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二形小説書物庫
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女王様と・・・?
By 『CH』
2011-09-11 22:12:46
私中田ナミは情報部に所属する軍人だ。
情報部なんて面倒くさいことこの上無い。
戦場や敵地に入り秘密を仕入れる、情報を解析する、情報を操作する、言いたいことも言えないのだ。
言いたくて仕方がないことが山ほどある……
この基地周辺には心霊スポットの塹壕があるそうだ、地震で倒壊して生き埋めになった兵隊の呻き声が夜な夜な聞こえるそうだ。
この基地から秘密兵器の資料を盗み出した敵のスパイがいるらしいが、三佐以上の人間に扮しているらしい。
この基地から200キロ先の市街地では、本国製の麻薬の売買で資金が稼がれているらしい。
本国から渡り鳥にジャマーをつけて飛ばしてみたら、何故か敵の主要都市が半日麻痺して死人が出たとか。

怖い話は士気を削ぐから厳禁、スパイの情報を軽々しく漏らせないし、本国のイヤな事情を漏らしていいものか?
ともすればおしゃべりな私の話し相手は、同じく情報部くらいだ。

なのだが、今ここ情報部には私以外の人間がいない。
敵のスパイを探しているのだ。私は生来おしゃべりで、捜査には向いてない。
では、私の役目はどういったものかというと……

pc
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By 『CH』
2011-09-11 22:13:17
「中田、被疑者確保。尋問しといて。」

部屋の扉が開いて、まるで猫の子でも掴むように少年の首を持って私の仕事仲間が入ってくる。
少年は一応軍服を着ているが随分体格が小さい。平均身長の女に持たれてるんだから140cmないんじゃないか?

「ほぉ、今宵の尋問相手はその小僧であるか……
小僧といえど男であれば少しぐらい手荒に扱っても構わんよなぁ?」

「『被疑者』だからね。黒じゃないかもしれないから。」

いままで掴んでいた首を放し、椅子の上に少年を置いた。
うるうるとした瞳で此方を見て許しを請うているようだ。

「で、コイツの名前は?」

「竹見和樹一佐。あとはコレ見て白黒はっきりさせといてね?」

仕事仲間――名前は白戸琴、私はトコと呼んでいる――は、竹見一佐を私に押し付けるなりさっさと部屋から出て行った。

むぅ。

一佐(大佐)が敵に情報漏らしていました、なんてことになったら軍として終わりだろう。
一応この少年、竹見和樹一佐についての情報をお教えしよう。
優秀な成績で軍学校を卒業、一佐はその知略で迅速に戦いに勝ち迅速に次の為すべきことを見つると言ったことを繰り返し今の地位に昇りつめたという。
この一年でも敵の前線基地を叩くわ、要人を奪取するわ、水源を占拠するわ、一個旅団で敵戦車師団を壊滅させるわ、恐ろしい戦果を次々と立てている。

この一佐に今回の件で疑いは殆どかかっていない。
事件前後に怪しい人間を見たと報告こそしたが、自分の疑いを晴らすつもりでも疑われるだけで何の得にもならない行為だ。
するだけ無駄なのだ。

報告書に指令が書かれている。
竹見和樹一佐が、敵の作戦内容を事前に入手している可能性について調べよ。
つまり、実は裏切り者で我々の信用を得る為に勝っているのではないか?
その容疑を確かめよというものだ。

pc
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By 『CH』
2011-09-11 22:14:36
「竹見一佐、私は中田ミナ一尉だ。階級なんてこの部屋では一切意味を持たない!!
疑わしきはその疑いを一滴残らず搾りだす、それが情報部の仕事ですからねぇ……」

趣味の悪い笑顔を浮かべて中田一尉が御丁寧に椅子に乗ってまでボクを見下ろしている。
ボクがチビなのを明らかにおちょくっていてちょっとだけ傷つく。
ここは取調室、机と机を挟む二つの椅子に用途不明な拷問器具が置かれている。
壁には大きなマジックミラーが張られ、外から内部の様子が見られるようになっている。

ボクにはこんな部屋に入れられる理由が皆目見当がつかないのだが……

「あのー、一応お聞きしますが何の容疑で?」

「一佐ともあろうお方がシラを切るおつもりで?
つい先日の行為のお陰でですよ?」

全く心当たりがないが、やっぱり一尉はボクにイヤな笑顔で語りかけている。
……一尉はイヤな笑顔をしてくるけど美人といえば美人だ。
髪が適当で目の下に大きなクマが有るのは、まぁ情報部は忙しいということなのだろう。
そこら辺を除けば、背も高いしスラリとしてるし胸も大きいし男の人のあこがれなのだろう。
やっぱり、敵軍の幹部の所に愛人になって潜入したりするのだろうか?

「……もしもし、聞いてる?」

考え事をして殆ど何も聞いてなかった……

「ええ、聞いてますって。つまりボクが疑わしいんで監禁したい。
でもあまり長期監禁すると、今後ボクが無罪の場合の運用に差し支えるから知ってることは全部吐けと。」

「そういう身も蓋も無い要約する人大っ嫌い。」


ああ、聞きかじりで適当に答えたけど正解っぽい。

頬を膨らませて腕を組まれた。殺気より視線が怖い。っていうか肌にチクチクするんだよこの人の視線。
多分この人はボクを殺さないだろうな、そう考えると少しだけ落ち着く。
ただ変な疑いを抱いたまま尋問が終わられても困るなぁ、ラジコンに爆弾つけて遠距離爆撃する趣味が誤解されかねないし……

あ……

「あの、もしかしてボクがラジコンで遊んでるとこ見られました?」

「疑わしきは一滴残らず搾りとるっていったわよね、まずそれから搾りましょうか?」
pc
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