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二形小説書物庫
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S.M妖精スピルネス
By 優兎
2009-07-18 03:42:59
宇宙からやってきたその光はオゾン層を突き抜け、更に成層圏をすり抜け、日本中に降り注いだ。

その日から日本中で、女性の変異体であるフタなり人種が急増し、更に数日後……。

宇宙から怪獣がやって来た。




W62CA
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By 優兎
2010-02-25 03:16:27
5

昼休みである。沙織は紅祢と何時もの様に校舎の屋上で、弁当をつつき、屋上からの景色に目を向けた。

至る所に崩れた建物があり、それと並んで無事な建物には今日も普段の生活が送られていた。

スピルネスと怪獣との闘いは恒常化しており、何時の間にか皆なれてしまっている。

街が破壊される度に数日も仕事や生活を停める訳にはいかないのだ。
オフィス街のビルなら、直ぐに異動出来仕事を始める為の予備のオフィスは当たり前。
そのため結果的に建物の数は足りなくなり、都市近郊では戦後以来未曽有の建設ラッシュにより、意外にも景気は上向きである。

それは兎も角。沙織の目に映るのは戦闘の跡だ。

「あんなの……何時まで続くんだろ……」
「んっ?」

思い出されるスピルネスの中で行われる快楽地獄に、沙織の体は震えた。

昨日の戦闘の後。スピルネスから運び出され、また一度心停止まで行ってしまった。

戦闘の度、生死を彷徨う。

心は恐怖でズタズタで、夜はろくに眠る事も出来ない。

逃げ出したい……。

毎日がどす黒い地獄の様……。
逃げ出したいと切に沙織は願っていた。

「沙織? 顔色悪いよ? 大丈夫…?」

でも……。

心配してくれる親友の手が、程良く冷たく気持ち良い。

「うん。何でもないの、ちょっとぼうっとしてただけだから。ありがとう…紅祢ちゃん」

この優しく労ってくれる親友を自分が守っているのなら…。
私は頑張れると沙織は、自分を奮い立たせるのだ。





CA002
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By 優兎
2010-02-25 03:44:18
紅祢は膝のバネを効かせ、高く一跳びする。

「きゃっ!?」

着地は校舎屋上のフェンス。
外側にバランスを崩せば一巻の終わりである。

ふわりとスカートが風を受け舞い、紅祢は少し体重を移動させバランスを見事に保つ。

そして、目を見開いて、眼下の景色を見渡すのだ。
紅祢の視力は2.5。半壊した街など気にも留めず、視線の向かう先は空。

「紅祢ちゃん! 危ないよ!」

心配そうな親友の声をヨソに紅祢は目を凝らす。

「うん……。今日も元気だねぇ〜」

この時間決まって見える人工衛星だ。沙織には見えないらしいが、紅祢には白い無機質な歪な点としてちゃんと見えている。

何時かはソコに行く。

それが紅祢の夢である。
そのためのロードワークであり、トレーニングであり、英語の勉強である。

だがその夢に立ちはだかる者は意外な形で現れた。
親を説き伏せるのは紅祢にとって簡単な事であり取るに足らぬ。

紅祢の視線が天空から降り、昨日の戦闘の跡を捉えた。

「宇宙怪獣……」
「えっ?」
「よっ……と」

紅祢は後方にトンボを切り、フェンスから屋上へと舞い降りる。

夢を阻むは宇宙怪獣。
そして、スピルネスだった。

この二つの異物の出現により、紅祢の将来設計に若干の狂いが生じて来ている。

スピルネスを動かすのはとても楽しいし、将来の何かしら役に立ちそうである。

しかし……。

被害が大きすぎる。
このままでは、パイロット適性なしと判断されかねない。
将来はアメリカ国籍を取り、米軍に入るつもりだが、もしスピルネスでの諸行が知れたらと戦々恐々としているのである。

それと…正義の味方が少し楽しいと言う自分に痛いモノを感じるのだった。




CA002
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By 優兎
2011-01-18 04:47:12
6

「いやあああああああっ!?」

空気を引き裂く様に響き渡るのは悲鳴だった。

紅祢達が校舎から出た途端の出来事である。

「大人しくしろ!」
「いやあああああああっ!」

それは、光が降り注いで以来。たまに見かける光景。ふたなり狩りである。
数人の自衛隊員が一人の少女を取り囲み、押さえ付け様としていた。
捕まって帰って来た者はいないのである。少女は身を捩り、涙を流し、声を挙げ、必死に抵抗するのは当然の事であった。

その光景を皆遠巻きに哀れみを込め、見守っていた。

「迷惑な話…」

そう呟いたのは紅祢である。

「……えっ!?」

沙織はびくりと肩を震わせ、紅祢へと振り返った。
その瞳に映ったのは、既に捕らえられ、搬送車へ押し込まれて行く少女に蔑みの目を向ける親友の姿だった。

「だって、そうじゃない?
怪獣はふたなりなんて言う、気持ち悪い女の出来損ないの様なのを狙って来るじゃない?
全く……とんだとばっちり……」

そう言って踵を返し歩き始める紅祢に沙織は愕然とした、顔から血の気が低いていくのを感じた。

「それ……。とっても酷いよ……」

沙織は呟いた。だが、ショックのあまり、その声は喉の奥で潰れ、紅祢に届く事はなかった。




CA002
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