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[1] End Of Paradice
By 吉田群青さんHP
吉田群青さんリンクお礼

お題は『真夏日』

色々あってなんだか合作です。
よんださん。センキュー。

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[2] By 管理人
『End Of Paradice』


もくもくと煙のように立ち上ぼる真っ白の入道雲
その遥か上で気が狂ったみたく太陽が地上を焦がしてた。
バイオレンスな夏。
風と、夕立だけが、救いだった。

空き地。公園。公衆トイレ。知らない町の路地裏。
学校の裏の暗い木立ち。ウサギがいないウサギ小屋。
電車で一駅のさびれた海水浴場。
すべてが、パラダイスに見えた。
あの頃、僕たちの体の中には
内臓ではなく、希望や喜びが入っていたのかもしれない。

うだるような暑さの中
いつだって一緒だった。
短パンにTシャツ白いキャップを被ってまるで男の子みたいに。
枯れ枝みたいな真っ黒で細い腕でカブト虫を掴んで、僕に見せびらかして得意げに笑ってた。
一卵性双生児みたいな気さえしていたのに。
でも、多分、彼女は知りすぎたんだ。

ある日突然学校で、女の子だけが保健室に呼び集められて

少女は僕を置き去りにして女の子になってしまった
僕たちの体からはすでに希望も喜びも揮発してしまったようだ。
あとにのこったのは何のへんてつもない内臓と血と骨
そればかりだ。

僕だけがいつまでも少年のまま
セックスもドラッグもロックン・ロールも、
いまだ知らない
愛読書は、完全自殺マニュアル。

彼女の今時の女子高生らしい格好も
彼女の隣りで笑う頭の悪そうなチャラい男も
24時間営業のデニーズも
病的に清潔すぎるドラッグ・ストアも
トイレに充満するタバコの煙も
彼女とチャラ男の髪から立ち上る
ラブホテルのシャンプーのにおいも
全部下らないって
そう思う僕はきっと浅ましいのだろう。

彼女に、僕を見てほしい。
何もかも知っているような眼で。
それだけで僕は
何もかも許せるくらいに、狂ってしまえるよ。

発狂した太陽が僕の体を溶かしていくから、
蜃気楼みたいに世界は歪む
アイスクリームみたいに溶けだしていく世界
パラダイスなんてどこにもなくなって

僕の初めて好きになったあの子は、
もう、どこにも存在しなかった。

明日で世界は終わるかもしれない。


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