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優しい結末
By アキ
大好きだったその声も愛らしい寝顔も暖かい手もペアリングも今日でおしまい。
バイバイ。

眩しいくらいのライト。
涙に反射してる。
歯を食い縛ってないでいつものアヒル口してよ。

思い出す幸せな日々。
嫌な事なんて出てこないよ。
当たり前に呼び捨て合う。
日々は暮れた。
日々は暮れた。
セピア色の始まり。

大切だった手紙も当分読めないよ。
今となれば嘘になる丸文字の愛。

大好きだった癖のある傷んだ髪の毛もボクを包む小さめの熱を持った胸も。
大切だった君のこと忘れはしないから、もう泣かないでいつもの様アヒル口をしてよ。

君と会えてよかった。
辛いけれどボクは意地張って笑うよ。
叶うのなら二人に幸あれ。


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By akisima
[ずるい人]

「君のことが嫌いになったわけじゃないんだ」
別れ話のあと、バツが悪そうに彼は私に言い訳する
ああ、なんて残酷な言葉だろう

嫌いになったと、
お前なんか顔も見たくないと
はっきり拒絶されたほうが
どれだけ私は楽になれるだろう、

嫌いになったわけじゃないなら
なんで私たちは別れなければならないのだろう

こみ上げる不満をそれでも飲み込んで
「別れても友達でいようね」
なんて私が微笑んで見せるのはめんどくさい女と彼に愛想をつかれたくないからで
まだどうにもならないくらい彼のことが好きだからだ

いっそすべてがはっきり終わらしてほしいという気持ちと
まだあきらめたくないという気持ち
矛盾した二つの気持ちが私を苦しめる

私を傷つけまいとする彼の優しさのようなもの(あるいは狡さ)をひどく私は恨めしく思う。だけど彼を責めるのはきっとお門違いで、それでも彼を嫌いになれない私がたぶん一番悪い。

ときどき。「たまたま暇だったから」風を装って彼にメールをする。
友達なんだからメールぐらいするよね?迷惑じゃないよね?ってじぶんにいいわけしながら、気持ちを悟られないように、鬱陶しくならないように慎重に言葉を選んでメールを打つ。
他愛のない下らない内容の言葉のやり取り。それでも彼の言葉が私のケータイを震わすたびにどうしようもなく胸が熱くなる。
だけど彼と私はもう恋人同士じゃない、ふとした拍子に思い出して、部屋で一人携帯を握りしめたまま、泣たりもする。

件名:映画観た?
京極夏彦のお話映画化されたね。
君好きだったよね?


Re:映画観た?
まだー。
すごい観たいけど。行く暇がない


ReRe:映画観た?
今度の土曜暇だったら一緒に行かない?


これは少しストレートすぎだろうか?


ReRe:映画観た?
私も興味あるんだよなー
観に行きたいなー


これだとスルーされちゃうかな?
一緒に行こうって誘ってくれないかな?


ReRe:映画観た?
私も興味あるんだよなー
観に行きたいなー
今度の土曜暇だったら一緒に行かない?


こうかな?友達だったら映画ぐらい一緒に見るよね。変じゃないよね?
でもずうずうしいし迷惑かも知れない、思考は同じところをぐるぐる回り
たっぷり十分ぐらい迷って、それからもうどうにでもなれと自暴自棄な気持ちで送信ボタンを押す。

返事が来る一分間ほどの時間が永遠のようにも思える。
携帯が震えて、私は破裂しそうな胸の鼓動にかろうじて耐えながら
恐る恐る携帯を覗き込む

「OK、じゃあ昼ごろ迎えに行く」

不意にディスプレイに映し出された文字たちが歪んでにじむ。
こんなことで喜んではいけないのだ
こんなことは何でもないことなんだ。
答えはとっくに出ている私たちはもう終わったのだ。
頭の中では理解できてた、それでも、それなのに、
私の瞳からはどうしようもなく液体があふれだし、ぽたぽたと携帯のディスプレイをにじませ続けた。



約束の日。。
高鳴る胸の鼓動をどうやって押さえればいいのかわかんない
期待なんかしちゃだめだと昨日から何度も自分に言い聞かせているのに
私の思惑なんか関係なしに期待と不安で心は千々に乱れる。
待ち合わせの二時間も前にきて彼のことを思って泣きそうになっている
私はバカみたいだ


もう、私達は終わったというのに


「ごめん待った?」
言いながらこっちにかけてくる彼があまりに以前と変わりがなくて
いろんな不安が吹き飛んで安心したんだけど、やっぱり少し悲しくなった。
彼はいつもの癖でつい差し出してしまった私の手を、何でもないようにいつものように握りしめた。君の手と私の手は結合するのが定められて作られた対の部品のように自然に繋がり合う。
それでも、それなのに私たちは離ればなれになっていくしかないのだ。
彼のことばっかり考えていて映画の内容なんてこれっぽっちも頭に入らなかった
映画を観終わった後に入った喫茶店でも
彼は以前と変わらずに私にやさしく微笑んでいる
「私たち別れたんだよね?もう終わったんだよね?」
頭の中に何度も同じ疑問が繰り返されるけど怖くって声に出すことができない





「ねぇ、私たちもう元には戻れないんだよね?」







こんな中途半端な気持ちのままで、一体いつまで耐え続ければ私は楽になれるんだろうか
耐えきれずうつむくと
私の異変に気づた彼が心配そうに私の名前を呼んで、
それで私の涙腺は崩壊してしまう
今日はもう泣かないって決めていたのに

突然泣き出した私に、何事かと集まる周りの人の好奇の視線
彼は少し困った顔をしたけど
突然の私の失態を責める風でもなく
やさしくそっと私の頭をなでる

「ごめん。ごめんね」

私をいたわるように彼は謝罪の言葉を口にする
彼は何を謝っているのだろうか?
悪いのはきっと私で、だからもうこれ以上優しくしないでほしい
顔をあげると私のことを心配そうに見つめる彼の悲しそうな顔が目に入る


頬からは次々と涙が流れおち濡れていくてのひらが熱い

君が私から離れていくなら
もう元には戻れないなら
私はどんなに謝られたって君を許すことなんかできないんだ

だからどうか残酷に私を傷つけて君を嫌いにさせてほしい
どんなに優しくされたって、ただつらいだけで、
あなたが私のために出来ることはもうそれだけなんだよ


今はもう
たったそれだけなんだよ

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感想とか貰えたらなー…なんて。


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