎
2012-02-16 23:25:44

その日。校内掲示板に張り出されていた一枚の募集用紙を見て、風間ゆかは立ち眩みを感じた。

『レズ愛好者募集!』

その募集用紙の一番上にでかでかと書かれたその一言に、友人の行動力が何か間違った方向へ走り始めたのを、ゆかは確信した。


CA002
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By 優兎
2012-02-17 00:25:35
Hello“ジョニ子”1-1


良く晴れた日の昼休み。

何時もの様に、制服がシワになるのも気にせず、ジョニ子はパンを口に食わえたまま寝転び、屋上の数少ない日陰から空を眺めていた。

その非常に行儀の悪い様子をゆかは手製の弁当を食べながら、いつも呆れ顔で眺めている。

「ジョニー……。食べる時はちゃんと座ったら?」

ゆかのいつもの小言にジョニ子は、モゴモゴとパンを食わえたままで返事をし、お前は母親かと胸の内で悪態を着く。

そうしていると、屋上へ二人の連れが姿を表す。正確にはゆかの連れと言った方が正しいのかもしれない。
るなである。

ゆかがるなに遅いと言い、るながまた自分を仲間外れにして二人でいるとむくれるのを、ジョニ子は横目に口の中のパンを片付けた。

学年が上がってから、昼は決まってこの三人で一緒だ。

……否。

二人と一人……かと、ジョニ子は思い直す。

青空をぼうっと眺めるフリをし、るなとゆかが二人楽しそうに話しているのを、何時もジョニ子は一人で耳を傾けているのだった。




CA002
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By 優兎
2012-02-17 02:04:44
Hello“ジョニ子”1-2


「恋人……ほしーー……」

ジョニ子の呟きに、ゆかとるなはびくりと肩を震わせ振り返った。

「じょ、ジョニ子ちゃん可愛いから直ぐに彼氏出来ると思うよ!」

るなが少し引きつった笑顔で応えるのを、ジョニ子は起き上がり、軽く制服を叩き埃を払いながら、そうだねと相槌を打つ。

「ジョニー……謙遜とかなし?」

ゆかの苦笑いにジョニ子は何でもないと言った風に、あっさりと応える。

「彼氏なんて、私がその気になれば出来ない訳がないでしょ?」

その応えに、流石に呆れたと言った風な二人を後目に、ジョニ子は屋上出口の階段へと向かった。

先に戻ると、一声かけ、ドアを潜り抜け、相変わらず明滅激しい切れかけの蛍光灯が浮かび上がらせる階段を降りていく。

「男なんかいるもんか……」

あの二人には……、ゆかとるなには、自分は邪魔者なんだろうとジョニ子は考える。
ゆかとは入学した時からの顔見知りで、この前のクラス替えで友達になった。
前から化粧っ気は無いが、自然体で、陸上部で程良く引き締められた体は綺麗だと思っていた。

で、何かと休み時間の度にゆかを訪ねて、余所のクラスからやって来るのがるなだ。
化粧がやたらと上手く、これでもかと言うくらい女の子を主張している。
そして、必ずゆかにべったりとくっつき、時折ジョニ子に警戒する様な視線を送ってくるのだ。
別にゆかをとって食いやしないのに、お前は恋人か何かかとツッコミを入れたくなる反面、余計な軋轢は面倒くさいので、ジョニ子はさっさと退散する事が多かった。





階段は明滅を繰り返す。





「彼女……ほしぃな……」

ジョニ子の呟きは、誰にも聞かれる事なく明滅の中で霞んで消えるのだった。






CA002
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