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二形小説書物庫
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短編・双鳴商社
By 『CH』
2010-05-12 00:55:21
前のを間違って消したので……

九曜千里が入社した会社はふたなりばかりの会社でした。
1【入社する】1〜7

入社するはまぁエロくないから読み飛ばしちゃってください。
pc
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By 『CH』
2010-05-12 00:55:48
入社する1

私こと九曜(くよう)千里は双鳴商社に入社することになった。
女性社員のみで構成されるこの会社は製薬、衣類、食品等あらゆる分野を手掛けている当初は福祉事業をしていたらしいが……
現在では福祉事業の第一線を引いて、生活補助に係る製品作りを主に行っている。
志望動機は私の知り合いがここの製品に大分助けられて此処に興味を持った、ということになっている。

――
テーブルとそれを挟み込むソファ、真っ白な壁に海の風景画、窓際にアロエのような植物が置かれている。
そんなそこそこよさそうな感じの部屋で、面接は始まった。
九曜は慣れないスーツで肩に力が入る、手には汗を握り。対して浅黒い肌をした
面接官は穏やかな笑顔で九曜を見つめる。

「九曜千里さんですね?面接官の黒澤 藤流(ふじる)と申します」

「此方こそ宜しくお願いします」

藤流は何かの書類と九曜を見比べると、小さく何事か呟いた。九曜には軽くあし
らってやるとでも思っているように見える。

「九曜さん、最終面接の前に弊社を志望してくださった80人中79人落ちましたこ
とをお伝えします」

藤流の言葉に九曜は度肝を抜かれる。今までしてきたどの面接とも違う……
まさか人間性を試すテストかとも思うが、藤流の顔は真剣だ。

「え?」

「元々弊社は社会福祉の一環としてある条件を持ち社会参加に支障がある方、そ
れに準じる、もしくはそれを差別せずに付き合える方のみを採用しております」

「はぁ……」

「しかしこの情報は公開していません。貴女には社会参加が難しい方々と付き合える自信はありますか?」

九曜は学生時代を思い出す。
多動性、心の性別が怪しい、健忘症、そんな同級生の顔が次々に頭に浮かぶ。少なくとも並みの人間よりは上手くやれる自信がある。


「至らぬところは当然ありますが、勉強させていただきます」


pc
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By 『CH』
2010-05-12 00:56:22
入社する2

「じゃあ、よろしくお願いするわ」

「はい、此方こそ!!」

返事に黒澤が微笑んで、持っていた書類に判子を押した。

「じゃあ九曜さん立って、一度職場を見せておくわ?」

彼女の言葉に九曜は大きく頷く。
会社の方針がせっかちなのか、黒澤がせっかちなのかに大きな疑問を抱きながら
も黒澤の後についていく。
立った黒澤の姿は細く、丈の長くないスカートがまるで男を誘っているかのよう
に小さい。

九曜は目のやり場に困り、顔を上げた。

扉を出てすぐに、紺色のスーツを着た女性が立っていた。彼女は九曜と黒澤に深
く一礼する。

「ご苦労様です」

「あ、ご丁寧にどうも」

「青田さん控室にまだいる子達のお世話お願いね?」

黒澤が女性に言うと、すぐに青田が返す。

「解りました。あ、開発3課と情報3課には新人さん近づけないでください
足尾製薬との共同開発計画でピリピリしてます」

「ありがとう、じゃあ1課2課だけ案内するわ」

pc
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